第1話 Welcome to this crazy world イカれた世界へようこそ
前回の投稿日には2つ投稿してるんで、読み忘れた方はそちらもお願いします。
今回は苦戦しました…。
その日、世界に3つの異物が紛れ込んだ。
それに気付いた者はその世界で数十人のみ。その世界の総人口から見ればほんの僅かな値である。
しかし、それに気付いた者はその世界における圧倒的強者達。何万という龍の頂点、龍王。神界からの来歴者、堕神。最強の剣士、剣聖。…………。
その者達は3つの異物の巻き起こす未来に対しそれぞれが夢想する。新たな戦いの幕開けを、神界まで巻き込んだ騒乱を、真の平穏を、……。
フェロッツ樹林、世界七大大陸が第五位クイーンクエ大陸の南西部に位置する森林である。四季のハッキリとした気候を特徴としており、そこに住む生物たちは目まぐるしく変わる環境に適応するかのように強靭な生命力と肉体を持っている。
そんなフェロッツ樹林に異変が起きたのは、世界の名だたる強者たちが異物の到来に気づく数時間前のことである。
フェロッツ樹林の中心部から数キロ離れた先に不思議な光があふれている。その光は自然に起きたものではなく、ある魔法の発動によって引き起こされたものである。見るものが見れば一目で召喚魔法とわかる光。だが、その場にはそれを感知できるものなどいない。
召喚魔法によって召喚されたものは3人の人間。言わずもがな、津村水華、伊勢修哉、小岩井千歳の三人である。
度重なる召喚によって、多少は召喚による気絶になれたのか、光が収まると同時に三人は目を覚ました。
「ここは何処?」
そう呟きながら、あたりを見回すのは水華。それに対し、二人も同様にあたりを見渡しながら答える。
「どうも森林の中みたいだね。」
「周りに人はいないみたいだな。」
とりあえずの現状確認が終わって、水華は先ほど起こった出来事について思いをめぐらせる。女神とのやり取りについてだ。確か、小岩井君が{鑑定}を使おうとしたことで女神を怒らせてしまい、魔法をかけられて、そのままこの場所まで召喚されたのだった。
確か、永久隷属の洗脳魔法だったっけ?名前からしてやばそうな魔法だ。永遠の苦しみを与えるとかいってたし。
そんなことを考えて気分を悪くしていると、急に小岩井君が伊勢君に掴みかかる。
「おいっ、てめぇ!何であの時俺に{鑑定}を使わせやがった!あのせいで俺たちは死にかけたんだぞ。それに、今も洗脳魔法が掛けられている。お前が余計な事を言わなければ今頃俺たちはあいつを怒らせることもなく無事にこの異世界まで来れていたのになぁ!」
「確かにそうかもしれない。でも、実際に{鑑定}を使ったのは僕ではなく千歳、君だよ。」
「てめえ!」ドゴッ!
小岩井君が伊勢君を殴った。
どうやら{鑑定}を使ったのは小岩井君の判断ではなく、伊勢君によるものだったらしい。
でも、今はそんなことをしている場合じゃない。
もう一度殴ろうとしている小岩井君を止めようと口を開く。
「小岩井君、待って。確かに魔法を掛けられたのは伊勢君の所為かもしれない?でも、今はそんなことをしている場合じゃない。神様も異世界は危険が多いって言ってたじゃないか。それに魔法だって解けるかもしれないよ。」
「水華、そうは言ってもこいつがっ。」
「いてて、流石に千歳のパンチは効くなあ。君たちを危険な目に合わせた事は悪かった。でも、魔法には掛かっていないはずだよ。何なら{鑑定}で調べて見るといい。」
「はっ?そんなわけ無いだろ。{鑑定}………なんで何も書いてねえんだ?」
どうやら{鑑定}には状態異常が書いていないみたいだ。でも、{鑑定}に現れないだけかも知れない。女神があの状況で魔法を掛けない筈がないし。
「やっぱりね。まず、{鑑定}に映らない状態異常という可能性はおそらくないだろう。召喚魔法や時間魔法が書かれるのに、洗脳魔法だけ書かれない事は普通無いだろう。それなら、何故魔法に掛かってないかと言えば、デイティーが僕達に防御魔法か何かを掛けてくれたからだ。」
「何でそんなこと知ってるの?神様はそんな事言ってなかったし、そんな様子も無かったような。」
「彼の行動を見ていればわかるよ。彼は僕たちを心配していたみたいだ。偽装魔法を掛ける位にはね。それなら、同時に掛けれる魔法なら掛けとくだろう。まあ、他にも根拠はあるが、どちらにしろ今僕らに魔法はかかっていない。」
「それならそうと早く言ってくれ。殴ってしまってすまなかった。」
「いや、僕が君達を危険な目に合わせたのは事実だ。殴られてあたりまえだよ。こちらの方こそごめん。
ところで、千歳。君は見たんだろう?彼女のステータス。」
「よくわかったな。ばれない様に見たつもりだったんだが。」
「バレバレだよ」
「え?いつの間に見ていたの?途中で止められた筈じゃ?」
「確かに、『かんて』まで言った所で怒った女神に止められた。が、その続きに『い』と発声すれば{鑑定}になるだろ。」
よくよくあの時を思い返してみると、
「{鑑て……っ!!!……………「い}、嫌だ、やめろっ、死にたくねぇ。放せ!」
うん……。確かに鑑定って言ってる…。
あの状況下でこんな事をやるなんて、肝が据わっているというか、怖いもの知らずというか、少なくとも僕にはまねできそうにもない。
「千歳が『嫌だ』なんて言葉使うはずもないからね。」
「うるせぇ。こっちだって必死だったんだよ。
で、まあステータスはこんな感じだ。
名前:嫉妬の邪女神 イナビス
年齢:大体50000000000歳
種族:上級神
性別:女性体
状態:
魔法:召喚魔法Lv5 洗脳魔法Lv5
スキル:世界干渉 付与
歳は正確には覚えてねぇがこんくらいだ。愛の女神なんて嘘くそだぜ」
「嫉妬の邪女神が愛の女神を名乗るなんて、よっぽど愛に嫉妬しているのかな?」
「ははっ。違いねぇ。」
「ところで、これからどうしようか。」
しばらくして伊勢君が僕達に聞いてくる。それに対して僕が返す。
「どうっていうのは?」
「いや、今からどう行動しようかって事。取りあえずずっとこのまま居るわけにもいかないし、町や人を探すためにここから移動するのか、それともここで暫く待ってみるのか。とかどうすべきかと思ってね。」
「まあどちらにしろ、飯と水はどっか補給できる所を探したいな。一応カ○リーメイトは3人1食分位は俺の鞄中に入ってるが、ただ1食分にしかならないしな。」
「そうだね。太陽の位置から見てまだ昼過ぎ位だとおもうけど、ここに留まるなら安全な寝床が必要だ。なんたってここは異世界だ。魔物とかそういったものが襲い掛かってきたって不思議じゃないからね。」
「魔法を使えるようになったんだから、それを利用すればいいんじゃない?たとえば、水魔法があれば水は出せるし、もしかしたら創造魔法で食べ物だって作れちゃうかもだよ?」
僕は魔法を使うことを提案してみた。神界で魔法の力を与えられてから、ずっと魔法を使いたくてうずうずしていた、そろそろ我慢の限界だ。一様理由は並べてみたけど、本当の理由の8割方は実際に魔法を使ってみたいというだけだ。
けど、案外建前の理由も役に立ちそうだ
「ただ、不確定要素も大きい。魔法をちゃんと使えるって保証はないし、暴発の可能性もある。魔力が足りなくなったら、おそらく何かしらの悪影響があるだろうしね。」
「寝床だけ探して、そのあと魔法を使ってみればいいんじゃねぇか?一応今日分の食いもんはあるわけだし、安全な寝床さえあればなんとかなんだろ。」
そうやって色々話あった結果、取りあえず寝床を探してその後魔法の練習をすることになった。なんだかんだ言って、みんな魔法を早く使ってみたかったみたいだ。また、寝床を拠点として暫くの間は旅に出ず、旅の準備をする事にした。
他にも色々決めたけど、大した事はこのくらいだ。
その後、寝床を探すことになったけど、召喚地点から歩く事20分で、寝床にぴったりな木を見つけた。結構大きな木で、木の股が平たくなっているので、寝るのに苦労しない。
他にもいくつか候補を見つくろってはいたが、結局その木を見た瞬間にそれを寝床にすることが全員一致でで決まった。
前準備も終わったことだし、早速魔法を使ってみよう!!!
休日中には続きを投稿できればな