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7th~世界守護の七人~  作者: 飛河
7度目の正直・編
9/23

あまり、面白くないかもしれません

昇降機前でカグラさんと別れてボクは自室に戻る

備え付けの浴室にそのまま向かい服を脱いだ、浴槽には自動でお湯が溜まっており

湯加減をみれば丁度いい。鼻歌交じりにシャワーを浴びる

「気持ちいい~」

ある程度温まったのでボディソープを手に取りスポンジで泡立てていく

フラウに仕込まれたことを反芻しながら身体をこすっていく、力は込めない

全身泡だらけになったところで再度シャワーを浴びる

神様の自信作であろうボクのボディはぴかぴかになった。自分でも美しく思う

そばにある姿見の前に立ってみる、この身体をじっくり見たのは今が初めてだ

(ああ・・・自分自身だというのが本当に惜しい)

光の加減で金に見える髪は長く癖が無いし、瞳は大きく意志の強さを

感じる。身体は全体的に小柄な感じだが、胸は結構大きく腰もしまっている、お尻のラインや大きさも実にボク好みだ。

太もものむちっとした感じも素晴らしい。着る服によっては絶対領域と

呼ばれる伝説の呪文が容易に発動可能だろう

じっくり全身を見終わった後、髪の毛を洗って邪魔にならないように纏め、ボクは浴槽へ身を沈めた

「はぁ・・・・温まるなぁ・・・」

肩まで浸かった所で、一息ついて今日一日を振り返ってみる。

本当に色々な体験をした。過去の記憶と照らし合わせてみても、これほど

生きている楽しさを感じた事はないって程だ。

「ふわ・・・・」

身体に湯の熱が行き渡ったせいだろうか、とても眠い。このまま寝てしまいそうになるのを

堪え、湯船より出る。明日から学校が始まるから早めに寝てしまおう


身体と髪から水分を拭き取って、下着を着ける。本当に何にも抵抗感がないのは、不思議だ

フラウには神様がそう創ったからだと言ったけど、余りにも自然に馴染みすぎている。

詳しく説明する事ではないが、トイレのしかたとかも何の違和感もなかった

「神様・・・・やりすぎだろう」

神様の本気度に少々呆れた。意識と身体が合ってなけりゃ必ずどこかでバグが生じるから

助かる事に変わりはないけど。それでも、ボクは男のプライドもあったのだ。

起きたら女の子で何の問題もなく生活できますって、無理矢理にも程がある

「多分この辺も完璧なんだろうなぁ」

下腹の辺りを軽くさする、女性として一番大事な部分だろうここにも男性時にはなかった

器官が存在するのを感じ取れた。

「ああ・・・もしかして、してしまうと赤ちゃんできるのかな・・・」

意識して落ち込む。まさかボクが子供を産める身体になるなんて考えもしなかったよ

悩み出すと止まらないので、頭を軽く振り気持ちを入れ替える。寝て起きれば、学園生活だ

「おやすみなさい・・・」

ベッドに潜り込む、ああ布団もシーツも高級品なんだな、これはよく眠れそうだ


夢を見た。これは、遠い昔の記憶の世界だ

その世界でボクは最も信頼できる仲間と共に世界を駆け巡っていた

ある時は深海に眠る大蛇と戦い、またある時は忘れ去られた研究所に巣食う科学兵器と戦う

仲間と過ごす時間はとても楽しかったけど、それよりボクは戦っている時間の方が長かった

と思う。やがて、仲間は一人ずつ離れていく・・・ある者は仲間の為の犠牲に、ある者は

一族の為に命を賭した。そして、ボクは初めて信頼しあえた仲間の願いを裏切ったんだ

世界の破壊という最悪のシナリオで


後の歴史は思い出したくもない。ボクは神様の与えてくれた命を使い、何度も何度も戦った。

多分、その途中でヤケになっていたのだろう。ボクは使命の中でとんでもない過ちを犯した

仲間である女性達と身体の関係を持ってしまったんだ。そうして、そこに癒しを求めるように

なり世界崩壊を引き起こし続けた。平和な未来を願っていたはずなのに、何も知らない人々を

たくさん死なせてしまった。それなのに、ボクはまたこうして生きている。

その事実に恐怖を覚える。ボクの命は数多の人々の未来を奪った先に与えられた罪人の命なんだ

それを自覚した途端、身体の芯に冷たい刃が突き立てられたように感じた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

繰り返す、何度も何度も繰り返す。誰も許してくれないのは分かっているけれど、ボクは

いつの間にか冷たい檻の中で通り過ぎていった命と守る事の出来なかった世界に対して

届かない謝罪を繰り返した。

この冷たさの中でボクは自分自身の存在を消してしまいたい衝動にかられた

このまま、そう氷漬けのままいられれば楽なのかもしれないな・・・

そう思った途端、暖かな光に包まれたような気がした。

暗い闇の中に少しづつ陽が射してきた。それと同時に誰かに抱きしめられている感じがする。

暖かい、このぬくもりを知る事ができた今なら、もう何も怖くない。


意識が覚醒する。昔の出来事を夢で見るなんて気分がよくない・・・

それにしても悪夢を見た割には心と身体が安心感に包まれている気がする

ぽにょんとした柔らかい安心感に・・・・・・柔らかい?

「んっ・・・」

ちょっと艶を孕んだ声がする。何とか首を捻り声の発生源に向くと

「カ、カグラさんっ!?」

いつどうやって入り込んだのかカグラさんがボクのベッド内でボクを抱き枕にしていた

「ふぁ・・・ユキノちゃん、おはよう・・・」

寝ぼけてるのかな、とろんとした目つきでボクをちゃん付けで呼ぶ。昼間や夕食時に見た

キリッとした姿と正反対に甘えんぼな感じだ

「あのっ、どうしてボクのベッドに?!」

それはさておき暢気に観察している場合じゃない。どうしてこんな事態に陥ったのかが重要だ

「ああ・・・・酷くうなされてたのが聞こえたから、助けてあげなくちゃって・・・

思ったのぉ」

喋り方も何だかふわふわしてる。しかしボクはそんなに酷いうなされ方をしていたのだろうか

「そ、そろそろ起きませんか?」

「っ!・・・そうね」

完全に覚醒したらしい。頬を赤く染めボクの体から拘束していた腕を解く

「ユキノちゃ・・・さん」

「ちゃんでもいいですよ」

無理してる感が漂う呼び方なので訂正する。ボクは呼ばれ方に拘りもないし

「じゃ、ユキノちゃん。さっきまでのワタシの行動は忘れてね」

顔を真っ赤にしてそっぽを向くカグラさん。よっぽど恥ずかしかったんだろう

よくよく見ると薄いネグリジェ姿で、ボクは朝から血圧がぎゅんぎゅん上がるけど

それ以外に気になることがある。

「所でこの部屋にはどうやって入ったんですか?」

「ああ、ワタシ全部屋の合鍵持ってるし」

しれっととんでもない事言い出したよこの人!どう対応すればいいんだ。

「ホームシックにかかっちゃう子もいるから、時々慰めたりするのよ。添い寝したりして」

添い寝・・・そういうサービスもあるのか!毎日、お願いしたい!!

「いつも、こんな事をしてるんですか?」

「時々、夜の見回りも兼ねて寮内を散歩するのよ。その時にユキノちゃんみたいに

うなされてたり、夜泣きする下級生を見つけたら落ち着くまで一緒にいてあげるの」

母性溢れる対応にココロの涙が止まらない、ボクは今この生活に全身全霊で感謝と感激した

「ユキノちゃん随分苦しそうだったわよ?ごめんなさいって何度も繰り返して」

指摘されると凄く恥ずかしい。過去の所業を悪夢として見てたので倍プッシュだ

「きっと初めての一人暮らしなのでしょ?寂しいときはお姉さんを頼りなさい」

「は、はい。色々と頼らせてください」

ここは素直に従っておくべきだろう、というか頼りたいし抱きしめてください

「あらあら、もうこんな時間。それじゃ着替えて食堂であいましょ」

「はい、分かりました」

ボクの返事を聞くとカグラさんは颯爽とベッドから抜け出して部屋を出て行った。


カグラさんとの約束通り、制服に着替え余り目立たない様にするため、

伊達眼鏡をかけた。


準備万端で食堂に向かうと、昨日同様誰もいないかと思われたそこに、

一人の小柄な女子が立っていた。

「お待ちしておりましたのです・・・」

こちらをじっと見つめているその少女は、間違いなくボクに対してそう言った

「ボクを・・・?」

「そうなのです」

この学校には今日から通うのだ。ここに来て知り合ったのはアルミ先生にカグラさん。

それ以外に知り合いなどいるはずもないのに・・・

「詳しい話は学園に行ってからにするのです。では」

「え・・あ、うん」

一方的に話を打ち切り彼女は一人離れたテーブルに着いた。一体誰なんだろう?

「お待たせユキノちゃん。って、どうしたの?」

「あ、いいえ何でもないです。早くご飯にしましょう」

カグラさんを心配させてもいけないので何事無かったように振る舞いテーブルに着く

気にはなったが、今は目の前の入学式を乗り切ろう

「今日の入学式でワタシ歓迎の挨拶をするのよ。ユキノちゃん応援してね」

もちろんです。カグラさんのお姿は心のメモリーに刻み付けます

微修正予定

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