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新世紀宇宙戦争  作者: 007
第1章 ジレンマ
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宇宙軍総司令部

神聖旭日連邦帝国銀河連邦大使に本国の外務大臣が連絡を入れたのとほぼ同じタイミングで、神聖旭日連邦帝国首都星系の月面にある宇宙軍総司令部に国防大臣から連絡が入った。それを受けて緊急会議が招集されていた。宇宙軍総司令官はタブレットに映し出されたアリス総理からの極秘通達を読みながら眉を寄せた。やはり動かれますか、それが総司令官の心境だった。軍はまだ正式な出撃命令を受けていないが、準備はすでに始まっていた。



『神聖旭日連邦帝国宇宙軍は天の川銀河全体で見ても、非常に強力な軍事力を有していた。首都星系そして首都である太陽系地球の衛星である月に、神聖旭日連邦帝国宇宙軍総司令部は存在していた。地球時代のように陸・海・空に分かれた軍体系ではなく、宇宙における戦力を一括して統括する単一軍種である。宇宙軍は大きく二つの実戦組織に分かれる宇宙軍連合艦隊と宇宙軍遠征隊だ。宇宙軍連合艦隊は、艦艇戦力の全てを掌握する巨大艦隊群であり、神聖旭日連邦帝国各地に配置された艦隊戦力の総称でもある。大量の艦艇が運用されている。

一方宇宙軍遠征隊は陸戦部隊に相当する。惑星降下作戦を専門とし、多層的な兵力構成を持つ。宇宙における戦争は[艦隊戦]だけで終わらない。惑星を制圧するには、最終的に地表に兵士を送り込む必要がある。その為に宇宙軍は[艦と兵]が連携して機能する統合的な戦力体系となっているのだ。

そして、それら全てを束ねるのが宇宙軍総司令部である。宇宙軍総司令部は地球時代の[統合参謀本部]に相当する機関であり、神聖旭日連邦帝国の全宇宙軍戦力の作戦立案・指揮統制・戦略計画を担う中枢である。総司令部には戦略局・作戦局・情報局・兵站局・技術局といった専門部署が存在する

そして宇宙軍総司令部総司令官は地球時代の[統合参謀本部議長]に相当する。神聖旭日連邦帝国宇宙軍の軍人に於ける最高位であった。』

広瀬クレア著

『新世紀宇宙戦争』より一部抜粋





緊急会議で総司令官が静かに口を開くと、会議室の空気が引き締まった。ケタサカ王国は同盟国では無いが、政治的判断により介入も有り得ると総司令官は語ったのである。戸惑う将官達であったが、事態は深刻だった。会議室の巨大なホログラムマップには、ケタサカ王国とガフラヤサタ連邦の国境星域が赤く染まっている。

総司令官はまず宇宙軍連合艦隊の再編を優先させると語った。現行の防衛体制を維持しつつも配置転換準備を行うと共に、宇宙軍連合艦隊の配置見直しを実施すると断言した。

更に軍事援助についても総司令官は決断を下した。現段階では交戦意思は示さずあくまで『支援』の名目とする。しかし神聖旭日連邦帝国の手で提供される物資と装備は、ケタサカ王国の防衛能力を確実に引き上げねばならないと語った。それに参謀長は賛同しつまりは、実質的な戦力増強を支援として行うという事であると確認したのである。それに総司令官は満足し大きく頷いた。

そして宇宙軍遠征隊においては『義勇援助団』の名で派遣する計画を立てるように断言した。実戦投入の準備を裏で進めつつ、外務省と連携し公式上は『訓練支援』の名目にするとの事だった。

更に総司令官は兵站局と連携して支援物資の積載準備を行うように命令した。だがそれに参謀長が問題点を指摘し、ケタサカ王国の現地港湾に輸送艦を直送するなら、宙域コードの確保と政治的調整が必要だと語った。

いちいち真っ当な指摘に総司令官は暫く考えると、外務省と連絡を取り銀河連邦元老院の『対侵略支援決議』に乗じて正当性を演出し必要なら、ゼンメホ帝国経由の共同支援という形式を取るように断言した。

総司令官は目を閉じてから、再びホログラムの地図を見上げた。そして会議室にいる全将官に語ったのである。戦わずして負けるなど有り得ない、と力強く宣言した。

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