17 ほんの五世紀
sideレイゼン
「久しいな、ゼクス。」
俺は改めて笑顔でそう言った。
久しぶりに見る友の顔は二百年前と全く変わって居なかった。
「あぁ、久しぶりだね、レイゼン。
キャメラ嬢との結婚おめでとう。」
「あぁ…」
俺は短く答える。
ゼクスがキャメラに興味があったのは知っていた。
もう、昔からの事だ。
だが、ゼクスは…
「言いたい事は分かるよ。
彼女にはぜーんぜん僕の魅惑魔法が効かなくてね。
諦めたよ。
女性なら星の数ほどいる、しね?」
「そうか…」
俺はまた、短くそう言った。
「しかし、君の一途さにも呆れるよ。
もう、何百年想い続けているの?」
ゼクスが意地悪な笑みを浮かべて言う。
「大袈裟な。
たった五世紀ほどだろう。」
俺は言う。
「やれやれ、執念深いというか、なんと言うか…
キルラの気持ちを"変えた"のも、君、だね?」
ゼクスは少しばかり射抜くような瞳で言った。
「それがどうした?
俺は欲しい物の為ならば手段は選ばない。」
俺がそう言うと、大きく肩をすくめるゼクス。
「それはそうと…
奴らの動きを知りたい…」
「あぁ…
奴らはやはり再び結集をかけてるらしいね。
全く凝りない奴らさ。」
ゼクスは答えた。
「ふむ…
今は油断は出来ない。
ゼクス、バルドは王都の結界を強化してくれ。」
俺が言うと…
「バルドね。
伝えておくよ。
また、眠ってるんだろうからね。
それより、ローナ嬢は?」
ゼクスが尋ねる。
「アイツは…
女は手に負えん…
しかし、祝いに来るらしいな。」
俺は苦虫を噛み潰したような顔でそう答えた。
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