猫に嫉妬
[我が子が一番可愛い]
特に可愛いとは思わないが、道端に猫が座っていた。
最近結構式していた親友が遊びたいと誘ってきたので、近くのカフェに集まる事にした。
その親友は席に座るなり、嬉しそうな顔をして写真を僕の前に出した。
写真に写っているのは、結婚式の時の親友と奥さんだった。
親友は結婚式の写真を持ってきたのだ。
最初はウェディングドレスを着た奥さんを自慢していた親友が、徐々に悲しそうな顔に変わっていく。
どんどん暗くなっていくので、どうも見てられなくなった。
なのでそんな顔をするのか理由を聞いてみた。
話を聞く限り特に浮気男がきたわけではなく、誰かが悪いわけでもなようだった。
その結婚式には勿論、僕も家族と行っていた。
お似合いの二人からはキラキラと幸せの雰囲気が溢れていた。
思い出しても、これ以上ない幸せな空間だ。何が不満だったのだろう?
だが、何があったのは確かだろう。
僕の前で滅多に感情を出さないふわふわ系の顔が、わかりやすく落ち込んでいた。
本当に何かあったのか、と気になっていた時。
「こ、コレだ……」
出された写真には奥さんと黒猫が写っていた。可愛らしい猫とウェディングドレスをきた奥さんが写っている写真だ。
どこを見てもおかしな部分はない。
「こ、コレがどうしたと言うのだ?」
「奥さんが、」
「お、おう」
「この猫タキシード着てるみたい。新郎みたいだね って。本当に可愛いねェ って。」
「は?」
「ちょ待って、」
「うん?」
「お前この愛らしい猫に嫉妬してんの?こんな可愛い猫に。」
「なんか悪いか?」
「いや、大好きなんだな。奥さんのことがね。」
「うん当たり前だろ?こんなに可愛いんだぞ。」
「ハハッそうか」
そんな猫に嫉妬する親友の薬指に光る指輪。
指輪は幸せの詰まった宝物なのだろう。
君に命尽きるまで最高の幸せを。
「ごめん、それ僕の家族だわ」
やっぱり我が子は可愛く見えるね。
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