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新世紀宇宙戦争  作者: 007
第0章 前史
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第1次太陽系進出計画

2055年。アフリカ大陸とヨーロッパ大陸復興に2年を費やした神聖旭日連邦帝国は、ようやく太陽系全域進出に取り組んだ。その第1歩として『第1次太陽系進出計画』を連邦議会に提出したのである。第1次太陽系進出計画の内容は、5カ年計画で大日本帝国州のトラック宇宙基地拡大とヨーロッパ合衆国州のギアナ宇宙基地の拡大・アフリカ大陸南部への宇宙基地新設・宇宙戦闘艦天照の技術を利用発展させた新型往還宇宙船の開発、以上であった。軌道基地と宇宙ドック・月面基地の拡大も計画されたが叶総理は日本人らしく足場固めを行い、安全策を講じて満を持しての計画とした。その為に軌道基地と宇宙ドック・月面基地の拡大は第2次計画として進められる事になったのである。神聖旭日連邦帝国成立により世界各国の宇宙機関も国立研究開発法人帝国宇宙航空研究開発機構(Imperial Aerospace Exploration Agency、略称: IAXA)に、統合され再スタートしていた。そして第1次太陽系進出計画はIAXAを中心に行われる事になった。

まず既存のトラック宇宙基地とギアナ宇宙基地の拡大が行われた。トラック宇宙基地は大日本帝国が建造した人類史上最大規模の浮体構造物であり、一辺約100メートル水面からの高さ50メートルほどの上層の構造物の大きな洋上石油採掘船のような形をした1つのモジュールを組み合わせて、最終的な規模は一辺20キロメートル総面積約400平方キロメートル(大阪市と同規模)という巨大な宇宙基地となった。ギアナ宇宙基地は当時新世紀冷戦により旧ヨーロッパ合衆国が建設したものであり、こちらは陸上に構築されトラック宇宙基地と同規模の大きさで建設された。これら両宇宙基地を第1次太陽系進出計画では、単純明快に倍に拡大する事になった。そうしてトラック宇宙基地とギアナ宇宙基地の拡大に加えて、アフリカ大陸南部にはその拡大する宇宙基地と同規模の宇宙基地を新設する事になった。その為にアフリカ大陸復興計画では最初から宇宙基地建設予定を確保しての復興を行っていた。

神聖旭日連邦帝国は太陽系全域に進出する事を目的とし、その為には月面基地の拡大と中継拠点としての役割りが必要で、その為には軌道基地の宇宙ドックで宇宙戦闘艦天照のような宇宙船を量産する必要があり、そしてその為には地球上の宇宙基地を拡大し軌道基地と宇宙ドックを拡大する必要があった。何事に於いても焦らず段階を踏んで進んでいく事になるが、それが為に連邦議会議員の一部からは時間がかかり過ぎるとの批判もあった。しかし人類が未だかつて成し遂げていない『太陽系全域進出』という大事業を完遂するには、段階を踏むというのは重要であり人類が一致団結した今となってはその重要性は更に意味があった。その為に大多数の連邦議会議員は叶総理の提出した第1次太陽系進出計画に賛成したのである。

計画には膨大な予算が必要になったが地球統一政府樹立により、神聖旭日連邦帝国のGDPは約2京3200兆円という規模になっていた。その為に神聖旭日連邦帝国の国家予算は約5300兆円にもなっていたのである。これにより第1次太陽系進出計画は人類史上最大規模となる、850兆円もの予算が投入される事になった。神聖旭日連邦帝国は地球統一政府樹立による宇宙軍を創設したが、その肝心の軍備増強は未だに技術と準備が整っていないとして、旧来の軍事力維持のみに予算を投入していた。その為に宇宙開発に優先して予算を使う事が出来たのである。こうして膨大な予算が投入される事になった第1次太陽系進出計画は、宇宙基地拡大と新設を推し進められた。

ギアナ宇宙基地は陸上である為に用地拡大を行い驚異的な早さで拡大されていった。トラック宇宙基地は拡大を行うとなるとモジュールを量産しなければならなかったが、それはかつての大日本帝国単独による建造とは違い地球統一政府による神聖旭日連邦帝国成立となり、地球規模で建造する事が可能となった為に大日本帝国州の重厚長大産業が設計図を共有し、想定よりも驚く早さでモジュールが量産されトラック宇宙基地は拡大されていった。アフリカ大陸南部の宇宙基地新設は全くの更地から建設する事になったが、不断の決意により新設が推し進められ人員と資金が大量に投入された事により、新設も急ピッチで行われる事になった。

その宇宙基地拡大と同時進行で、人類の叡智を結集して新型往還宇宙船の開発も始められた。新型往還宇宙船は宇宙戦闘艦天照の技術を利用発展させたものとして開発される事になった。宇宙戦闘艦天照は大日本帝国が開発した新型の宇宙船であり、レーザー核融合炉を搭載し推進装置として『イオンスラスター』を利用するものだった。このイオンスラスターは従来のジェットエンジンやパルスジェットエンジンよりも、更に加速力を発揮しマッハ100での飛行が可能になった。反重力技術が未だに実用化されていない為に、地球の大気圏内では超音速巡航での航行が求められたがイオンスラスターが燃料効率の点で優れている為に、かつてのロケット・宇宙船のように大量の燃料タンクを装備する必要が無いのが最大の利点だった。

そして第1次太陽系進出計画での新型往還宇宙船は、それ以上の能力を有するものが開発される事になり人類の叡智を結集し『パルススラスター』と呼ばれる新型推進装置が開発された。これにより出力は増大し更に燃料効率が良く、『イオンスラスター』よりも速いマッハ220を発揮する事が可能になった。こうして開発された新型往還宇宙船は『ユピテル』と名付けられた。

そして5カ年に及ぶ第1次太陽系進出計画が完了した2060年には、トラック宇宙基地・ギアナ宇宙基地・アフリカ宇宙基地の拡大・新設と往還宇宙船ユピテルの配備が計画通りに遂行されたのである。こうして叶総理は再び連邦議会に『第2次太陽系進出計画』を提出したのであった。

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