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【小説】爆乳THEアンダーグラウンドINババアWITHマキシワンピ

掲載日:2025/12/15

 その日もおれはその狭い布団の中で世界のオWARリを迎えることはなかった。

 気違い扱いされた日々!

 おれは戦争でも起こればいいと思っていた。

 おれに存在価値が無いのなら神風に乗るか廻天で泳ぐかするしか無いだろう、ひと山幾らの人間おとこは死んで初めて価値が出るからだ。

 その価値は惜しまれながら死んでいく瞬間に最高潮を迎える。さよならだけが人生だ。故郷の女は別の男と踊る。

 だからおれは祈り願う。

 当たるも八卦当たらぬも八卦。南無日輪摩利支天。不俱戴天のクソ人生は終りそうにもない。

 おれは裸にジャージをひっかけて部屋を出る。正装して出かけたのはいつが最後だったかもう思い出せない。


 もう日曜日だ。まもなく陽が暮れる。

 掃除と洗濯で終わるおれの日曜日。

 雨上がりの東京。空腹に気付けない病状。

 布団の中で祈り願っていた戦争が実際に始まると面倒で仕方ないとおれは知らなかった。ラーメン屋の油多めが注文できなくなった。

 馬鹿でマヌケの知恵足らずな反戦狂信者たちが「すぐに終わる」と言っていた戦争は二年が経っても終わらない。

 おれの油多めラーメンはしばらくお預けだ。

 きっとこの戦争は年内には終わらない。

 おれの願いは平和へと変わる。ニコニコ現金な願い。祈り。

 おれは水を飲む。

 そしてラーメン屋を出る。


 見上げた空に光っているのが星か人工衛星か分からない。

 それは祈りや願いかも知れない。

 愛や平和も同じ籠の中でさえずる鳥だ。飛ぶか飛ばないかは大した違いじゃない。

 祈りや願いに正しさがあるなら戦争は始まらない。

 ツァーリはいつだって落ちる準備が出来てる。でもそれが星かどうかおれには分からない。

 誰かの願いが美しいか間違いか分かるならおれはここにいてはいけない事になる。

 だから結局はおれたちが勝手に世界をオWARらせなきゃならない。

 それが願いだ。それが祈りだ。


 午前0時。日付の変わる瞬間。

 宵っ張りの親子。眠る時間も無い学生。

 おれは足を引きずる労働者だ。コンビニまでの道を歩く時間も影を引きずっている。

 見てみろ、何処もファッキンかしこも禁煙だらけだ。

 喫煙所の行列、自身の葬列の為に並ぶ行儀の良い気違いどもだ。

 おれもその中の一人だ。

 うんざりする。緩慢な自殺くらい好きにさせて欲しい。

 おれたちがどうなろうがお前の知った事じゃない癖に。


 放っておいてくれ。

 世界のオWARリが来ない。

 誰かの願い。誰かの祈り。

 むかし真夜中育ちの民がライブハウスだかヴィレッジヴァンガードだかの便所でセックスしたり首を吊ったりしている間におれたちが生まれた。

 おれたちはこの国をダメにしちゃいない。

 まともなブンガクのない国がおれを産んだんだ。


 放っておいてくれ。

 おれたちはスーパーの便所や駐車場の車が揺れるのを横目で見て育った。

 おれたちは願いも祈りも手の中になかった。砂も握ったことがない。

 おれたちは本当の眠りを知らない。

 繰り返しラブホテルで眠る。

 誰かの愛がミルフィーユのようにつまった部屋は乾燥した空気のままだ。

 おれたちはそこに愛を重ねる。

 コンドームの中で死ぬ精子たちはアンファンテリブルにも成れない。

 惜しまれながら死んでいく英雄の夢が乾燥していく。

 おれたちはそうやって眠る。


 真夜中。

 おれは目を開けて見えた天井で自分の居場所を知る。

 ラブホテルの窓から見える山手線の明かりが遠い。円い環状線。

 円い環状線は皇居を中心にしている。

 円くない山手線。

 円くない山手線は大陰唇の様に縦長に広がっている。

 内山の手に建つ巨大なビルディングが陰茎の象徴だと言うがそれは個人の陰茎であって実際には中央線がその暗喩を引き受けている。

 新宿と東京をインアウトする中央線。

 または総武線が撒き散らすカウパー氏腺液。

 つまりクソったれた労働者、または無職のクソだ。自己紹介か?いや、寝物語だ。


 真夜中。終わらない真夜中。

 おれは窓を開ける。換気を試みる。

 少なくとも自殺するよりは容易い。

 西東京の浮ついたクソさと東東京の陰鬱な生活臭。入れ替わらないなら死んだ方が早い事もある。

 だがどちらにしてもクソだ。

 最終電車。終わらない最終電車。

 マヌケたちの乗る電車。

 降り遅れる奴もマヌケたクソだし、空いてる訳もない座席を探して前の人間を手の甲で押すババアもクソだ。

 クソにまみれた中央総武線。

 山手線はケツの穴かも知れない。

 だがその中にいるのはおれ自身かも知れない。


 運が良かっただけだ。

 おれはここから最終電車を見送る。

 結局のところおれたちは天皇陛下万歳と叫びながら皇居を愛撫して日々をやり過ごすしかない。

 万歳三唱。

 日の丸を振る。

 それですべてが上手く行く。

 爆弾抱えて飛ぶのも泳ぐのも構わない。


 陛下!おれに価値を与えてください!


 世界のオWARリが来ない。

 誰も知らないそれの話だ。

 結局はおれたちが勝手にその幕を引くしかない。緞帳だってなんだっていい。

 だがそれは蝋燭の火を吹き消すみたいにはいかない。それなりの苦労があるだろう。

 例えば髪の毛を金色に染めて酒を飲んで山手線の線路に降りたりするってことだ。


 電車を止める。

 大陰唇を止める。

 陰茎を止める。

 インアウトは起こらない。

 カウパー氏腺液も飛び散らない。

 苛立つクソ労働者、不機嫌になる無職。

 マザーファッキン生活フェノメノン。


 真夜中、おれは窓を開けたままにする。

 南風が吹かない。

 島唄が聴こえない。

 溢れる思いが届かない。

 海も宇宙も神も命も千代に八千代に夕凪の中だ。

 大漁旗も揺れない。

 それは時化と変わらない。

 落ちくぼんだ眼窩。

 日本そのものが下り宮。

 おれたちが呪いそのもの。

 邪悪な目つき。

 グリンゴから殺せ。

 ヤプーの腐りを引きちぎれ。


 真夜中、おれは願う。

 真夜中、おれは祈る。

 それは戦争だったり平和だったりする。

 今夜のそれは戦争だ。

 敵は北京とワシントンだ。

 つまり二正面作戦だ。

 おれは祈りおれは願う。

 富嶽に乗って世界一周の旅に出よう。

 世界を焼き尽くすんだ。

 アカも緑も全て焼き尽くせ。

 メソポタミア文明復古もソビエト連邦復活も南アメリカの夢も潰える。

 一帯一路も消える。

 その理由は大日本帝国が教えてくれるさ。

 おれは祈りおれは願う。



 見てみろ。

 ションベンより薄い酒の飲み過ぎで赤くなったアングロサクソンがジャパンのプッシー(通称スシ、そうじゃなきゃピカチュー)を物色してる。

 信号待ち。

 スクランブル交差点。

 おれの隣に立つババアが意識し始める。

 地元のスーパーに併設された無名ブランドのマキシワンピの下で瀬川瑛子より無駄な巨乳が揺れている。

 白人の目が釘付けになる。

 長すぎる海綿体に血が流れ込む。

 フニャチンの勃起。

 おれたちの勃起とは矛盾した概念を平気でやる奴らだ。

 さすがSDGs。

 分別と言う単語の無い世界。

 それはつまり天国だ。

 燃やせ。埋めろ。それで済む話だ。


 世界のオWARリが来ない。

 いくらがこぼれる。

 ローストビーフもこぼれる。

 精子も溢れる。

 デカ盛りと激安がインターネットを埋め尽くしていく。

 世界のオWARリが来ない。

 理想と現実が平行線で走っていく。

 飛行機雲が青空を切り裂く。

 世界のオWARリが来ない。

 おれたちは目を開けたまま夢を見る。

 インターネットは接続されている。

 祈る神はいない。頼む仏もいない。

 東京駅、つまりクリトリスを愛撫する。

 おれたちはホームから飛び出る。

 アンファンテリブルに憧れて線路を歩く。

 電車が止まる。

 叢でキスをする。カルマ。

 残ったのは借金だ。

 世界のオWARリが来ない。


 それは嘘だ。もう来てたんだよ。

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