表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者とチートとスライム使い  作者: 家人
第1章 ゴブリンとの邂逅
10/11

第4話 限界バトル!

一週間ぶりです。


アクセス3000、ユニーク1000突破しました!!

ありがとうございます!


今回の視点は修哉です。

狼。

イヌ科イヌ属に属する哺乳動物だ。体胴長100~160cm、肩までの体高60~90cm、体重は25~50kgであり、現生のイヌ科のなかで最大となる。

また、社会的な生物としても知られており、雌雄のペアを中心とした2~15頭ほどの群れを形成する。群れの縄張りの広さも広範囲で、100 - 1000平方キロメートルにも及ぶ。

上位個体をリーダーとした統率のとれた連携と、時速70kmで20分間走り続けられる持久力は、他には類を見ない狼の強みだ。


元の世界においても、多くの地域で食物連鎖の頂点に立つ狼。

しかし、異世界のウルフから見れば狼などほんの子供にすぎない。体長は2mを越え、体重100kgとその大きさは別格。武器となる牙や爪も狼とは比べ物にならない。その上で、魔力によって体が強化されているのだから、その強さは推して知るべしと言った所であろう。


そんなウルフを前に水華は震えていた。

先程までは、恐怖を圧し殺していることができた。しかし、ウルフの咆哮を聞いた後ではそれすら出来ない。

何しろ、元の世界においても狼と敵対したとなれば、死は免れないのだ。況んやウルフを於てをや、だ。

今まで修哉や千歳のせいで数々の危険な目に会ってきたとは言え、初めて感じる圧倒的な死の恐怖。それに対し震える事しか出来ないのは仕方の無い事だろう。


寧ろ、他の2人の方が異常であろう。

何処から拾ってきたのであろうか、すでに修哉は1m程の大きな棒を構え、戦いに備えている。

千歳の方も何かあれば直ぐ動けるよう、拳を握りしめウルフを油断なく見つめる。

それはウルフの咆哮を聞いた後でも変わらず、寧ろいっそう注意深くウルフを見つめる結果となっている。


咆哮を聞いても逃げ出さない二人に、ウルフも警戒して直ぐには飛びかからない。低い唸り声を上げながら三人から目を離さずに、ゆっくりと周囲を回る。

まるで、じっくりと三人の弱点を暴くかのように…。




****




(くそっ。全く隙がない。)


修哉はウルフを見てそう思う。

先程からウルフはこっちを見ながら周りを歩いている。しかし、その間こちらから意識が逸れることは一度も無かった。


少しくらい気を逸らしてくれてもいいのに、そう思わずには居られない。

幾らこちらに三人いるからと言って向こうは狼。それも、修哉が知っているものより随分と大きいのだ。一斉に三人でかかったとしても、蹂躙されるだけ戦闘力に差があるだろう。


何とか油断した所を狙えば、勝てはしなくとも逃げれる位までダメージを与える事なら出来るかも知れない。

そう思うのだが、この戦力差が有るにも関わらずウルフには油断の一つない。


そんなウルフの様子に徐々に焦りが出てくる。集中力も切れてきた。

修哉は剣道部の部長だ。故に、普通の人に比べれば剣の扱いにも秀でているし、剣を構え慣れてもいる。

しかし、だからといって、相手の動向に注意しながら剣を構え続ける事は、想像以上に体力も集中力も持って行かれる事なのだ。命の危険というプレッシャーがかかっていれば、それは何十倍にも増えるだろう。


隣を見ると千歳にも焦りの色が浮かんでおり、頬に冷汗が流れている。


ついに待ちきれなくなったのか、千歳が口を動かした。



「{鑑定}」



その瞬間、それに反応したかのように狼が三人に襲い掛かってきた。

その目標となったのは{鑑定}を使った千歳ではなく水華。

弱者から狙う。動物界における鉄則に従った結果だ。

今なおウルフを見て震えているだけの水華は、この三人の中では明らかに最弱なのだから。


まっすぐ水華へと向かっていくウルフに対し、修哉はその進路を妨害するように移動する。


ウルフが迫って来る。


ウルフが飛び掛かるタイミングに合わせて棒を振り下ろした。


しかし、ウルフは飛び掛かっては来なかった。

ウルフはそれを予期していたかのように、その棒を紙一重で無駄なくよけたのだ。

完全に捉えたと思っていた修哉はその動きに反応できない。


空振りし隙だらけになった修哉の横をウルフは通りすぎる。あくまで狙いは水華のままのようだ。


「くそっ!水華避けろー!」


そう叫びながら、何とか通り過ぎるのを阻止しようと手を伸ばすが届かない。


後ろを振り向くと、ウルフが大口を開けながら水華の首に被りつこうとしている。

水華は全く反応出来ていない。


噛まれる!


そう思った瞬間、右から何かがウルフにぶつかった。

千歳のタックルだ。


ウルフが数メートル吹き飛ばされる。流石のウルフも体重130kgの全力タックルは効くようだ。


間髪逃さず、修哉はウルフに追従する。

既にウルフは体勢を立て直しているが、かまわない。

先程避けられた事を踏まえ、予備動作の少ない突きを放つ。


放たれた突きを回避しようとウルフが横に動く。

しかし、ウルフも吹き飛ばされた直後。体勢を立て直したとはいえ、その回避は間に合わない。

突きはそのまま右足に命中した。


ウルフはそれに怯んだのか、顎を引いて低くうなる。


チャンスだ!

もう一発叩き込もうと、すかさず棒を振り上げる。


そこに千歳の声が届く。


「そいつ、風魔法を撃つ気だ!避けろ!」



降り下ろす腕もそのままに、脚の筋肉総動員して横に飛び退く。

すると、さっきまでいた場所を風の球が通り過ぎた。


修哉はほっと一息ついて前を向こうとした。その瞬間、腹部に大きな衝撃が走る。


何が起こったか分からない。確かに避けた筈なのに吹き飛ばされたのだ。

かなりの勢いであり、木にぶつかってようやく止まる。

風魔法を2発連続で撃っていたのか?


「「大丈夫か?!」」


二人がこちらを振り返って叫ぶ。


が、そんなことをしている暇は無い。ウルフが二人に迫っているのだ。

背中をうち据えられ呼吸もままならないが、何とか叫び返す。


「っ馬鹿野郎!!前を向け!」


二人が慌てて前を向く。


既にウルフは千歳に飛びかかり、その腕を顔に向けて降り下ろそうとしている。

千歳は咄嗟に腕をクロスさせ、顔を守った。


腕のカードが間に合う。

しかし、ウルフの爪が千歳の腕を切り裂いた。千歳の腕から鮮血が舞う。かなり深い傷だ。筋肉まで抉れているだろう。


それを全く気にもせず、千歳は蹴りを加えようとする。ウルフの着地をねらっているのだ。


しかし、その攻撃も防がれる。

いつの間にか放たれていた風魔法が千歳を吹き飛ばした。


ウルフが飛ばされた千歳の方に向かう。

風魔法の威力からして千歳はしばらく動けないはず。とどめを刺そうとしているのだ。


助けに行きたいが、こちらも体が動かない。

このままじゃ……。


その時、ウルフに後ろから何かがぶつけられた。ウルフにぶつかったのはスライムのモノ。

水華の魔法だ。


ウルフはモノに向かって噛みつく。

動きの遅いモノは変形しながら何とかそれ避けた。


しかし、よけた先に在ったのはウルフの前足。簡単に抑えられ、抵抗も出来ないまま噛みつかれてしまう。

何とか口から離れようとモノも抵抗するが、全く逃れられない。

そこに、


「モノを放せっ!!」


そう叫びながら水華が殴りかかる。

が、ウルフは全くそれを意に介した様子は無い。


そのままウルフは抵抗していたモノを噛みきった。

先程まで何とか抵抗していたモノの動きが鈍っていく。徐々に力を失うかのようにして、最後には体が動かなくなった。


それと同時にモノは光となって消えた。



(ヤバイヤバイヤバイ!くそっ、もう無事なのは、水華しかいない。このままじゃ全員…)


モノが消失したのをきっかけに、修哉は死を強く意識してしまう。このままでは全滅だ。

実在、ろくに動けるのが、戦闘の得意でない水華だけ。

無事な水華だけでも逃がそうと思うが、やはりほとんど体は言うことを聞かない。


その間にも水華は追い詰められ、ウルフに体を抑えられている。


咄嗟に助けに行こうと無理矢理にも体を動かす。

だが、今から向こうまで行っても間に合いそうにない。


なら、遠距離攻撃だ。

だが、その中でウルフに効きそうなものは一つのみ。

未だ一度も上手く行っていない単属性魔法。

ぶっつけ本番で成功させなければならない。


修哉は一か八か魔法を撃つことに決めた。


修哉は極限まで集中する。イメージする。魔法を放つ感覚を。

体の中の全魔力を単属性に変化させていく。それを全て一ヶ所にかき集める。


そして、放った。


出てきたのは雷。

雷の球体がウルフへと向かって行く。

水華に夢中になっているウルフは気がつかない。


そして、直撃した。


雷がウルフの体を駆け巡る。ウルフの体を焼いていく。

ウルフは何が起こったかもわからずに、倒れる。


成功だ。

ウルフは辛うじて生きているものの、ほとんど動けない状態のようだ。


それもそのはず、ウルフが食らった雷魔法は初心者のまだ拙い魔法とはいえ、修哉の並外れた魔力をほとんど全て注ぎ込んだ魔法なのだ。その威力は非常に大きなものとなる。




「やったぞ。水華、千歳。僕達は勝ったんだ!!」


疲れと喜びの混じった顔で僕は言う。それに返事する二人も似たような感じだ。


「ああ、修哉の雷魔法。生き残ったのも修哉が魔法を決めたお陰だ。」


「良かった。ほんとうによかった!!みんな死んじゃうかと……。」


水華は涙を流しながら答えている。

良かった。三人誰も死ななかったのだから。

しかし、モノは……どうなのだろう?


「水華、モノは……」


そう聞こうとした時、後ろの方から

ガサガサ

という音がなった。

嫌な予感がしながらも後ろを向かざるを得ない。


そこから姿を表したのは、ウルフ5匹。どれも先程と同じかそれ以上の大きさがある。

先程まで戦っていたのはこの群れの一員に過ぎなかったのだろう。


僕達は絶望した様子でそちらを見た。

もう、魔法を撃つことも、体を動かす事も出来ない。

死を覚悟してその場に留まる。



ウルフが飛び掛かってきて、思わず目を閉じてしまう。





…………いつまで経っても傷みも衝撃もやって来ない。

不思議に思って目を開いてみる。そこには飛び掛かって来ていた筈のウルフが倒れている。


周りを見ると他のウルフ達も倒れている。どれも矢が急所を貫いているようだ。


(何が起こったのだろう?取り敢えず、助かった事だけは分かるが。)


すると、くぐもった低い声で何か喋っている様な音が、茂みの奥から聞こえて来る。


「グガッ。グガガゴブ」

「ガゴ。ゴゴガブガグブリ、ゴギギグ」



その後、ガサガサと音が鳴ったかと思うと、茂みから声の主が出てきた。

その正体は、緑色の肌をした子供位の背丈の生き物。ゴブリンと言われて想像するだろう姿だ。

多少違うとするならば、ちゃんとした服を着ている位か。


それが2匹。しかし、そのどちらもが棍棒を持っているだけで、弓は持っていない。

少なくとももう一匹いるはずだ。そう思っていると、同じ茂みからもう一つの影が現れた。


ゴブリン、なのであろうか。緑色と言う点は変わらないが、身長は170cm程度、容姿はゴブリンと言うより人間に近い。


そのゴブリンモドキがこちらに向かって話し掛けてくる。


「 )》{【『∋⊇→↑〒⊇→▼△▼、ΔΚΒΕヱΜΒΣΘ〒‰ゑ¶ゑ、ヰゐヰゎ 。」


「 ヰゐヰゎ。」


「 ヰゐヰゎ。 」


最後の言葉を二人のゴブリンも復唱する。

何を言っているか分からない。

しかし、何か怒っている様に聞こえる。



下手に刺激しない方がいいだろう。そう思い黙っていると、水華が話し掛ける。


「助けてください!僕達怪しい者じゃ……「 ▲●◆→↑→△→⊇∋ψБГГфхх┐ь┘┛⑱Ⅰ⑲Ⅵ〟㍻〟 」……」



水華の言葉を遮ってモドキが話す。

すると、ゴブリン2匹が寄ってくる。


どうやら、またも命の危険のようだ。


頭に衝撃がはしる。ゴブリンが、棍棒で修哉の頭を殴り付けたのだ。


くそっ痛い。

せめてもの抵抗で、ゴブリンを睨もうとする。


2発目の衝撃。

結局睨む事の出来ないまま、意識が暗転した。


色々あって遅れました。

ちょっと文体を替えてみようかと思ったり、それに伴って改稿しようかと思ったり。

草刈りしてたら鎌が折れたり、テストがあったり。

あと、グラス買いました。1日かけて。


どうでもいいですね。

改稿はそのうちするかもしれません。


次の更新は土曜日かね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ