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新世紀宇宙戦争  作者: 007
第4章 暴露
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星々の絆、闇への誓い

神聖旭日連邦帝国首都地球、首相官邸の執務室。薄暗い照明の下、窓の外に地球の夜景が瞬いている。アリス総理は緋色の正装を脱ぎ、簡素な黒の執務服に着替えて机に向かっていた。隣にはエイン外務大臣が立ち、銀髪を軽く束ね、碧眼に静かな決意を宿している。二人の前には、ホログラフ通信端末が青い光を放ち、ナタアワタ共和国宇宙港に停泊する特殊作戦艦アルヴィオン・ノクターンと接続を待っていた。大円卓会議室での対策会議が終わったばかりだ。銀河連邦元老院のナタアワタ共和国への調査団再派遣とガフラヤサタ連邦への追加制裁可決を受け、帝国は調査団をコントロールし、ナタアワタとガフラヤサタの裏取引を暴く戦略を固めた。

宇宙軍遠征隊の精鋭30名が調査団の護衛を担い、ノクティア・オルドは別動でエクレール大統領とブライス補佐官を追跡。調査の公開中継で、ナタアワタの民衆に真実を届ける、その全てを、アリス総理とエイン外務大臣はヴァレリア上級指揮官に伝えるべく、通信を開いた。端末が接続を完了し、スクリーンにヴァレリア・セラフィム上級指揮官の姿が映る。黒の戦術装甲服に身を包み、鋭い瞳にヴァイスとルゥナの無念、エルネスタ・タワーの3万人の犠牲が刻まれている。

彼女はアルヴィオン・ノクターンのブリーフィングルームに立ち、無言で敬礼する。「ヴァレリア、遅い時間に悪いわね。」アリス総理が穏やかに言う。ヴァレリアは姿勢を正し、答える。「総理、ご連絡はいつでも光栄です。状況を教えてください。」エイン外務大臣が一歩進み、落ち着いた声で切り出す。「ヴァレリア、銀河連邦元老院での決議を受け、ナタアワタ共和国への調査団再派遣が決定したわ。会議で、神聖旭日連邦帝国が調査団をコントロールする戦略を固めたわ。」ヴァレリアの目が光る。「了解しました。ノクティア・オルドの役割は?」アリス総理が答える。「調査団の編成は、神聖旭日連邦帝国から3名、ゼンメホ帝国、ブレクティア同盟、エリュシオン連合から各数名。私達の諜報員は、帝国先端科学査察局と宇宙軍遠征隊から選抜。表向きは技術顧問と記録官として潜入し、ナタアワタの軍事倉庫と通信網を調査するわ。」エイン外務大臣が続ける。「護衛には、宇宙軍遠征隊の精鋭30名を派遣。輝刃型三式光子剣とオーロラ-9突撃銃で武装し、シュヴァルツ・シュトラークの奇襲に備える。ノクティア・オルドは別動で、エクレール大統領とブライス補佐官の動向を追ってほしい。」ヴァレリアが頷く。「エクレールとブライス……彼女たちの通信ログに、ガフラヤサタ連邦との資金と資源の取引が含まれていました。次の動きを封じるには、さらなる証拠の確保が急務ですね。」アリス総理が静かに言う。「その通り。だが、シュヴァルツ・シュトラークの『10万人』の警告を忘れないで。彼らはエルネスタ・タワーのような非道を繰り返す可能性がある。調査団の到着は、その引き金になりうるわ。」ヴァレリアの声が硬くなる。「民間人の犠牲は、二度と許しません。ヴァイスとルゥナの無念も、必ず晴らします。」エイン外務大臣が穏やかに口を開いた。

「ヴァレリア、無理はしないで。貴女たちは、すでに命を賭けて戦ってくれた。私たちの正義は、貴女たちの覚悟の上にあるわ。」ヴァレリアの瞳が一瞬揺れるが、すぐに決意を取り戻す。「感謝します、外務大臣閣下。だが、ノクティア・オルドは任務を全うします。総理の白紙委任状を、決して裏切りません。」アリス総理が端末に目を落とし、最新の諜報データを共有する。「帝国情報庁の分析では、ナタアワタの軍事倉庫に、ガフラヤサタの戦争継続を支える資金と資源のルートがある。鉱物資源、軍需物資、暗号通貨のマネーロンダリング、これが、ガフラヤサタの力を支えている。」ヴァレリアが頷く。「ブライスの通信ログにも、その痕跡がありました。軍事倉庫への潜入は、ノクティア・オルドで引き受けます。調査団の遠征隊と連携し、証拠を確保します。」エイン外務大臣が言う。「調査団の公開調査は、ナタアワタ共和国の都市インフラ、軍事倉庫、通信網を対象にする。だが、エクレールは調査を誘導する策略を仕掛けてくる。彼女の『魔性の女』としての本性は、銀河連邦でも見抜いたわ。」ヴァレリアが目を細める。「エクレールの微笑みの裏には、シュヴァルツの刃がある。彼女の次の取引を、必ず捕捉します。」アリス総理が微笑む。

「ヴァレリア、貴女の覚悟は、私達の誇りよ。調査団の公開報告は、天の川銀河全域に中継する。ナタアワタの民衆に真実を届けることで、エクレールの統制を崩す。それを、エインが主導する。」エイン外務大臣が頷く。「銀河連邦での心理戦を、調査団でも続ける。エクレールの演技を暴き、民衆の心を動かすわ。ヴァレリア、貴女たちが証拠を確保してくれれば、完璧よ。」ヴァレリアが敬礼する。

「了解しました。ノクティア・オルドは、どんな闇も切り裂きます。」議論が深まる中、アリス総理が静かに言う。「ヴァレリア、ナタアワタ共和国の情報統制は、完璧に見えるわ。だけど、貴女たちがすでに傷を刻んだ。ブライスの通信ログ、軍事倉庫の痕跡。それが、ガフラヤサタ連邦の裏取引を暴く鍵よ。」ヴァレリアが答える。「敵は私達の思考を模倣し、罠を重ねてきます。しかし、ノクティア・オルドは予測不能な自由戦術で応じます。次の取引の日時を、必ず押さえます。」エイン外務大臣が心配げに言う。「シュヴァルツ・シュトラークの隊長、ネーベル・ファウストは手強いわ。前回の証拠破壊も、彼女の仕業。貴女たちの安全が…」ヴァレリアが微笑む。「外務大臣閣下、ご心配は無用です。ネーベルは強いが、私には仲間がいます。イリナ軍曹、セリス軍曹、ノクティア・オルドの12名。そして、総理と貴女の信頼がある。」アリス総理が目を細める。

「ヴァレリア、貴女の言葉は、私たちの希望よ。だが、無理はしないで。貴女たちは、神聖旭日連邦帝国の剣であると同時に、大切な命よ。」ヴァレリアの声が柔らかくなる。「総理……感謝します。命を賭ける覚悟はできていますが、必ず生還します。神聖旭日連邦帝国のために、そして貴女たちのために。」通信の終盤、エイン外務大臣が提案する。「ヴァレリア、調査団到着前に、ナタアワタ共和国の民衆に揺さぶりをかけるのはどう?匿名で、ブライスの通信ログの一部をリークするの。民衆の不信を煽れば、エクレールの統制が揺らぐわ。」ヴァレリアが頷く。「良い手です。ノクティア・オルドで、都市の地下通信網に偽装信号を流します。民衆の動揺を、調査団の到着と同期させましょう。」

アリス総理が言う。「その作戦、承認するわ。だけど、シュヴァルツの反撃に備えて。光子力テレポート装置を、遠征隊とノクティア・オルドに支給するわ。瞬時の移動で、奇襲を防ぎなさい。」ヴァレリアが敬礼する。「了解しました。次の戦いは、ナタアワタ共和国の闇を暴く決戦です。」エイン外務大臣が微笑む。「ヴァレリア、貴女ならできる。私たちが、銀河に正義を証明するわ。」アリス総理が締める。「ヴァレリア、エイン。貴女たちの覚悟が、神聖旭日連邦帝国の未来を切り開く。天の川銀河の審判は、私たちの手で下す。行ってらっしゃい。」通信が切れ、スクリーンが暗転する。

アリス総理とエイン外務大臣は、執務室に二人きりで残る。窓の外、地球の夜景が瞬いている。エイン外務大臣が静かに言う。「総理……ヴァレリアたちの戦いは、私たちの戦いでもある。危険だけど、信じているわ。」アリス総理がエイン外務大臣の手を握る。「貴女がいるから、私は怖くない。貴女は私の……大切な人だ。」エイン外務大臣の頬が紅潮し、微笑む。「総理……私も、貴女のために戦う。どんな闇も、共に乗り越えるわ。」二人の視線が交錯する。

天の川銀河の戦乱は、なお続く。だが、彼女たちの絆は、どんな試練にも折れない剣だった。ナタアワタ共和国の闇は深い。エクレールの策略、シュヴァルツの刃、ガフラヤサタ連邦の裏取引が、正義を試す。だが、アリス総理とエイン外務大臣、ヴァレリアの決意は、銀河の希望として輝く。調査団派遣は、星々の審判を下す第一歩だ。天の川銀河は、戦乱の渦へ突き進む。その中心で、神聖旭日連邦帝国の剣は、闇を裂く光となるだろう。

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