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11話 ヤバい…娘に着せたい…

「はぁ〜…」


4172位レニウム冒険者

マロニムは小さな村、

アダヴィダ村の自宅で

やや中年太りの身体を

前のめりにしながら、ため息をつく…

ここ1年程この調子である。


理由は1年前に

可愛い可愛い我が娘が

冒険者となり「駆け出しの森」に

冒険に出たきり帰って来ないから…

安心安全な「駆け出しの森」で

死ぬ事は多分無いだろうと信じたい。

だが、1年も帰って来ないのは

明らかに異常事態…。


本当は娘を冒険者にしたくは無かった…

冒険は常に何があるかわからない。

娘が冒険者になると言い出してから

何度も止めようとしたが

止められ無かった…


娘がたいした事も無い

冒険者のワシに憧れて冒険者に

なりたがっていると思うと

止められ無かった…

冒険者のワシが言っても説得力が無い。

それと同時に罪悪感が溢れてきた。

ワシは娘が思っている冒険者では無い、

ほとんど努力もしてない…

ただ、強い冒険者に頭下げて

パーティーを組んでもらい、

おこぼれをもらっていただけ…


実力で言ったら

チタン《10000位以上》……

下手したら

それ以下かもしれない。

仕方がなかったんだ…

冒険者という職業で家族を

養うにはそうするしか無かった…。


娘が14歳になるまでに

冒険者以外の事に

興味を持ってくれないだろうかと、

都合のいい事を考えていた時に、

町の防具屋で、かなりセクシーな

女性冒険者用の鎧を見つけた…


「ヤバい…娘に着せたい…」


その場のテンションで買ってしまった…

財布の中はすっからかんだ…

まぁ、娘が冒険者になっても

しばらくしたら飽きるだろ。


それに「駆け出しの森」は

安全だから大丈夫!

開き直って娘の14歳の誕生日に

セクシー鎧と

貯金を崩して買った片手剣を

プレゼントして見送った……

それが間違いだった…

娘は帰って来ない……


何度も「駆け出しの森」に

雇った冒険者達を連れて

娘を探しに行ったが

手がかり1つない…


唯一変わった出来事は

雇った冒険者の1人が、

森の中で体長3m以上の魔物と

小柄な人間くらいの大きさの

何かが戦っているところを

目撃したらしいという事ぐらいだ。


3m以上の魔物は

その巨体から想像出来ない

スピードらしく、

おそらく

ロンズデーライト《50位以上》

が数人がかりで倒せるかどうかだろう…


小柄な人間の様な何かは

その魔物と互角に戦っていたらしい…

多分そいつも魔物だろう。

それもかなり上位種の…

人間に出来る動きじゃ無かったらしい…

近づいたらその2体の正体が

わかるかも知れなかったが、

それ以上近づいたら巻き込まれて

死にそうだったから

急いで逃げて来たらしい。


他にも駆け出しの冒険者達が

数人目撃したらしいが

誰もその2体を

はっきり見たわけではなく。

誰も被害にあったわけでもない。

今のところただの噂でしかないから、

討伐依頼も出てない。


「アナタ〜♡」


今年で31歳の妻が、いい年こいて

新婚ホヤホヤの若妻の様な、

甘えた喋り方でワシに話しかけて来た。

結婚してから約15年間

ずっとこんな喋り方だから慣れている。

見た目も20〜22歳くらいで

若く見えるから違和感も無い。

もしかしたら魔女なんじゃないかと

疑うほど美しい美貌を保っている。


その妻の腕の中で

生後1ヶ月の息子がきゃっきゃっと

機嫌よく笑ってる。

娘が帰って来なくて…

お父さん寂しくなっちゃって……

弟ができちゃったぞ!

娘が帰って来たら

びっくりするだろうな〜。


「アナタ〜♡あの子が

帰って来たわよ〜♡」


…………………………⁉︎


「本当か⁉︎」


ワシは普段ではありえないくらいの

超スピードで家の外に出た。

次の瞬間ワシは自分の目を疑った。


村の入り口に

可愛い可愛い我が娘がいる…




その後ろに……






体長3m以上の巨大な魔物がいた。


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