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【初心者安心パック】は歴代転生者アンケートから生まれました~いつの間にか聖女扱いされて困ってます~  作者: 紫陽花


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15/25

約束の2時間とパパの秘密

評価&ブックマーク&リアクション、ありがとうございます!

本日もお楽しみ頂ければ幸いです。

 父に抱きかかえられ、私が連れてこられたのは、町の西側に位置する大きな木製の門だった。

 ここが、町の外とを分ける境界線だ。

 門番の騎士が、父を見て敬礼した。


「おはようございます。珍しいですね。今日は娘さんが一緒なんですね」


 父は慣れた様子で、胸元から鎖に繋がれたプレート付きのネックレスを取り出し、門番にチラリと見せると、また服の下にネックレスを戻した。


「ああ、娘と少し散歩にね。すぐ戻るよ」


 父が門番に挨拶をしている間に、私は父が服の下に隠したネックレスの場所をジッと見つめた。

 それは、冒険者が持っている身分証によく似ていたからだ。


「パパ、それは何でしゅか?」


 父は驚いた顔をしたが、すぐに優しく笑って教えてくれた。


「これはね、冒険者ギルドの身分証だよ」

「パパ冒険者なの?すごいでしゅ!」

「あはは。昔、ちょっとだけ冒険者をしていたことがあったんだ」


 父は、私がまだ文字が読めないと思っているのだろう。

 しかし、私には言語理解スキルがある。

 先ほど門番に身分証を見せたとき、私の視界には刻まれた文字が鮮明に映っていた。


 バルト・フォン・アルベリオン ランク:A


(バルト・フォン・アルベリオン…?)


 セリアの記憶にある父の名前は「バルト」だけだ。

 そして、聞き慣れない「フォン・アルベリオン」という単語。

 それは、貴族の称号を示すものだったはず。

 さらに、ランクA...

 Aランクの冒険者といえば、辺境伯領でも数人しかいない、トップレベルの冒険者だ。


(パパって、貴族だったの!? しかも、宿の主人がAランク冒険者…パパって、何者?)


 急に父の秘密を知ってしまい困惑する。

 父に抱っこされて移動している間に、心を落ち着かせなければと、自分に言い聞かす。


(とりあえず、今は2時間ぐらいしか採取できないし、パパのことは後で考えよう)


 門を出てすぐの広大な草原までくると、父は私を下ろし、厳しく言った。


「いいかい、セリア。ここより先に広がる森には絶対に入っちゃだめだ。パパはここで見張りをするから、この草原の範囲内で薬草を探すんだよ」


「はーい!」


 私は早速、父から少し離れた場所で、昨日鑑定した毒消し草をサーチした。


(サーチ、毒消し草!)


 視界には、すぐさま無数の青い光が広がった。


(わー!毒消し草がいっぱいだ!町の外ってすごい!)


 私は喜んで採取を始めた。毒消し草を何本か抜き取ったとき、少し離れた、低木の茂みの影に、一つだけ赤く光る場所があるのに気がついた。


(赤色!ナビがBランク以上は色がつくって言ってたよね。あとでいってみよう!)


 私は毒消し草の採取を続けながら、ナビにこっそりと尋ねた。


(ねえ、ナビ。パパって貴族なの?)


 ナビからの返答はなかった。


(え?返事がないってことはあたり?)


 少し経ってから、ナビは困ったように返答してきた。


≪その問いに答えるのは、難しいです≫


(言えないってことは、何か秘密があるってことだよね。それにしても、なんでAランク冒険者の貴族が、こんな辺境の町で宿の経営なんてしてるんだろう)


≪お父様に直接聞かれてはいかがですか?≫


(うーん…でも、パパが私に隠していることは、きっと理由があるはずだよね。それに、聞くには私が文字を読めることが、パパにバレちゃう…)


 私は深く考えるのをやめた。


(まだ聞かなくてもいいかな。だって、パパは私を大切にしてくれる。それが一番大事なことだもん)



 私は毒消し草の採取を終えると、赤く光る場所へ向かった。

 低木の根元に生えていたのは、一本のキノコだった。


 それは、昨日冒険者から聞いた「ちょっと白っぽい茶色キノコ」と聞いていた、元気が出るキノコに特徴がよく似ている。


(鑑定!)


『鑑定結果:治癒の胞子茸、ランク:B、効果:体力回復薬の材料、摂取することで体力が少し回復する』


(冒険者に教えてもらった、元気になるキノコだ!)


 私は治癒の胞子茸を丁寧に採取した。

 治癒の胞子茸のほうがランクが高いため、私はその周辺を重点的にサーチし、治癒の胞子茸を中心に採取へ切り替えた。

 木の根元に生えていることが多く、そのあとも近くの木の根元で、治癒の胞子茸を10本ほど見つけた。


 そうして一時間ほど経った頃だろうか。

 少し場所を移動してサーチしたときだった。


 大きな木の根元に、小さく金色に光る場所があることに気がついた。


(金色!絶対にすごいものだ!)


 私は目を輝かせながら近づいた。

 木の根元には、白く輝く卵が一つ転がっていた。

 その大きさはセリアの小さな手より、少し大きい程度だ。


(わぁ!綺麗な卵!)


 セリアはあたりをキョロキョロ見回した。


(うーん、巣も近くになさそうだし、なんの卵だろう?鑑定!)


『鑑定結果:▲◆の卵、ランク:○■、効果:◇△◎%、▶&の◎』


(え?文字化けしてる!ナビ、これはどういうこと?)


≪セリア様の鑑定スキルのレベルが足りないため、正しく表示されないということです≫


(前にランド・エッジの装備品を鑑定したときに、リズお姉ちゃんの弓は、Sランクでも鑑定できたよ!それよりも上のランクがあるってこと?)


≪はい。Sランクより上に、伝説というランクが存在します≫


(伝説...じゃあ、この卵は伝説ランクってことになるの?売ったら、いくらだろう...)


 この卵1つで本が何冊買えるか考えると、ニヤニヤしてしまう。


≪セリア様、これを売るか判断するのは、少し待たれたほうが良いと思います≫


(なんで?もしかして、魔物の卵?!)


 卵は真珠のように輝き、とても綺麗だ。

 魔物を見たことがないが、悪い感じはしなかったし、何より魔物がこんな綺麗な卵から出てくるだろうか。


≪申し訳ございません。この卵に関して、ナビは有力な情報を持ち合わせていません≫


 鑑定でも何も情報を得られなかったが、その美しさから、私はすぐに持ち帰ることを決めた。

 再度、周囲に親鳥の巣がないかきょろきょろと見渡したが、何も見当たらない。

 持ち帰ろうと卵に触れた瞬間だった。


(え?!)


 卵に触れた指先から、私の魔力が卵に向って流れていった。

 その勢いはすごく、どんどんと魔力を奪われていく。

 ナビの焦った声が聞こえる。


≪セリア様、卵から手を離してください!!≫


 手を離そうとしたが、卵から離さないという強い意志を感じた。

 どうしたらいいか分からずオロオロしていると、だんだんと勢いがなくなり、ピタッと魔力を奪われる感覚がなくなった。


(止まった?)


 突然の出来事に呆然としていると、父の私を呼ぶ声が聞こえた。


「セリア、そろそろ宿に戻るぞー。約束の二時間だ」


 慌てた私は、手元にあった治癒の胞子茸や毒消し草を、次々にアイテムボックスへ収納していく。


(収納!)


 その勢いで、白く輝く卵もアイテムボックスへと吸い込まれていった。


(あれ? 生きたものはアイテムボックスに入らないって聞いてたのに、中身は空っぽなの?あるいは既に死んでしまっている?でも、さっき魔力を奪われたよね...)


 少し不安になったが、父のそばへ急いだ。


「パパお待たせー!セリア疲れちゃった。だっこー!」


 両手を広げて、父におねだりする。

 父は困ったなという顔をしたが、すぐに嬉しそうに私を抱き上げた。


「セリアは、しっかりしてるけど、まだまだ子供だな」

「セリアは3歳、立派な子供でしゅ!!」


 こうして採取時間二時間は、あっという間に過ぎ去ったのだった。

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