覚醒する経済国家
ちょっと飛ばし過ぎました。
今日から1日1話にします。
ケタサカ王国首都惑星の王宮には、厳粛な緊張感が漂っていた。女王エルシアの玉座の間には、王国軍の最高司令部と行政の重鎮たちが集められていた。彼らの前には、一通の公式文書が投影されている。神聖旭日連邦帝国から届いた、外征対応艦隊銀陽戦団の艦艇提供通達だった。
「宇宙巡洋艦ノクティルカ級、18隻。宇宙駆逐艦クレイヴァル級、24隻。宇宙フリゲート艦セラフィム級、40隻。合計計82隻、戦力としては圧倒的です」
語ったのは、王国軍総司令官ナバリス元帥。彼の声には驚きと興奮が入り混じっていた。しかも神聖旭日連邦帝国は『予備艦隊』と呼ばれる、予備役状態の旧式艦から、旧型宇宙巡洋艦18隻、旧型宇宙駆逐艦43隻、旧型宇宙フリゲート艦74隻も提供すると、付け加えた。
「まさか、これほどの規模とは……」
経済相が呟く。
だが、一部の文官は懸念を示した。
「あまりに好条件すぎます。神聖旭日連邦帝国に従属する意志があると誤解されかねません。」
その声に、玉座に座るエルシア女王が応じる。
「誤解であれば、正しく訂正するわ。だが、この危機において必要なのは“自立”を支える力。これは屈服ではない。覚悟の選択よ。」
その言葉に場が静まり返った。エルシアは続ける。
「神聖旭日連邦帝国は、我らが『自ら立つ意志』を見て、支援を選んだ。ならば、それに応えるだけの力と気概を示すべきです。」
ナバリス元帥が口を開く。
「訓練はすでに始まっております。旧型艦であれば帝国顧問団の支援を受け、半年以内には全艦を完全運用可能と見込んでおります」
「上等です」
エルシア。次いでエルシアは、王国軍全体への通達として演説を発令した。
「ケタサカは、経済で星々を結び、平和で民を守ってきた。だがその平和が、力なき幻想と笑われるならば、今こそ証明しよう。経済の王国は、戦いにおいても誇りを失わぬと!」
その言葉は、全軍に放送され、民衆の間でも大きな反響を呼んだ。
その夜、王宮のバルコニーに立つエルシアは、遥か彼方に停泊する艦隊の光を見つめながら、独り呟いた。
「力とは、誇りを護るもの……その誇りを、我が民と共に。」
女王の目は、覚悟と決意に満ちていた。その瞳が見つめるのは、未来そのものだった。