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18話 ポロリ


楽な仕事だぜ。


細身で長髪の30歳くらいの冒険者の

男はそう思った。

実際には25歳だが、

痩せているせいか、老けて見える。

男の名前は「ナーバムル」

胸に付けている冒険石は、

ダイヤモンドの輝きを放ち、

真ん中に200と刻まれている。


ナーバムルは今、ダイヤモンド以上の

冒険者が対象の依頼の中で、

もっとも安全な依頼を受けている。

その依頼の内容は、レニウム以下の

冒険者達の戦闘力テスト試験官。

他の命がけのダイヤモンド以上の

依頼と報酬は変わらない上に、

死んだり怪我する事は、まず無い。


テストルームは、楕円形で

奥行き30m横20mで外からは

他の冒険者から見えないように

なっている、

ところどころに魔法の印が付いていて、

魔法で映像を映し出し、

お偉いさん方が遠くから見て、

ランキング更新の判断をするらしい。


今日の朝は、3人の冒険者達が

更新しに来たらしい。

ナーバムルはその内の1人を担当する

予定だ。

3人中、1人は女。

女と当たりてーなー、

男を痛ぶっても面白くない、

それに間違えて鎧を斬ってしまって

ポロリしてもあくまで、

テスト中の事故だ。

お偉いさん方も喜ぶんじゃないか?


ナーバムルは、こんな事を考えても

冒険者として恥ずかしいとは、思わない。

今、自分がこうやって試験官を

しているのは、

10年以上の努力の結果。

文句があるなら、ダイヤモンドに

なってから文句を言いやがれ!


ランキングでは、200位の

ギリギリでダイヤモンドだが、

上位ランキングは、そう簡単に

変動しない、ゆっくりとランキングを

上げて行ったら問題ないだろう。


「あ、試験官の人?」


入り口の方から15歳くらいの

少女が入って来た。


ビンゴ!まだちっとガキだが、

顔はなかなかの上物!

胸は小さめだが、

ガキのくせに調子こいて、

エロい鎧を着てやがる!

おいおいおい、本当にいいのかよー!

うっかりその鎖帷子を支えてる部分を

全部壊しちまっても文句言うなよ〜!


「いかにも、

俺が試験官のナーバムルだ。

お前の名前は、ルヴィネだな?」


俺はガキにこたえた。

ガキの名前はさっき渡された

資料に乗っている。


「あー、ルヴィネで合ってるよ、

ナーバムルさんよろしくな!」


チッ…ガキのくせに馴れ馴れしい。

資料によると去年の今頃、

14歳の時に冒険者登録をしてから

1度も更新をせずに、

「駆け出しの森」で1年間

修行していたらしい……。


笑うしかない、こいつはいきなり

貴重な時間を無駄にした。

愚かなガキだ。

今までこんなバカな冒険者は

見た事ない。


………………………………………。


しばらく沈黙が続いた。


「えーと…ナーバムルさん……?

テストはいつ始めるんだ?」


「愚か者が、、テストは

もう始まっている。

貴様はいちいち、

敵と戦う時に深々と頭を下げて、

よろしくお願いします。と

言って戦うか?」


「え?もう始まってんの?

戦う時のルールとかないの?

うっかり鎧をポロリさせたら反則とか?」


そんなルールがあったら、

今の俺はこんなに舞い上がってない。

外面は、クールな先輩冒険者を

装っているが心の中は、

今からこのクソガキを痛ぶれると思うと

テンションMAXだ。


「ルールはない。

駆け出しの森で1年間も

修行していたんだろ?

つべこべ言わず

早く修行の成果を見せろ。」


「OKー」


少女は軽い口調でそう言って、

右手を腰の剣に伸ばした。



ビュンッ!



…………………⁉︎


いったい今、何が起きたんだ⁉︎

気づいたらガキの剣が、

俺の首元ギリギリで止まっている。

剣を抜く瞬間も見えなかったうえに、

ガキから15m以上は、離れていたのに

踏み込みの瞬間が全く

見えなかった……。


最初は魔法か何かで時間を止めるか

何かしたんじゃないかと思った…。

時間を止める魔法なんて

聞いた事がない…魔法ではない…。

そもそも魔法を使ったなら、気配でわかる。

ガキからは、魔力の魔の字も感じない…。

つまり、このガキは生身で

この人間離れしたスピード……。


その証拠にガキがさっきまで

立っていた地面がえぐれている。

踏み込みの衝撃に地面が

耐えられなかったんだろう。

ガキが、俺の首元で剣を

止めなかったら…。

今頃俺の首は、胴体から離れ、

床にポロリと落ちていただろう…。


ガキの鎧をポロリしようとしといて、

俺の首が床にポロリしたら、

シャレにならない…………。


「ナーバムルさん、すげぇな!

つい、攻撃を止めちゃったけど、

今の攻撃避けなかったって事は、

食らってもダメージ無しって事だろ⁉︎

どうやったら首をそんな丈夫に

鍛えれるんだ⁉︎」


バカ!常識で考えろ!

首がそんな丈夫なはずないだろ!

しかし、そんな事は口が裂けても言えない。


「首を鍛えるのは、お前にはまだ早い、

俺のようなダイヤモンドの冒険者に

なってからだ。

しかし、お前は筋がいい。

褒美として、

俺の技を少しだけ見せてやろう。

だが、遠くから見た方が

わかりやすいから、

もう少し後ろに下がれ。」


ガキが後ろに下がったら、

俺も後ろに下がり、ガキから

25m程距離を取った。


このガキは、ヤバい……。

今、ここで殺さなくては……。

ランキングを抜かされるのも

時間の問題……。

ポロリなんか言ってる場合じゃない…。

遠くから魔法で見ている、

お偉いさん方が危険と判断したら、

止められるが、無視しよう。

ガキを殺したら

何らかの処罰はされるだろうが、

あくまでテスト中の事故と

言いはれば、ランキングは

落とされないだろう…。

何せ、ダイヤモンド以上の

戦力は貴重なのだから……。


俺は腰に下げてる剣に手を伸ばした。

この剣は、パートナーの魔法使いと

俺を繋げる魔法アイテム。

パートナーの魔法使いが

世界中どこに居ても、

魔法道具とパートナーの許可が

あれば、パートナーの魔法を

使う事が出来る。


パートナーの魔法使いが

半径20m以内に居れば、

パートナーの魔力を借りる事が

出来るが、あいにく今は

近くにパートナーが居ない…。

その場合は自分自身の魔力を

使うわけだが、

だいたいの冒険者は、

平均10分しか保たない。

もちろん俺も10分が限界だ。


俺は魔法を発動して、

全身の鎧が魔法スタイルに変形した。

ガキは、目をキラキラさせながら、

俺の魔法スタイルを見ていた。

今から殺されるという事も知らずに…。


俺のパートナーの魔法は、

自分の分身を作る。

分身は魔力で出来ている為

出したり消したり、関節を

ありえない方向に曲げたり自由自在で、

100体まで出せるが、

数があればある程、個体の性能と知能が

下がる。

1体1体は自分で考えて行動出来るし、

俺が頭の中で命令すれば、

ちゃんと従う。


そして俺は、いきなり100体出して

さらに全個体に魔力を一気に注ぐ。

知能は上がらないが、

性能は全個体が本体の俺と同じになる。

その代わり1分しか保たない。

これが俺の全力の必殺技…。

出し惜しみは無しだ。

このガキは強いが、

1分以内にぶっ殺してやる!


俺は全個体に頭の中で命令した。

「あのガキをブチ殺せ!」


一斉に100体の俺の分身が、

ガキに襲いかかった。



スゥー………。



ガキは静かに息を吐いた次の瞬間…。




スパパパパパパパッ‼︎‼︎



今まで聞いた事がない、

鋭い剣が大気を斬り裂く音を

立てながら肉眼で見えない

スピードの斬撃ラッシュで

分身達を斬り刻む。

2秒ほどで30体はやられた…。

しかもその、全てが元の形が

わからない程、斬り刻まれている。


ゾッとした……。

ただただ、ゾッとした…。

目の前のガキが、

圧倒的な恐怖の塊に見えた……。


6秒ほどで、ほぼ全ての分身がやられた…。

目では、ガキが速すぎて見えないが、

バカでもわかる…

次の瞬間…斬り刻まれるのは、俺自身だ!


「合格だ!」


俺は、全力で冷静そうな顔を

作りながら言った。

駆け出し冒険者なんて言ってる奴に

降参なんかできない…。

内心ビクビクして、

漏らしてしまいそうだ。


ガキの剣は、俺の額の上にギリギリで

ストップしていた…。

危なかった……あと0・01 秒でも

遅かったら俺の頭は真っ二つだった…。


「ナーバムルさんさー、

手加減してくれてんのは、

わかるけど、今の分身…弱すぎだろ…

いくら駆け出し冒険者が相手でも

子供扱いは、しないでほしいな〜。

私はもう、15歳なんだぜ?」


テメェが規格外すぎるんだよ!


「じゅ、15歳はまだガキだ…」


しまった、つい声が震えてしまった。


「テストは終わりだ、

ギルド内で受付に呼ばれるまで

待っておけ。」


「え?もう終わりなのか?

意外とあっさり終わるもんなんだな…

じゃあ、ナーバムルさん

ありがとな!」


そう言ってガキは、

テストルームから出て行った。

緊張が溶けたのか

俺は地面に膝をついて脱力した…。

魔法スタイルを溶いて、

そのまま座り込む…。


試験官の依頼は、今日1日

テストルームで待機して、

テスト希望者が来たら、

テストするという内容なので、

しばらくテストルームで待機していた。


30分程してからギルドの方が

騒がしくなった。

それと同時に俺の石の数字が

200から201に下がった…。


……………!?


俺は全力でギルド内に駆け込んだ!

するとさっきのガキが、

周りの冒険者達に勧誘を受けている。

ガキの石の数字は……。

200……。


抜かされた……。

俺の10年以上の努力を

あのガキはたった1年の努力で

踏み潰して行きやがった!

ガキは冒険者達の勧誘を断り、

弱そうな2人のチタン冒険者のところに

行った。

どうやら、あの2人とパーティーを

組んでるらしい…。


………………………。


「そこのパーティーに

俺も入れてもらえないだろうか?」


俺はガキと2人のチタン冒険者に

話しかけた…。


順位が下がっても

称号は1週間、消えない。

ダイヤモンドの称号が無くなれば、

魔法使いとの契約が

切られるかもしれない…。


順位が下がってもお互いが同意したら

魔法使いとの契約は

切らなくてもいいのだが…。

俺はパートナーの魔法使いと仲がいい

わけではない……。

お互い組む相手が居ないから、

組んでるわけであって、順位が下がれば

問答無用で契約を切られるだろう…。

ダイヤモンドの依頼を

受けられなくなる上に、

魔法まで使えなくなる…。


ぶっ殺してやる……。


1週間以内にこのガキを……。


ぶっ殺してやる‼︎‼︎

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