sexless maniac
「きみは、何をいつも考えてるの?」
僕は問う。いつも柔らかくきみは笑って。
「何も?」
きみは誤魔化す。僕は蚊帳の外だよね。
彼女とも、彼とも言えない、きみ。僕は出会って一年経ったけど。僕は未だきみの本名さえ知らない。
スリムな体、美しい華奢なフォルム。ふんわり顔と頭を覆う可愛らしい巻き毛の毛先。
「きみは、笑うばっかりだね」
ふふふ。立てる声は低くも高くも無い。透き通る、鈴の余韻。
「僕はさ、きみがまだ男か女かもわからないのだけど」
僕が告げると。
「そんなに気になるの? たかが性別が?」
厭味を見せず、そこには針も棘も無い。一刺し二刺しされるような言葉なのに。
「ねぇ? そんなに重要?」
面白そうに。揶揄するように。それに痛みを伴わない。ましてや負い目や恥など。
むしろ快感さえ付き纏う。きみの笑顔は艶やかで。気にならないと言えば嘘にはなる。
だがそれはこの空間に比べたら、矮小な問題だ。性別も年齢も本名すらも知らないけれど。
僕はきみを愛してる。
それは性別も人間性さえも超えて。
僕の大切な真実の愛。
【Fin.】