第一章 伝説の魔術師ユウの誕生4
第四話 盗賊×遊
俺は転移魔法を使い、森を抜けた。本来、転移魔法は転移する場所を知らないと発動しないが、無属性魔法(サーチと名付けた)を発動すれば、知らない場所でも転移出来ることを知った俺は、何処へでも行けるのだ。この森が、大きな街から徒歩で2日ほどの距離にあることは、サーチで確認済みである。街の中に転移することも考えたが、いきなり、制服というこの世界の人々からすれば奇抜であろう格好で街にいれば、不審者扱いされ、牢屋での生活がスタートするかもしれない。なので、もし街の外に人がいれば、その人にこの世界の常識を聞くつもりであった。
しかし、森の外に転移した数分後、俺は馬車が盗賊に襲われているのを発見した。この時俺は、チャンスだと思った。攻撃魔法の実験が出来るからだ。そして、相手は盗賊なのであまり良心が痛まないとも考えた。
そこで、盗賊たちの気を引くため、空気を振動させて、声を増幅し、話しかけた。
「おい、何やってんだよ!」
『へへ、今回は大漁だな! 野郎ども、やっちまえ!女は残しとけよ!』
盗賊の首領は、久々の大きな獲物に喜びを隠せなかった。だが、馬車の護衛と御者を殺したところで、常闇の森のほうから声が聞こえた。慌てて振り向くと、そこにいたのは、
ひとりの少年だった。予想外の光景に部下達の動きが止まったが、相手は子供一人だと知って、困惑が怒りに変わった。
「ガキ1人じゃねーか!やっーー」
盗賊の首領が最後に見たのは、首から上が無い自分の体であった。
ごめんなさい。
女の子は次の投稿になると思います