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7th~世界守護の七人~  作者: 飛河
7度目の正直・編
6/23

学園生活は何色か?①

目映い光が止んだ時、目の前に広がるのは一本の整備された道と

青々とした草が生い茂った広い平野だった

「だいぶ、自然が戻ってきてるんだなぁ」

遠い過去の記憶を思い返しながら、ボクは学園へ向けて歩き出した


フラウナイトの手配で大きな荷物は既に学生寮へ運ばれている

なので軽めのカバンと身一つでのんびりと学校に向かう

文明が融和していると聞いてはいたけど、機械で動く車や飛行機は、まったく

見られない。人家の類も何にも無い、何だか退化してるんじゃなかろうか

誰ともすれ違わないし、道を間違ってないか不安がよぎる

「あれ?この道であってるよな・・・地図は、っと」

左腕に付けている時計のボタンを押すと立体映像の地図が浮かぶ

これは、三千年前に気に入って購入した物でフラウが大切に整備してくれていた。

もちろん最新の地図データが反映されている

「ああ、間違ってなかった。って、このままのペースだと、到着が

夜中になってしまう!」

目的地までの距離を算出してくれる機能が便利だが、ボクはスタート地点を

間違っていたみたいだ、降りてすぐ確認すべきだった

「よし、せっかくだ。練習も兼ねて身体強化の魔法を使ってみよう!」

この身体になって最初の魔法になる、緊張の一瞬だ

全身から身体の中心にある魔方陣へ魔力が行き渡るのをイメージすると

胸の辺りがぽかぽかとしてきたのが感じ取れた

「よし、いい感じだ。巡れ魔力よ!」

言葉にはっきりと出す、慣れていれば考えることで発動が可能だけれど

ボクはこの間の追いかけっこでフラウを捕まえられなかった事を思い出し

基礎に立ち返るつもりで魔術を編んでいく

「発動、“アクセル・ウインド”」

属性でいえば風、対象の速度を上げる魔法で本来は、すばしこい敵を相手に

使う魔法である。でも、今は目的地に着く為の手段だ

大地を軽く蹴るとすべるように前へ進んでいく、身体に負担がかからないので

快適な走りだ。身体に流れる風も気持ちがいい

「いいぞいいぞ、もうちょっとスピードあげてみるか」

更にイメージ、アクセル・ウインドに重ねがけでアクセル・ストームへ昇華

「ヒャホー・・・って、やばいやばいやばいーーーっ」

景色が極彩色の線みたいになってきた・・・それに伴い身体が軽く

押しつぶされるように苦しくなってきた

「むぐぐぐぐぅ」

しゃべれない、転生して自分の魔法で死んで失敗とか恥だ

最後のチャンスだってのに馬鹿かボクは!!必死に頭でイメージ

ディスペル・サインを身体の中心に叩き込む

ズザーッと大きな音を立ててボクは漸く止まる事が出来た・・・が

「ああ・・・・何だか何もかもボロボロじゃないか・・・」

カバンは無事だが、制服は裂け皮膚はボロボロで血が流れている

そこまで深い傷ではないようだが、美少女がするカッコではない

「えーと、“ブライト・ヒール”それから衣服に“リペアー・ジェル”」

回復魔法に物質補修の魔法を行使する。そこまで使った時に眩暈がした

「魔力が切れたみたいだな・・・魔力の総量も激減してるんだ」

体力に魔力、この分だと筋力なんてないに等しいのかもしれない

つくづく、この身体が不便だということを思い知らされた

「はぁ・・・落ち込んでても仕方ない、学園に急ごうっと」

顔を上げてみれば少し離れた場所に大きな門が見えた、そこが目的地

アーディナル学園がある国だ


「ようこそ、ジャピーノへ。」

愛想のいい門番が迎えて入れてくれる、古めかしい門扉は

ハイテクさの欠片もないが、国へ入る審査にはパーソナル・データカードという

電子制御のメモリーカードが必要となっていて、こんな所に科学文明との融和が見える

カバンの中からボクのデータ・カードを手渡し入国手続きを行う。

「アーディナル学園に入学するんです。今日からこの国で生活する事になりますね」

手渡す際に、地上に降りる前フラウに徹底的にたたき込まれた女性らしい仕草をとり

笑顔で門番へ返事をしてみた。

「ああ!もうすぐ、新入生が増える時期でしたね。こちらの国は素晴らしい所です。

あなたに素敵な時間が待っていますように祈っております」

少し頬を赤く染めて、祝福の言葉と共にカードに認証データをインストールする

門番さん。どうやら、ボクの美少女スマイルは完璧のようだ。

案内にしたがって進んでいくと街中が見える大きな入り口が見えた

そこに立つと透明に見えた入り口に一瞬、魔方陣の模様が浮かび上がりパッと霧散する

カード内の認証キーが正常に発動している証拠なのだろう、

これはボクの記憶には無い技術だ

「わぁ・・・・」

大きな賑わいを見せる街並みに思わず感嘆の声を上げてしまう

軽く見回してみれば様々な人種が歩いており、色とりどりの建物が立ち並んでいた

こういう景色を見ると、人の文化というものは変わらない部分もあるのだと思う

それでも、純血の人間がいた時代に比べればファンタジーよりの建築物に見えた

眼を凝らすと中心に大きな建物がある、そこは科学と魔法の交じり合った技術施設で

この国のコントロール・システムを設置してあるのだそうだ

王政は行ってはいないが、はるか昔より動作を続ける、進化型人格プログラムが

政治や法律を司っている。

「傍目には、立派なお城に見えるけどね・・・」

一人呟き、ボクはたくさんの人が歩く道路に向かっていった


ジャピーノという国は六千年前の世界崩壊の時に幻想大陸と日本と呼ばれた島国が

融合して広い大陸となった際に初めに作られた国だ。

日本が存在していたことを忘れないようにする為に名前を組み込んだので

ジャピーノらしい。

 現在、この大陸には五つの国があり他の国にも、ここと同じような管理施設がある

どんな人も平等に一定水準の生活を送れるように、システムは日夜動き続けているのだ。

一人暮らしの老人や、家も仕事もないなんて人も申請さえすれば、保護システムの恩恵を

受け、人並みの暮らしを保障されている。

それは、どの国でも変わらない。一説によればこのシステムのおかげで

戦争が起こることは、まずありえないとか。

そして、ここジャピーノは大陸内では最も古く大きく栄えている国といえる

更に、この国は中心の管理システム・センタから四つのゲートが延びており東西南北で分かれている。

各小国の特色については今は深い説明はいらないかな。

何せボクが基本生活を送るのは、現在いる東の小国ティオピーネなのだ。

ここで生活していくだけでも今は手一杯なんで、他の小国にはある程度落ち着くまで

行くことはまず無理だろう。


ティオピーネ小国内を巡る、魔動列車を目指す。

太古の昔には化石燃料や電力といった動力がメインエネルギーだったけど

今は、環境に優しい魔力エネルギーが燃料だ。魔力は、世界の融和により

昔からは信じられないほど溢れている。それは、クリーンエネルギーとして

科学で培った技術により様々な分野で有効活用されていた。

魔動列車もその一つで動力源に魔力貯蔵炉を組み込んだ見た目はハイテクで

中身はファンタジーという見事な移動手段として人々の生活に貢献している。

科学も幻想も本来同居できないと思われていた時代から六千年経った今

全てが混ざり合い完全に溶け合った世界が、ここで暮らす人々のリアルなんだ。

ボクは駅の改札をくぐってホームへ進む、改札口もメモリーカード認証で楽に通れる

カードは個人の銀行口座へ繋がっている為、運賃なども自動支払でスムーズだ。

ホームに列車が滑り込んでくる。制服姿はボク一人、出勤や通学にはぶつからない

時間帯みたいで、家族連れや楽しげなカップル等が多く目に付く

(どことなく、場違いな気持ちになるな・・・)

心でそう呟き、列車に乗り込んだ


窓の外を眺める。綺麗に整備されたビルや道路が見えた。

そして無機質な建物だけでなく自然の姿を生かした公園や街路樹の緑がボクの眼に映る

「わぁ・・・」

何故だろう、ボクはこの光景に感動を覚えた

微修正は、これからも続きますが次の話へ進みます

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