17話 ダイヤモンド
戦闘力テストが終わった。
思ったより簡単だったなー。
第3テストルームから出たら
フォマムとデブーチ君も
テストが終わっていたみたいで
私を待っていてくれた。
「ルヴィネちゃんお疲れ様、
初めてのテストはどうだった?」
フォマムが聞いてきた。
「うーん…なんか
思ってたより簡単だったかな。
なんかちょこっとやったら
合格だって言われた。」
「合格?戦闘力テストで
合格なんか言われた事ないんだけど…
試験官によって違うのか?」
フォマムは不思議そうな顔をした。
まぁ、合格って言っても
「駆け出しの森」から
帰ってきたにしては、
悪くないんじゃない?
くらいのもんだろう。
1年間修行したんだから
チタンくらいには、なりたいけど
世の中そんなに上手く行くはずない。
せいぜい15000位代とみた。
「フォマム様ー
デブーチ様ー
更新の手続きが完了しました。
受付までお越しください。」
フォマムとデブーチ君の
冒険石からお姉さんボイスが
聞こえてきた。
「じゃあ、俺たち受付に行ってくる。」
「行ってくるちん」
2人は受付に行った。
デブーチ君の語尾が気になって
仕方がない。
3分程したら、2人が大喜びで
私の元に帰って来た。
2人の石は鈍い鉄のような色に光っていた。
フォマムの石の真ん中には9970
デブーチ君の石には9782と
刻まれてる…地味にデブーチ君強ない?
「やったぜ!2人ともチタンに
なったぜ!」
「やったちん!僕ちんとうとう
チタンだちん!
夢のようだちん!涙が出て来たちん!
ちーんちんちんちん!
ちーんちんちんちん!」
ちんちんちん、うるさい…
下ネタにしか聞こえない…。
周りの冒険者もちょっと引いてる…
特に女性。
「おう、おめでとう…」
とりあえず、おめでとうと
言っておいた。
それからしばらく30分くらい待っても
私の冒険石からお姉さんボイスが
聞こえない…
「ルヴィネちゃんの
呼び出しぜんぜん来ないね、
時間かかっても待ち時間10分程
なんだけどなー」
「うーん…じゃあ、今から
受付に聞いてみるか。」
と受付に向かおうとした瞬間。
「ルヴィネ様ー
大変長らくお待たせしました。
更新の手続きが完了しました。
受付までお越しください。」
よっしゃ!やっと来た!
「じゃあ、行ってくるぜ」
フォマムとデブーチ君に
手を振ってから受付に向かった。
「では、冒険石をご提示ください。」
受付のお姉さんに冒険石を渡す。
魔法道具に私の石をはめ込んで
数秒間時間をおいて、お姉さんが
眉をしかめる。
「申し訳ありません、
魔法道具が壊れたみたいなんで
もう少々お待ちください。」
そう言ってお姉さんは、
違う魔法道具に私の石をはめ込んで
確認して目を丸くした。
そのあと何個か他の魔法道具で
試してから、
「大変長らくお待たせしました…
何せ、ここまで一気に順位を
上げた方は歴代で1人しか
いませんので…
少々驚いてしまいました…
おめでとうございます!
ルヴィネ様! 25841位から
200位に上がりました!
ダイヤモンドの
称号が付与されます!」
「……」
一瞬言われた意味が分からなかった。
あれか!新種のドッキリだな!
田舎者をバカにしちゃ、いかんよ〜!
最後にドッキリ大成功って書いてある
看板が出てくるやつでしょ!
ギルド内の冒険者達が全員
私の事を見た。
さっきの哀れみの目ではなく、
英雄が現れたかのような、
目をして…
「では毎月支給される
回復ポーション類は
今日から受け取れるので
あとでアイテム受取所まで
お越しください。
あと、ダイヤモンドからは
魔法使いを
ご紹介させていただけますが
どの系統の魔法使いを
ご希望されますか?
炎系や水に風、土、闇、光
特殊魔法系などありますが?」
お姉さんが私の知らない領域の事を
滑舌よくスムーズに喋り続ける。
なんか冗談じゃなさそう……。
「ちょっと待ってくれ!
お姉さん!私は一昨日まで
駆け出しの森にいた、
超初心者だぜ!
いきなりダイヤモンドは
何かの間違いだって!」
「いえいえ、そんな事はありません、
ルヴィネ様の石は200位の
ダイヤモンドとなっています。」
お姉さんが私の石を見せてきた。
確かに石の色は鋭い銀色の光を放ち、
真ん中には200の文字が刻まれてる。
「え…あ、はい…」
としか言えなかった。
「では魔法使いは、どの系統の
魔法使いをご希望されますか?」
「うーん…今はまだ魔法使いは
いらないかな…また今度考えて
おきます…」
ろくに経験を積んでない状態で
系統を選べと言われても
選びようがない、とりあえず保留で。
「では、決まりましたら
また冒険者ギルド受付まで
お越しください。ご武運を」
私は受付を離れた。次の瞬間
「なぁなぁ!お嬢さん!
ウチのパーティーに入らないかい?」
「いやいや!是非ウチの
パーティーに!」
ギルド内の強そうな冒険者達が、
私を取り囲んで
パーティーの勧誘してくる。
「えーっと、みんな勧誘してくれるのは
嬉しいが…私が今ダイヤモンドに
なったのは、きっと何かの手違いだと
思うんだ……
それに先にそこの2人と
パーティー組む約束しちまったし
しばらく、他のパーティーに
入る事は出来ない…すまんな。」
「何言ってんだ!
あいつら2人ともチタンだぜ?
そんな無意味な事すんなよ!
もったいねー!」
勧誘してきた冒険者の内
1人が説教じみた口調で言った。
「もし、仮にこれが手違いじゃなくて
本当に私がダイヤモンドになったと
しても、約束は約束だ。
約束を破るのは、気分が悪い…。
それに私より、あの2人の方が
冒険の経験は確実に上だしな!
言っとくが、私は一昨日まで
駆け出しの森にいた、
ルーキーって事忘れんなよ!
じゃあな。」
そう言って私は、道を塞いでた
勧誘冒険者達の間をぬって
2人の元に戻った。
「おいおい…本当にいいのかよ…
ルヴィネちゃん…俺たちなんかと
組んで…」
「そうだちん!
もったいないちんよ!」
2人が申し訳なさそうな顔をして
言ってきた。
「だから、約束を破るのは、
気分が悪いって言ったろ?」
まぁ、確かに他のダイヤモンドの
冒険者と一緒に依頼を受けた方が、
かなり儲かるだろうが、
いきなり、そんな依頼を受けれる
自信はないし
1度した約束を破るなんてしたら、
自分を許せなくなってしまう…。
さっきまで、プライドは捨てようとか
言ってたけど、
捨ててはいけない、プライドもある。
「そこのパーティーに
俺も入れてもらえないだろうか?」
細身で長髪の男が話しかけて来た。
男の石は、私と同じダイヤモンドの
輝きを放っているが、
石に刻まれている数字は、
201……
だった。




