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ここではない世界でもう一度  作者: 夢見草
気付けば目の前に。
5/21

異世界での目覚め・相棒

 

「ますたー。」


 んんっ、なんか子供の甲高い声が聞こえる。


「マスター!」


 うるさいなぁ、起きますよ。


「んっ、眩しいな。」


 伸びをして起き上がりながら目を開けようとすると、あまりの眩しさに若干目がくらんだ。


「あっ、すいません!」


 そんな声がすると周囲の光が段々弱くなっていく。


 すると、目の前には頭の上に2本の角を生やした小さな赤い竜が浮かんでいた。


 なんていうんだろう。某携帯ゲームとかでデフォルメされた竜みたいな姿だ。


「うおっ!? なんだ!?」


「マスター、おはようございます。ご気分は如何ですか?」


 こてんと首をかしげながら、その竜は俺に対して尋ねてくる。


 やたら愛くるしい。


「マスターって、俺のこと? お前は何?」


 どうやらこちらに危害を加える様子はない。


 だが、それにしても目が覚めたら竜とか、危険信号出まくりで当然だよな。


「マスターとは貴方様のことです! 私の主様です! あの時、私を選んでくださったでしょう?」


 選んだ? 何を言ってるんだ。俺はこんな竜なんぞ選んだ覚えは・・・・・・


「あっ、もしかして、あの女神んとこで選んだオーブのことか?」


 それしか覚えがない。


「そうです! あのオーブの力の結晶がこの世界で私を形作りました。ですから、貴方は私のマスターです!」


 竜は犬のように嬉しそうに尻尾をブンブン振り、俺の頭上を飛び回る。


「特典って、よくある能力向上とかのチートじゃなく、この竜のことだったのか。」


 少し自分がチートで無双をすることを夢見ていたので、若干ショック。だって、異世界転生ってそういうものじゃない?


「マスター、どうかされました?」


 こんな円らな瞳で見られたらそんなこと言えないよね。俺、動物大好きだし!


「いや、何でもない。それにしても、ここはどこ?」


 自分が死んで、女神に別の世界に転生してもらったところまでは覚えているが、今どこにいるのか全く分からない。


 周囲は樹木で囲まれており、草が生い茂っている。


 遠くのほうには少し人がいるような明りが見えるが、定かではない。


 こんなところで寝ていてよく無事だったな。


「ここって、魔王とかいる世界なんだよなぁ。んじゃ魔物とかもいるだろうし。」


 転生しました。目が覚める前に魔物に食われて死にました。

<おおっ勇者よ。死んでしまうとは情けない>ってならなくて本当に良かった。


 あれ、そういやこの世界の勇者って死んでるんだっけ。


「ご主人様が目が覚めるまでの間、僕が周りを見ていましたけど、魔物は来ませんでしたよ? 来たって僕がやっつけるのでご安心ください!」


 色々考えていると、竜が頭上でボッと火を吐きながらそんなことを言った。


「あ、あぁ、ありがとうな。」


 若干吐いている火に驚きながら、一応お礼を言っておく。


「それにしても、まずは、どっか人がいるところに行くのがいいよな。こんなとこにいたら何時魔物に会うかわからないし。」


「魔物がきたら僕が倒します!安心してください!」


 うん、さっきも言ってたね。頼もしい。頼もしいんだけど、俺は生身なわけで。


 魔物よりも人が恋しいんだよぉぉぉ


 魔物にすぐ遭うとか怖いから!無理。絶対。


「あぁ、そういえば、お前の名前ってなんかあるの?」


 今更だが、竜の名前を聞いていなかったことに気付いた。あれ、そういや竜も魔物の一種か?


「ないです! ですから、もし宜しければマスターが付けてくださいませんか?」


 そうでもなかった。あんな目ができるやつが魔物なわけがない!ペット枠だ。


 しかも、俺に名づけろときた。


 俺ネーミングセンスないんだよなぁ。大体どっかのパクリになっちゃう。


「んー。じゃあ、イグニス。どっかの神様の名前だったよな」


 やっぱりパクリだ。


「ありがとうございます!! 名前に恥じない働きをしてみますね!」


 そんな俺の内心に気付かず、イグニスは喜んでくれた。


 どうやらこの竜は本当に俺を助けてくれるようだ。


 新たな世界の始まりに頼もしい相棒ができた。


 さぁ、街を探そう。










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