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新世紀宇宙戦争  作者: 007
第1章 ジレンマ
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異変2

アリス総理にとっては悩ましい問題だった。現状神聖旭日連邦帝国は戦争状態では無く、寧ろ2年に及ぶ戦争が去年終結したばかりだった。それを考慮すると政府としては、安易に戦争を開始する事は避けたかった。2年前の戦争相手は神聖旭日連邦帝国としては圧倒的に国力の小さな相手であったが、戦争の規模が違うのである。人類が未だ地球内だけで同族で争っていた時は、『惑星内』での戦争だったが今や『宇宙戦争』であり『宇宙空間』で艦隊が戦いその後『惑星降下』により占領を行い、ようやく決着となる。小国相手でもこれ程に時間が必要となるのである、ガフラヤサタ連邦相手の戦争となれば長期化は確定であった。正直今回の2年ばかりの戦争は良性な公共事業として神聖旭日連邦帝国の経済力を向上させると共に、相手は『総力戦』だったが神聖旭日連邦帝国は『局地戦』で対処した。国力的には一切疲弊も損害も無かった戦争だったが、国民感情を考慮すれば今回の侵攻は放置したかった。

だがそうなるとガフラヤサタ連邦がケタサカ王国の侵攻を支障無く続け、兵力差からガフラヤサタ連邦の勝利は確実視されるのである。そしてケタサカ王国がガフラヤサタ連邦に占領される事になれば、天の川銀河で最大の経済大国になってしまうのである。

天の川銀河で神聖旭日連邦帝国とガフラヤサタ連邦は同規模の経済大国であり、経済力の1位を激しく争っており毎年常に入れ替わっていた。天の川銀河3位の経済力はナタアワタ共和国であり、4位に神聖旭日連邦帝国の同盟国であるゼンメホ帝国が位置し、5位にケタサカ王国が位置した。その為にガフラヤサタ連邦がケタサカ王国を侵攻し占領するのは、神聖旭日連邦帝国としては何としても避けたかった。しかし戦争が去年終結したばかりであり、更に神聖旭日連邦帝国とケタサカ王国は同盟国でさえ無かった。それが更に事態をややこしくしていた。その為に国民感情は同盟国でも無い国に侵攻が行われた事に対して、神聖旭日連邦帝国は深入りすべきでは無いという空気だったのである。

しかも唯一の同盟国であるゼンメホ帝国との関係の深度化も、神聖旭日連邦帝国は対応していた。ゼンメホ帝国との同盟は正式なものであり、ゲートウェイの建設を通じて経済交流も盛んとなっていた。だが脆弱な軍事力と過度な依存体質が露呈し、同盟内での役割分担を巡る調整が必要となった。その為にアリス総理は[自立的共存]という新たな外交理念を打ち出したのである。ゼンメホ帝国に経済支援と軍事技術の一部移転を行い、自衛能力を一定水準に引き上げたのだ。

そのように数多くの懸念点はあるがアリス総理は外務大臣に、銀河連邦は今回のガフラヤサタ連邦の侵攻に対して動きがあるのか尋ねた。『銀河連邦』とは500年前に天の川銀河の星間国家全てが加入して創設された、現状唯一の天の川銀河多国籍機関だった。加盟国は総会に相当する『元老院』で1国1票で汎ゆる議題を話し合う事になる。人類が過去組織した国際連合では総会と安全保障理事会があったが、銀河連邦は元老院だけでしか構成されていなかった。安全保障理事会に相当する『理事会』の創設は何度も議論されたが、理事会をどの国が担うかで結論が出ず常に議論は先送りされてきた。その為に銀河連邦の議題は元老院で話し合われ、現存する天の川銀河星間国家890の国々が投票して結論を出す事になっていた。その銀河連邦で動きがあれば、それを利用しようというアリス総理の考えだった。

外務大臣は今回のガフラヤサタ連邦の侵攻を受けて、銀河連邦元老院に一部の国々が制裁を科すべきだとして動き出していると説明した。更に一部の星間国家は踏み込んで、義勇軍派遣や軍事援助を行うべきだとの意見があると語ったのである。それを聞いたアリス総理はそれは時間稼ぎに利用出来ると判断し、外務大臣に銀河連邦で積極的に動き銀河連邦での議題に賛同して、ケタサカ王国への連帯を示すように命令した。そして国防大臣に宇宙軍の再編と軍事援助を行う事が可能か確認し、可能なら外務大臣と共同でケタサカ王国に接触して提案するように命令した。

神聖旭日連邦帝国は和戦両面で行う事にしたのである。

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