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【初心者安心パック】は歴代転生者アンケートから生まれました~いつの間にか聖女扱いされて困ってます~  作者: 紫陽花


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辺境都市ディナについて

 両親に花束を渡して喜んでもらった私は、なんだか胸がいっぱいで、夕食の後すぐに眠くなってきた。

 両親におやすみを言って、自分の部屋に戻る。


 ベッドに寝転がりながら、私は心の中でナビに話しかけた。


(ナビ、今日はありがとう。サーチもアイテムボックスも、すごく便利だってことがわかったよ!)


≪セリア様、本日は複数のスキルを上手に使いこなすことができましたね≫


(ふふん!でしょー!)


 少し得意になってナビの言葉を聞いていたけれど、すぐに真面目な顔になった。


(あのね、ナビ。私、今日外に出てみて思ったんだけど、そろそろこの世界について、もっと詳しく知る必要があると思うんだ)


≪はい。セリア様は、今日そう感じられたのですね≫


(うん。まずは、この町では、もっと効率よく薬草を採りたいと思ってる。今はまだ行動範囲が、宿の周りだけになってるけど、どんどん行動範囲は広がっていくと思うの)


 私は続けた。


(子供だから許されることもあると思うけど、子供だからって許されないこともあるよね。それを知らずに命を危険に晒したくないんだ。それに初心者安心パックを選んだのは、この世界を長く安心安全に楽しみたいっていう気持ちがあったからなの。私の思ってる危険って、人が絡む被害っていったらいいのかな。もちろん、避けられないこともあると思うから、その時に対処できるように色々学びたいんだ)


≪承知いたしました。ナビがしっかりサポートいたします≫


(Aランクパーティーのランド・エッジに会ってからは、冒険者もいいなって思ってるんだ。もちろん冒険者になるとしても、なるべく危険な目に遭いたくはないから、しっかり準備はするけどね!)


≪そのためには魔法の練習も必要ですね。もう少し体が大きくなったら始めましょう≫


(とりあえずは、鑑定の儀までに、この世界の常識を知っておきたいんだ。パパやママには心配かけたくないから、ナビに教えて欲しいの)


≪セリア様、鑑定の儀に向けて、必要な知識を自ら手に入れようとされているのですね≫


(まずは、この町から近い都市について教えて!私たちが住んでいる場所から、どんな町が近いのか知りたいの!)


 私はそういうと、なぜか授業を受ける生徒のように姿勢をピンと伸ばした。


≪セリア様は、『ガイアノス大陸』の南に位置する『ロゼッタ王国』に住んでいます。ロゼッタ王国の国有地はガイアノス大陸の2割程度となります。ここディートムの町から一番近いのは、ここから西に位置する『辺境都市ディナ』になります≫


(よく、冒険者や商人が話している辺境都市だね!ここから、どのくらいかかるの?)


≪ディナまでは、馬車を利用しても半日程度、およそ12時間の道のりです≫


 私は冒険者や商人が食事処で話していた内容を思い出そうと目を瞑る。


(うーん、たしかディナにはA級ダンジョンがあるんだったよね)


≪はい、ディナの西側には魔物が巣くう広大な森が広がっており、そこにA級ダンジョンが存在します≫


(そんなに魔物がいるってことは、外はかなり危険なの?)


≪辺境都市ディナやその周辺を治めているのがオスカー辺境伯になります。ここディートムを治めているのもオスカー辺境伯です。オスカー辺境伯の騎士団は約200名と言われており、魔物討伐だけではなく、ダンジョン攻略などにも貢献しているため、比較的安全な地域といえます≫


(わぁー!すごい!そういえば、ローラお姉ちゃんが王国の騎士団長が好きって言ってたよね。私も本物の騎士団を見てみたいな!かっこいいんだろうなー)


 騎士団というと、筋肉ムキムキ...

 うん、いいね!

 うんうん、と一人納得していると、ナビが追加の情報をくれる。


≪ディナは辺境都市ではありますが、魔物から得られる魔石や食料、そしてダンジョンから出る装飾品、武器、魔道具などの取引が盛んで、商業的に非常に栄えている都市です≫


(わぁ!魔道具とか見てみたいな!大きくなったら、絶対行きたい!)


≪ディートムも辺境都市ディナも南側に位置しているため、セリア様も感じていることと思いますが、一年中過ごしやすい土地です≫


(ナビありがとう!また、色々教えてね)


≪もちろんです。セリア様、いつでも質問してください≫



 沢山ナビと話して瞼は重たかったけど、どうしても確認しておきたいことがあった。


(ナビ、もう一つ聞きたいんだけど...私、文字の勉強をしたいんだ。この世界って、看板も絵やマークで描かれているし、文字を見ないけど、どうしたらいいかな?)


≪ご心配なく、セリア様。セリア様が持っている『言語理解』のスキルにより、書かれている文章を読んで理解することは、問題なくできます≫


(え、そうだったの!?書いてる文字も読めるんだ。便利!)


≪この世界では、識字人口はあまり高くありません。自分の名前を書ける程度の人が多いのが現状です。王都や辺境都市など、ある程度人口の多い都市では図書館があります。貴族や一部の職業の人は、文字の読み書きができますが、ディートムのようや町では識字率は高くありません≫


(うーん、本も貴重そうだし、文字の練習は出来そうにないのかな?急に書こうと思っても言語理解スキルで書ける?)


≪いいえ、この世界の文字を書くということにおいては、セリア様は勉強が必要になります。現在、セリア様の頭の中にある文字の概念は、前世の日本の文字が主となっています。もし、この世界の文字を一度も視覚情報としてインプットしないまま文字を書こうとすると、ご自身で無意識のうちに日本語の文字を書いてしまう可能性があります≫


(なるほど!知らない文字を急に書いたら怪しまれるね)


≪はい。本でこの世界の文字を一度見るだけでも、使用されている言語を理解でき、書く準備ができるようになります。しかし、この世界では『本』は非常に貴重であり、ディートムのような小さな町では、なかなか手に入りにくいでしょう。まずは『本』についての情報収集を、今後の行動計画に追加することをお勧めします≫


(わかった!じゃあ明日は、この町で本を探してみるね!)

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