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飽き症の天才は飽くなき無限の世界へと旅立つ  作者: 聖花 シヅク
第2部:天才はかくして面倒ごとに巻き込まれる
32/36

第30話:約束

先日ご指摘を頂き、「第27話:試合」の内容に若干の修正を加えました

分かり難い部分があったため、そこを分かりやすくした形となります

また、27話と28話のサブタイトルが同じになっていたため27話のサブタイトルを「本気の勝負」へと変更しました

 試合も終わり、俺とユイは先程ログインした宿屋へと戻ってきていた。

 時刻は24時手前となっていて、思っていたよりも時間は過ぎていたなかったようだ。

 お互いに体はまだ全然疲れていないような気分なのに、先程まで試合で酷使していた脳は未だに疲れを引きずり、それでも興奮は全く収まらずにいる。

 長いようで短かった勝負は、10分ほどで決着を迎えた。


 結果から言おう。俺とユイの試合、勝者は俺となった。

 いわゆる意味判定勝ちと言うものだ。


 俺の放った最後の剣はユイの首を跳ね飛ばし、同時に放たれたユイの剣は俺の胴体を真っ二つにした。

 死んでも死ぬわけでは無い、ゲームの世界だからこその選択だったともいえるが、そうしなければ勝てなかったとも言える。捨て身の結果、コンマ数秒の差で俺の勝ちとなったらしい。

 試合の終わった直後は正直、喜びとモヤモヤとした気持ちが半々に入り乱れ微妙な気持ちだったが、その後お互いに試合終了の挨拶をして一度吹っ切る事が出来たと思っていた。が、まだ興奮は冷めきっていなかったようだ。

 まだ、若干のモヤモヤが残っていたが、またこんな勝負がしたい、という気持ちが徐々に大きくなってきてしまっていた。


 そんなこんなで、お互いに黙ったままに宿屋まで戻り、それぞれのベッドへと座り呆然としていた。


「————ミトは本当に強くなったなぁ」


 ユイは大きく息を吸ったかと思うと、次の瞬間そう呟いた。

 その言葉は独り言に聞こえなくもないが、それでいてこちらへ話かけてきたようにも感じた。


「‥‥ユイも強くなっていたじゃないか。今回はゲームだからこそ判定勝ちだったけど、リアルでああなったら相打ちだからね。今度戦うことがあったら、ちゃんと勝ち切るよ」


 俺は自分の思いと共に、『次は完璧に勝つ』という目標をユイへと伝えた。

 ユイはその言葉に困ったように笑うと、口を一瞬開けようとしたが再び閉じてしまった。


「もちろん、これが剣士としての最後の勝負だったのは分かっているよ」

「‥‥じゃあ、どういうこと?」


 ユイは俺の言葉に驚いたような表情をした後、疑問を口にした。


「言葉のままだよ。次戦うときは、俺は騎士として、ユイは魔法使いとして、自分の強さをぶつけ合おう。きっと、どこかで戦う機会はあるよ」


 俺はそう言う言い切ると、ユイへと笑いかけた。

 正直、ユイに剣士として勝ちきれなかったのは悔しいといえばウソになる。が、それをいつまで引きずっているわけにはいかない。いつかは吹っ切らなければならないことだ。

 だからこそ、この場で吹っ切ってしまうことにしよう。さっきの試合が、俺とユイの————現在の天才と過去の剣の天才の最後の試合だったのだ。


「うん‥‥そうだね。次はお互いの実力を、平等で不平等な(ゲームだからこその)舞台でぶつけ合おう」


 ユイはそう言って満面の笑みを浮かべた。

「第30話:約束」をご覧いただき有難うございました

次話の投稿は未定ですが明後日の朝6時に投稿する予定です


続きが気になる、など思っていただけたら

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では、また次話でお会いしましょう

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