領域拡大
『神聖旭日連邦帝国とエターナルナイトの接触による技術支援から1500年が経過した。神聖旭日連邦帝国は太陽系を中心に14000光年の距離まで領域を拡大していたのである。その間に52カ国もの星間国家と神聖旭日連邦帝国は戦争を行い、その都度勝利を収めていた。その星間国家は全て併合しており神聖旭日連邦帝国の国力は増大していた。エターナルナイトとの関係は良好であり、神聖旭日連邦帝国が領域を拡大し戦争に勝利する度にお祝いに駆け付けてくれる程だった。銀河系の管理者でありながらある種1カ国に肩入れし過ぎなのでは無いかと、神聖旭日連邦帝国は考えたがその本人に気に入られているのは良い事だとして、あまり詮索せずエターナルナイトとの友好を深めた。しかもエターナルナイトは天の川銀河の共通認識でもあったのである。神聖旭日連邦帝国が戦争を行い、併合した星間国家は全てエターナルナイトから技術支援を受けていた。これはエターナルナイトが完全に、銀河系の管理者たる証だった。
そして神聖旭日連邦帝国はエターナルナイトと出会った2076年に今まで使用していた『西暦』から『帝国歴』に全面的に切り替えた。人類にとって全てを根本的に革新させる重大な歴史的転換点であり、これを契機に国家として新たなスタートを切ることを決めたからである。それに見合った暦を採用するべきだとの連邦議会で議論された結果だった。こうして神聖旭日連邦帝国は、西暦2076年を帝国歴元年として以後は、神聖旭日連邦帝国全土で帝国歴が用いられる事になった。『西暦』は神聖旭日連邦帝国首都地球の『州王族』が以後も行事用に使用する為に、神聖旭日連邦帝国国家元首の天皇陛下たる皇室で使用される『皇紀』と同じ扱いとされた。
人類が創り上げた国家としての規模を拡大し続ける神聖旭日連邦帝国は、圧倒的な国力と技術力を誇った。エターナルナイトにより提供されたテラフォーミング技術により太陽系の惑星を筆頭に進出した星系の惑星は、地球と同じく人類の居住に適した惑星に改変され今や人類の居住する惑星数は神聖旭日連邦帝国の領域内で、3700万に迫ろうとしていた。それが国力と技術力の発展に貢献し、エターナルナイトが技術支援したエターナルエンジンとエターナルスラスターを発展させた、『光子力エンジン』と『光子力スラスター』を神聖旭日連邦帝国は実用化しエターナルナイトに提供する程になっていた。それにより民間輸送船も光子力エンジンと光子力スラスターを搭載し、圧倒的な速度を発揮するようになった。特にワープが500光年から1000光年に空間跳躍の距離が延伸されたのが大きな進歩だった。しかしそれでも1000光年の距離であり、ゲートウェイの重要性は不変だった。14000光年もの領域まで拡大した神聖旭日連邦帝国はその領域各地にゲートウェイを建造し、各地への迅速な移動を確立していた。それは各地に展開する宇宙軍が移動を容易にすると共に、民間経済の物流にも寄与する重要なものであった。
そして神聖旭日連邦帝国が領域を拡大するに比して、銀河系での交流も拡大し遂には同盟関係に発展する星間国家も表れた。それは[ゼンメホ帝国]という国であり、神聖旭日連邦帝国から2万光年の距離に位置した。そのゼンメホ帝国に神聖旭日連邦帝国はゲートウェイを建設し、両国の経済交流は活発に行われ経済は大いに発展する事になった。軍事力は神聖旭日連邦帝国に比べてゼンメホ帝国は圧倒的に弱小であったが、それが為に神聖旭日連邦帝国は脅威に感じる事無く、ゼンメホ帝国は神聖旭日連邦帝国を頼りに出来る為に両国の同盟関係はややドライな面があったが、現在に至るも唯一の同盟国となっている。(エターナルナイトとは正式に同盟を締結していないが、事実上同盟関係にあるのでこの表記に私自身も疑問があるが、あえて正式な同盟を優先した。)その他の国々とは神聖旭日連邦帝国は、経済協定だけに留めていた。
そして神聖旭日連邦帝国の未来は明るいと思われていたが、銀河系の対極には強大な星間国家が存在しており、その国との全面戦争が始まろうとしていたのである。』
広瀬クレア著
『新世紀宇宙戦争』より一部抜粋
次回からいよいよ本編が始まります。
本編では神聖旭日連邦帝国のみならず、天の川銀河全体で『帝国歴』で表記します。
建前は星間国家各国で表記をバラバラにするより統一した方が分かりやすい事、本音は考えつかないからです。