表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7th~世界守護の七人~  作者: 飛河
7度目の正直・編
7/23

漸く学園に着きそう

5駅程移動して学園前に着く

ここからは、もうアーディナル学園の敷地内

ティオピーネ内でも更に門で閉ざされている独立国家みたいな所だ。

ジャピーノに入国したときのように何もない入り口に立てば魔法陣の門が

ボクが生徒である認証を行い、学園内に進むことが出来た。

「厳重すぎないか・・・?」

お嬢様学校という巷での認識に恥じないセキュリティなんだろうけど、周囲から

反感とか抱かれないのか非常に気になる。

荘厳な門を潜り抜けたその先にはアーケード街が広がっている

そこには様々な店が立ち並んでおり、繁華街に負けず劣らず賑わっていた

「学園だよね?ここ」

どうやら、アーディナル学園内だけで全ての生活が賄えてしまう世界のようだ

お金持ちのお嬢様が多い学校なので、箱庭の生活で安全を得たいのかもしれない

この敷地内なら犯罪に巻き込まれることも無いのかな?

学生寮に向かう都合もありアーケードをぶらぶら歩く

しかし、ここに来る前にティオピーネの繁華街も見たけど、空気が違うなぁ

何というかお店も店員さんも朗らかで優雅さも感じる。さすが、お嬢様御用達だな

あちこちに視線を投げ、ふと遠くに眼を向けると反対側より近づく少女に気づいた。

一目で見て上品だと分かる装いの女の子で特徴的な燃えるような赤毛が印象的だ

「あら、ごきげんよう」

ボクが見ていたことに気づいたらしく、声をかけてきた。綺麗な声が耳に心地よい

「えっと、ごきげんよう」

慣れない言葉使いなんで戸惑い気味に返事をしてみる、微笑みつきで

「初めて見る方ね、新入生かしら?」

「ええ、今度高等部に入学します。今日は、一足先に寮へ」

「まあ、中途入学なのね。この学園は特殊なところに感じるかもしれないけど

きっと、素敵な時間を過ごせるわ。ようこそ、アーディナルへ」

にこやかに笑いながら、すっと右手を差し出す少女に驚きながらも

ボクはその手を軽く握った。すべすべしてさわり心地がいいなぁ

「ありがとうございます。早くなじめるように頑張りますね」

あまり長く喋るとボロが出そうなので、無難な挨拶で締めくくり、ひとまずその場を後にした


私は新入生を名乗った風変わりな少女の後姿を何とはなしに見送った

「変わった子ね・・・」

話しかけたのは、ほんの気まぐれだった。見つめていた彼女の瞳が妙に

気になったからかもしれない。何故だか胸の奥が疼いているような甘い感覚が走る

「何・・・これ・・・」

感じたことのない気持ちに私は言い知れぬ高揚感を得る、満たされなかった日々が

変わっていく予感がした。

「あの子、新入生と言っていたわね・・・ふふ、楽しくなりそうだわ」

自然と口元がほころんだ自分に少々驚きながら、私はその場を離れた


「綺麗な女の子だったな・・・少し楽しみになってきたかも」

この身体で出来ることは少ないけど、女性となったアドバンテージを利用しない手はない

あんまりやりすぎて、失敗して世界崩壊なんてゴメンだけど少し楽しむくらいは

大目に見てほしいなと誰にともなく謝りながら、ボクは弾む気持ちで学生寮に急いだ


開けた場所に出る。美しい庭園と芝生に囲まれた建物の前に着いた。

そこがアーディナル学園の学生寮だ。学生の大半がこの寮で暮らす為、大きくて

頑丈な作りだ。けれども装飾にも拘っており、過去の文献で見たグランドホテルという

高級宿泊施設を彷彿とさせる。この学園は古き歴史も決して疎かにしない理念を元に

経営しているようである。立派なことだし、フラウから聞いた世界情勢からいえば

異端とも取れる

「ま、ボクにはあんまり関係ないけどね」

寮の入り口に立ち、データカードを備え付けのスリットに通すとガチャリと鍵が開く

魔法陣型のセキュリティと違って、ここは手動の部分もあるんだな

木製の扉を押し開くと真っ赤な絨毯が敷き詰められたホールが広がる

上を向けばシャンデリア、左手側にはホテルのチェックイン・カウンターに似た卓があった

寮監に到着した旨を伝えるため、近づいてみる。カウンター内に人影は無いので、呼出し用の

ハンドベルを鳴らしてみる


りん、と涼しげな音が響くと共に妙齢の女性がいきなりカウンター内に現れた

「ようこそ、アステル寮へ」

かすれたような声で薄く笑う女性、ゆっくり消えたり現れたりを繰り返している

本当に生きている人間なのか疑わしい、というか間違いなく幽霊だろう

視覚的に心臓によろしくない女性だが、そのはかなさが色気を感じさせる。

内心動揺もしたが、表面には出さない訓練位は出来ているので、挨拶を返した

「始めまして、本日よりお世話になります。ユキノ・エルスティンと申します」

フルネームで名乗る、姓は偽名だ。ボクはユキノという名前しか無い為、転生の度

フラウと頭を悩ませ、偽名を作る。今回も二人で図書室の本を何百とひっくり返し考えたモノだ

「あら、新入生の子ね。はい、存じ上げておりますよ・・・そうそう、自己紹介がまだだったわね」

オホンと咳払いをするような仕草をとり、現在進行で透けている女性は喋り続ける

「ワタクシは寮監、ハーフ・ガイストのアルミスト・シェンランと申します」

名をはっきりと発音した途端、アルミストさんの姿形が、はっきりとしたものに変わる

さっきまで背景が透けて見えるくらいに不安定な感じだったのにだ。

「あら、驚きました?うふふ、ワタクシの種族は幽霊としての特性を備えておりまして

自分の意思で姿を消したり出来るのですよ」

そんな朗らかに言わないでほしい、幽霊の類に慣れていないわけではないが急に消えたり

出てきたりすれば、いくらボクでも驚くのだ

「アルミスト・・・先生とお呼びしたほうがよろしいのですか?」

少し早い動悸を整えながら、ボクはアルミストさんを観察する

薄桃色のロングヘアーにゆったりとした衣服、お胸は豊か・・・ぱーふぇくと、だ

「あ、あら?その・・・まじまじと観察しないで・・・」

視線が自分の胸に集中しているのに気づいたらしく弱々しい声で胸を隠すようにしながら

半透明へ・・・

「ご、ごめんなさい!立派なモノをお持ちなのでつい・・・じゃなくて、随分と可愛い

寮監さんだなって思いまして」

慌てて取り繕い、アルミストさんの警戒を解く。初日からこれではフラウに後で何を言われるか

「そ、そうでしたの?可愛いなんて、そんな・・・・」

いやんいやんと身もだえしながら実体化しなおしてくれた、良かった一安心だ


「では、気をとりなおして・・・ユキノさんがこれから暮らす、アステル寮を案内しますね」

アルミストさんが、ぱちりと指をならす。すると、どこからかテーブルとイスがふわふわ飛んでくる

「さ、お座りになって・・・初めにこの寮の歴史からご説明いたしましょう」

いつのまにかティーセットにお茶請けの菓子までセッティングされていた

「では、お話を始めましょう」

ボクは一時間くらいかけて寮の成り立ちや寮則、更には施設の利用方法なんかを

懇切丁寧にご教授いただいたのだった。

ちなみに呼び方は寮長とかアルミちゃんとか先生とか何でもいいそうです。


「さ、今度はお部屋まで案内しますね」

お茶も飲みすぎて、ちゃぽちゃぽと音がしそうな、おなかを気にしながら

アルミ先生の後を着いていく。そのままエントランスホール正面横の自動昇降機へ

入る。これも旧世代の遺物を参考にしたシステムで、昔存在した物との違いは

箱型では無く透明な筒の中に薄い板が浮いている。その上に立つと空中にコントロール

パネルが現れる。そこにタッチする事で目的の階に足元の板が上下に動くし仕組みみたい

「ユキノさんのお部屋は5階の374号室です。一人部屋ですが、結構広いので快適な

生活が送れると思いますよ」

アルミ先生が眩しいほどの笑顔で説明する。この寮は2、3、5階に部屋があり、各階

百部屋で、その他1階はエントランスと食堂で4階は色々な施設があるとの事。

正直ボクは眠れるスペースがあれば何でもいいのだが、こうも楽しげに話されると

快適な生活を満喫してみようと思った。

「アルミ先生もこの寮で暮らしているのですか?」

「はい、ワタクシは一階のカウンター奥に備え付けられた居住スペースに住んでます。

生徒さん程ではありませんが、中々いいところですよ」

生徒が豪華な部屋というのは想像に難くないので、先生の部屋は安心できる位の適度な

スペースなのかもしれない。

「広すぎると落ち着かない気がするので、時々はアルミ先生の所へ遊びに行っても

いいでしょうか?」

「え!?あ、はい・・・もちろんよろしいですよ」

何だか急にもじもじしだした・・・変な事を言っただろうか。

まぁ、余り深く考えなくてもいいだろう・・・・良いよね?

微修正は続けます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ