第29話:技
そろそろ、学校の日程にも若干慣れ始めてきたので、徐々に更新を予定通りに持っていけたらと思っています
技はあっても、名前は付けないことにしました
「流石に、簡単に勝たせてはくれないね」
俺とユイは一度大きく距離を取り、息を整える。
ユイは息を整えると、口を開いてそう言った。
「そんな簡単に負けてやるわけないだろ。これが最後の試合になるんだからな」
「うん。そうだね‥‥じゃあ、そろそろ決着をつけようか」
ユイはそう言うと纏う空気を大きく変える。
こちらを殺す気で来ているのだろう。そう思えるだけの殺気が送られてくる。
「そうだな。そろそろ決着だ」
俺もその言葉を最後にして、気合を入れ直す。
大きく息を吸い直し————
「「行くぞ(よ)!」」
————俺とユイは駆け出した。
俺とユイの試合はさらに過激さを増し、どんどん剣の刃と刃の交わる回数は増えていく。
足の動きをおとりにしつつ剣を振るい、それを防いだと思えばその勢いのまま足蹴りが拳が飛んでくる。
ユイの顔はどんどん笑顔で染まっていき、それに伴い攻撃の勢いも上がる。
きっと俺の顔も笑顔で染まっているのだろう。
しかし、それだけ楽しい試合もいつかは終わりを迎える。
徐々に俺がユイの攻撃パターンを憶えていき、一つ一つ、攻撃を潰していく。
その度にタイミングを変えたりすることでユイはこちらに攻撃をあてようとしてくるが、それくらいで簡単に攻撃を受けるほど軟な鍛え方はしていない。
ユイは一度大きく後ろへと下がり、剣を鞘へと納める。
一瞬諦めたのかとも思ったが体制を低くし、ユイはさらに纏う空気の重さを一段上げた。
抜刀術の構えだ。
俺達の習っていた剣術に特定の流派の技はない。
何でも、教えていた爺さんが若いころに色々な道場を渡り歩いて、いいとこどりをし続け今の技術へと至ったのだという。
しかし、そんな俺達の習っていた剣術だったが、数少ない爺さんが個人的に作った技がある。その一つがユイの今使おうとしている抜刀術だ。
俺も使えなくはないが、恐らくユイの方が上手く使えるだろう。
「さあ、これで最後だよ」
俺もユイもここまでの戦いで、HPは半分近くまで減っている。
大きなダメージは喰らわずとも、細かなダメージはお互いに食らってはいたのだ。
「ふぅ‥‥来い!」
俺は再度息を整え、ユイの本気を受け止めるために、剣を構え直す。
「じゃあ、行くよ」
その一言と共に、ユイは大きく踏み込み剣を抜き始める。
俺がその抜刀術を受けきれたことは一度もない。
この抜刀術こそが、俺がユイに勝てないかもしれないと思った理由の大きな理由だ。
当時ですら洗礼されていたその技は、さらに洗練され動きに一つの無駄すらない。
綺麗な姿勢のまま、一筋の乱れもなく、ただ俺を倒すためだけに、振り抜かれた————
「第29話:技」をご覧いただき有難うございました
次話の投稿は未定ですが来週月曜の同じ時間に投稿する予定です
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では、また次話でお会いしましょう




