③
少し話が進むかな?
「ボクが原因って、何したんだっけフラウ?」
歩くのをやめて首をひねる、もう身体の感覚は完璧だ
「竜の長と関係を持ちつつ、鬼の姫とも通じました。嫉妬に狂った
吸血姫と魔女が決別し巻き添えを食った獣の民が・・・」
「おーけい、分かったもういい」
答えにうんざりとし喋るのをやめてもらう
「しょーがないだろ、アレだけ魅力的な女性なんだ。誘われて断るなんて
出来やしない」
「だからといって最終的に全員と関係を持つのはどうかと」
「・・・・しょーがないだろ」
ギクリとした。背中に嫌な汗が流れる、ううむ身体の機能も正常稼動のようだ
「今までの失敗の中でも、一番酷いんじゃないか今回」
「いいえ、その前も、その前も前もほぼ似た理由で失敗してます」
「だっけ?」
なんだか寒気までしてきた、あれ記憶が戻らないよ?
「忘れたふりしないでください、全六巻の超大作映像ディスクが神より届いています」
「プライヴェートも何もあったもんじゃないね・・・ホント」
神様といえどノゾキやっちゃならんと思う、内容が内容だけに
「それで、今回はその姿なのです」
「女の子・・・ってこと?」
「はい、その姿なら大事にはならないでしょうし」
「そうかい」
自分の身体を見回してみる、ボクが男のままならきっとおいしく頂きたくなるな
何でまたこれが自分の身体なんだよ、落ち込むなぁ
「がっかりしているところ申し訳ありませんが、神より伝言がございます」
「今度は、何?」
「今回で最後だから、もう失敗しないでね。だそうです」
「へぇ、さいごか・・・って、もうやる気無いの!?」
世界救うのは諦めたんだろうか、それなら過去のうちに止めときゃいいのに
「今回で任務達成しないと神様自身も危ないそうです、何でも一族路頭に迷うとか」
どうにも俗っぽい神だ、ホントに神様なんだろうか
ともあれ、ボクもいいかげん失敗はしたくないので、了承の姿勢をとる
「フラウ、ボクも今回本気で挑むことにする」
「うれしい言葉です。では早速準備にかかりましょう」
「準備?」
「はい、学園へ編入する準備です」
◆
「下着の付け方は完璧ですね・・・」
あきれたようにフラウが言う、まあ女性になったばかりで出来るほうが変なのか
「ま、それは慣れだな。本当は脱がすほうが得意だけど」
「絶対披露しないでください、女子校なので問題にされます」
女性にされた上に、女子校通いか・・・一体何を楽しみにしたらいいのやら
かいがいしいフラウから服を受け取る、制服かぁ
「これが?」
「はい、アーディナル学園の高等部制服です」
伝統のある学園らしいデザインで、伝承の中に存在する”ぶれざぁ”タイプだそうだ
「そういえば、ボクの装備は?」
薄い生地に袖を通す、今までにない心許ない服で不安になった
「はい、形状はその身体に合わせて再構築してあります、剣は重量を少し減らしておきました」
特注の鎧に剣だったが、何の問題もなく使えるようだ
今度はスカートを履く、これはいけない・・自分に興奮しそうだ
「はぁはぁしないでください。それに今のままでは装備できませんよ?」
「なんでだい?ボクの武器が使えないなんて・・・」
「右腕を見てください」
言われて袖を捲くって見る、すべすべした細い腕だ
「少し、魔力を込めてみていただけますか」
「ああ」
右腕に魔力を集中させる、おお魔力のコントロールも問題ない
「なんだいこれは・・・?」
右腕に黒い線が7本あらわれた、一本ずつぐるりとリング状になっている
「それは、枷です」
まるで罪人の証のようにも感じられる、実に気分のよくない
「これは、はずれないのか?何だか、犯罪者に身を落としたみたいだ」
「ある意味そうで・・・じゃなくて、それはあくまでもユキノ様の力を
制御する枷です」
力の制御か、今まで存分に振るってきた力を制御ねえ
「はずす方法は、他の6人との信頼を得た時ですので頑張って下さい」
「6人ね。ってことは、皆も同じ世代に産まれているのか」
「ええ、ラストチャンスということで誤差一年以内の外見年齢で存在しています」
種族の関係で、たぶん年齢はもっと幅があると思うけど
見た目は同じ年に合わせて学校に通っているのかなと思う
「概ね、ユキノ様の考えどおりです。なので学生らしく健全にお付き合いして
力の解放を目指してください」
すごく、既視感を感じる。仲良くなって信頼を得て解放って
その流れはどこかで見たような気がする
あれは確か・・・二回目の転生のときだったっけ
遺跡に眠っていた太古のゲーム機とソフトが大量に発掘されて
フラウナイトが引き取ってプレイしてたような
その中でも学園モノの恋愛アドベンチャーを好んでいたのを隣で見てた記憶がある
その時のゲームの一つに今回の状況に似たモノがあったような・・・・
「フラウ一つ聴いておきたい」
「はい、なんなりと」
「ボクの再世まで何してた?」
「有り余る時間を城の管理と恋愛ゲームですごしておりました」
いい笑顔だ、ちょっと殴りたい
「今回のシチュエーションは、神様チョイス・・じゃないな?」
「ええ、7割は私プロデュースです」
「フラゥウウウウウウウウ!!」
「ほほほ、少しは私の心労も味わってくださいませ♪」
ははは、喜怒哀楽の感情の発露も問題ないやい