神聖旭日連邦帝国成立
2050年10月25日に行われた大日本帝国帝都東京東京臨海副都心の、帝都国際大会議場に於いて開催された講和会議で東京講和条約が地球上全世界の代表者により調印された。その東京講和条約は、『全人類は大日本帝国の元に地球統一政府樹立を目指し、行動する事を宣言する。その全ての目的の為に5年以内に地球統一政府樹立を果たすと明記する。』との単純明快な内容であり、ここからが本格的な地球統一政府樹立への始まりだった。東京講和条約に調印した世界各国は、半年後に再び帝都国際大会議場で会議を行う事を決定し、自国に帰国した。
各国がそれぞれの議会や国民投票により、地球統一政府樹立を承認する必要があったからである。大日本帝国は叶総理が陣頭指揮を取り、議会承認と国民投票を行う事になった。議会承認は叶総理が総裁を務める与党が衆参両院で3分の2を確保する絶対多数を確保しており、叶内閣が提出した地球統一政府樹立案は即座に承認された。何せ地球統一政府樹立を主導する大日本帝国が範を示す必要があり、その為に叶総理は内閣のみならず与党の総力を挙げて承認するように檄を飛ばした。その結果が即座に承認される事になり、国民投票は3ヶ月後に行われる事になった。
その国民投票までの間に叶総理は内閣と与党を総動員して、全国を遊説し地球統一政府樹立の必要性を訴えた。『大日本帝国が消滅する』という野党の意見もあるが、それに対して叶総理は『大日本帝国は国家では無く、地球統一政府を構成する州になる』と語ったのである。更に野党は『現在の大日本帝国国家元首たる天皇陛下の扱いが蔑ろにされる』と批判したが、それも叶総理は『天皇陛下は地球統一政府の国家元首になる』と断言した。それが決め手となり国民投票も圧倒的な賛成多数により、地球統一政府樹立は認められたのである。
しかし叶総理の『天皇陛下は地球統一政府の国家元首になる』との発言は、後に禍根を残す事になった。
世界各国でも議会承認と国民投票が行われ、亜細亜条約機構加盟国は当然のように承認していった。亜細亜条約機構加盟国は大日本帝国を地球統一政府の中心国家になるべきだとも明言したのである。更に今となっては対日追従を鮮明にしているアメリカ合衆国も、議会承認と国民投票にて賛同した。カナダや中南米諸国も議会承認と国民投票にて賛同した。ヨーロッパ合衆国から独立したばかりのイギリスも、天皇陛下が国家元首になるという点に不満を感じながらも大筋では、地球統一政府樹立を容認している為に議会承認と国民投票で賛同したのである。残るヨーロッパ合衆国はシャーロット大統領の決断で、地球統一政府樹立に賛同する事が決定された。何せ敗戦国であり国民投票を行うべき国民は、大日本帝国の宇宙戦闘艦天照による攻撃で大幅に減少していたからである。
これにより2051年4月10日に再び大日本帝国帝都東京東京臨海副都心の帝都国際大会議場に於いて、世界各国から国家元首と政府首脳陣が参加する会議が開かれた。そしてこの会議に於いてようやく国際連合事務総長が招待されたのである。もはや事実上解散を突き付けられた国際連合は、何の決定権も無く『見届人』としての立場を与えられただけだった。世界各国が地球統一政府樹立を議会承認と国民投票によって賛同した事により、国際会議は早速地球統一政府の概要について議論する事になった。
大日本帝国の叶総理は大日本帝国案として、詳細な概要を発表したのである。それは『1・国家形態は天皇陛下を国家元首とする立憲君主制。2・議院内閣制により政治を運営する。3・議会は1院制による連邦議会を制定し、世界各国から議員を選出する。4・世界各国は州として定め、地球統一政府の地方自治体として構成される。5・地球統一政府の名称として[神聖旭日連邦帝国]を提案する。』以上の5項目から成っていた。この大日本帝国案を亜細亜条約機構加盟国は全面的に支持すると表明したのである。亜細亜条約機構加盟国には立憲君主制の国々も多いが、それらの国々も大日本帝国の天皇陛下を地球統一政府の国家元首にすると認めたのである。
叶総理は各君主国の国家元首は、新編する州の州元首として君臨するとして大日本帝国天皇家以外の王室を排斥するものでは無い、と改めて強調したのである。これにより亜細亜条約機構加盟国は賛同したのだ。その賛同を受けてヨーロッパ合衆国も国内州の王室が州の元首になるとして、大日本帝国案の支持を表明した。そしてもはやこうなるとアメリカ合衆国とカナダ・中南米諸国も大日本帝国案を支持し、イギリスとしても王室が州の元首になるならと大日本帝国案を支持したのである。
こうして大日本帝国案を地球統一政府の素案にする事が、全会一致で決定し早速各国の憲法学者や法律家を招集し、人類の叡智を結集した憲法と法律の制定が開始された。そしてその議論は1年以上にも及ぶ事になった為に、世界各国は先に神聖旭日連邦帝国の連邦議会選挙を行う事を決定した。
連邦議会選挙には世界各国の議員達がそのまま立候補し、更には世界各国から膨大な数の新人が立候補した。選挙区は州となったかつての国々そのものが割り振られたが、やはりと言うべきか現職の議員が選挙となれば強かった。そして選挙の結果はほとんどの国で、かつての国会議員が連邦議会議員となったのである。こうして連邦議会議員となった4万8000人は、大日本帝国帝都東京の帝都国際大会議場に於いて初めての神聖旭日連邦帝国連邦議会に出席したのである。
その記念すべき連邦議会に於いて首班指名選挙が行われたが、立候補者が叶真理亜議員だけであった為に無投票で神聖旭日連邦帝国初代内閣総理大臣に指名されたのである。これを受けて叶総理は組閣人事を行い地球統一政府たる事を鮮明にし、閣僚は広く州になる各国の議員から選出した。そうして神聖旭日連邦帝国の連邦議会と政府が成立すると、ようやく憲法と法律が制定された。こうして再び国際会議が開かれ、『神聖旭日連邦帝国成立宣言』に地球上全世界が調印。その瞬間に地球上全世界の国々は『州』に格下げされ、神聖旭日連邦帝国憲法と法律が施行された。これにより2053年1月1日に地球統一政府たる、『神聖旭日連邦帝国』が成立したのである。