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7th~世界守護の七人~  作者: 飛河
7度目の正直・編
5/23

「ま、参りました・・・・」

息が切れる、立ってられない

「お疲れ様でした」

ニコニコしているフラウを軽く睨んだが、体力の限界

その場にへたり込む

「何だこれ、この身体はこんなにスタミナが無いのか」

汗で全身が気持ち悪い、こんな状態で世界守護なんか無理じゃないか

「枷が外れれば、全盛期の状態を保てますわ」

「そ、そうかい・・・所でフラウ」

「はい、お風呂ですね準備してあります」

すばらしいですね


さっさと服を脱ぎ浴室へ行く

「あー、気持ちいー」

シャワーによりべたつく身体がすっきりしていく

「不思議に思っていたのですが・・・」

「何?」

「なぜ、ユキノ様は自分自身に違和感を覚えないのでしょう?」

小首をかしげながらフラウナイト

「さてね、おそらくなんだけど・・・」

「はい」

「ボクがボク、つまり女性として生きる定義が頭や身体に刷り込まれている

からじゃないのかな」

今回目覚めるに当たり、神様もだいぶ苦心してこの身体を創ったはずだし

正常稼動を最初から想定してたなら、当然性差はクリアしているはずだ

「それよりもフラウ」

「何でしょう?」

「何で一緒に入っている、しかも裸で」

「入浴は服を着ないものでございますよ?」

彼女は笑顔でスポンジを泡立てながら、そう言ってのけた

「せめて、タオルぐらい巻こうよ・・・」

半ば諦めて、ボクは身体を洗ってもらったのだった


さて、少し恥ずかしい入浴も終わり、後は準備の時間だ

ボクの前に制服だけでなく細々とした小物に化粧品までずらりと並ぶ

「こんなに必要なのかい?」

「はい、女性というのは何かと物入りなのです」

下着やら、私服やら何着も鞄に詰め込まれていく

「ボクはこの城から通うんじゃないの?」

この城はボクの思い通りに動く拠点だし、何かと便利なので学校の上にでも

常駐させよう

「いいえ、ユキノ様には学園の寮に住んでいただきます」

「え、どうして?」

拠点が使えないなんて、信じられない

「千年城は目立ちます、それにユキノ様自身の為にも良くありません」

「ボクの為?」

「はい。今は伝説や伝承の中の存在は、とても恐れられている時代なのです

なので、自身が千年城より来てる等と口にしようものなら・・・」

「ものなら?」

「だぁれも相手にはしてくれないでしょう。虚言、妄言の類として

扱われます。ひいてはユキノ様はいじめの対象となり、そして・・・」

嫌な話だ、全力で隠すことにしよう

「大丈夫ですよ、二週間に一回は自宅に戻れるみたいですし」

薄いパンフレットをどこからか出し読み上げる、そんなものあったなら

ボクにも渡しておいてほしい

「設備も整っておりますので、いい機会です。家事も少し学んでください」

「何だか本格的に女学生ってのをしなくちゃならないみたいだね」

結構、不安になってきたよ


「それでフラウナイト、ボクはこれから学校に通うわけだけど、どうすればいいのかな?」

今まで学校なんか行った事がなかったので、かなり戸惑い気味だ

そもそも学校って何の為に通う所なんだ?

勉強?スポーツ?そのどれもがボクには縁遠い世界だったんだけど

「まずは、学生生活に慣れてください」

「学生生活ねぇ・・・」

戦闘訓練や魔術訓練等の方には明るいんだけど、違うよなあ

って当たり前か、今度は普通の守護者とはかけ離れた生活だし

「最終的には守護者なんですが、他の方々も力はあれど普通の娘さんですし

この機会に皆様と楽しまれては?」

「そうだね、やってみる。ある意味ゼロからのスタートだし、やりがいあるよね!」

まだ見ぬ生活に期待が膨らむ、これは過去の人生には無かった感覚だ

「そうです、それでいいのです。ユキノ様は今までそういう経験が足りなかった

と私は思うのです」

「フラウ・・・」

「もっと広い視野で色々な経験を積む事こそが成功の近道だと私は愚考します

なので、過去に出来なかった様々な世界を学んでください」

少し潤んだ眼でフラウナイトは静かに言った

「わかったよフラウ、ボクは成長してみせる。6度失敗したけど

断言したとおり7度目は失敗しない・・・いや、してたまるか!」

新たな決意に燃える、言葉にしたことで心の中に灯が点った。身体も熱くなる

ふと、右腕を見ると7つの枷が虹色に輝いていた

「これは・・・?」

「スタートラインに立ったといった所でしょうか、ユキノ様。

ここからです、今この時よりあなたの戦いは始まります」

右手を優しく包み込まれる。そこからフラウの暖かさや心が伝わってくる

「ありがとう、フラウナイト」

「いいえ、私はずっと最後まであなたと共にありますので」


六千年の時を経てなお、崩壊の危険を常に孕む世界に平和をもたらす為に

今、7度目の生を受けた少女が一人

かつての雄雄しき姿を失った英雄は、か弱き姿となった

けれども、その瞳にはゆるぎない決意が宿っている

彼女は忠実にして最愛のパートナーへ向かって言った


--いってきます

加筆修正しました、これからも各話とも何度か行うと思います

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