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飽き症の天才は飽くなき無限の世界へと旅立つ  作者: 聖花 シヅク
第2部:天才はかくして面倒ごとに巻き込まれる
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第26話:会員登録

「じ、示談金は支払わせますので、どうか衛兵へ連絡するのは、止めていただけないでしょうか」


 顔を真っ青にしながらそう言う少女に対して若干悪い気はしてくるが、ここはひいてはいけない場面だ。

 正直、ここで退いたりしたら周りの冒険者からもなめられることになるだろうからな。何より、ユイが危険な目にあった時点で退く気はないのだが。


「うーん‥‥そんなこと職員さんに言われても困るんですよね。言うとしたら‥‥そこのおっさんでしょう?」


 俺は先程まで剣を向けていたおっさんへ振り返り、そう言う。

 おっさんは若干苦い顔をしながらこちらへ一歩ずつ歩いてくる。


「さっきは危険な目に合わせてしまいすまなかった」


 ユイへと頭を下げながら謝るおっさん。

 周りも若干怯えていたことから、このおっさんはこのギルドの中でも上位の実力者なのだろう。

 恐らくAランクかSランクと言ったところだろう。


「‥‥あ、私は大丈夫ですので」


 呆然としていたユイだったが、頭を下げられたことで復活したのか、慌てて頭を上げさせようとしている。

 職員さんの顔色も戻り、先程までの真っ青な色から青白い程度にはなっている。


「そう言えば、後ろのやつもう起きているんで、さっさと捕まえた方が良いですよ」


 俺が少し前に意識を取り戻していた、吹っ飛ばされてきた男をすぐに捕まえた方が良いと忠告すると、おっさんは一瞬で移動しその男の首根っこを掴んだ。

 ‥‥これは抑えるのも難しかったかもしれないな。流石に速さで勝負されたら勝ち目がなかったしな。入り口に陣取って何とか、と言ったところか。


 にしても、男はバレたと思った瞬間逃げ出そうとしたが、それ以上の反射速度でおっさんが捕まえたのには驚いたな。

 やはり、Sランクは行っていそうだな。


「いや、助かったよ。流石にこいつを逃がしたら、ギルド長のおやっさんにどやされただろうからな」

「どっちにしろ、こんなところで問題起こした時点でどやされるだろう?見られてたわけだし」


 俺がギルドの奥、上へと続く階段の方を指さし、そこにいる人物へと注目を向ける。

 途端におっさんの顔色は悪くなっていき、それと同時に男の顔色も悪くなっていった。


「また問題を起こしたのか、オルト」


 ギルド長と思わしき初老の男性は、そうおっさんへと問いかけた。


「こ、これは‥‥」

「今回のはもう終わった話だ。そろそろ俺もギルドへ登録したいのだが、職員さん大丈夫かな?」

「え・・・・あ、はい。大丈夫です。こちらへどうぞ…」


 職員さんは戸惑いながらも案内をしてくれる。よく訓練されているようだ。

 それに、職員一人とってもよく鍛えられていることが分かる。おっさんほどではないにしても、Bランク程度の実力はあるのではないだろうか?


「マイル、その男はDランク。女はEランクからでかまわない。ギルド長権限で二人のランクを上げておけ」

「ランクを上げるにはクエストをこなさないといけないと訊いていたのだが、例外を認めていいのか?」

「今までもいなかったわけでは無い。実力の在る者を下のランク帯で縛り付けておく理由もないしな。まあ、そこから先は一定以上の実力がないと進めさせるわけにもいかんがな」


 今までにいた、と言っているという事はNPCの事なのだろう。

 恐らくおっさんもその一人だと思われる。恐らくその頃からギルド長が変わっていないという事はないので、ギルド長には初心者の頃良くしてもらったのだろう。だから、頭も上がらないのだと思う。


「まあ、問題ないならいいさ。なら、マイルさん、でよかったかな?何か書く必要はあるかな」

「こちらの書類へ必須事項の部分をお願いします」


 マイルさんはそう言い、俺とユイの前に書類を出す。

 必須事項は名前と職業、使用武器、犯罪歴の有無、か。

 一つ一つ書いていき、一分もかからずに書き終わった。


「これで大丈夫か?」

「これで大丈夫かしら?」

「‥‥はい。確認しました。少々お待ちください」


 俺とユイが書類を出すと奥へと引っ込んでいく。

 そして5分ほどすると、再度マイルさんは奥から出てきた。一つのお盆をもって。


「こちらがギルド会員証となります。裏を二度タップすると、その会員証の利用者が倒した魔物の種類と数を確認できるようになっています」


 俺とユイのギルド会員証の色が違うのはランクの違いだろうか?俺のが青でユイのが赤になっている。

 マイルさんに言われた通り、二度タップするとここまでに倒した魔物の数が表示される。


「また、こちらに血を垂らすと、個人登録が出来るのですが‥‥稀人の方は血が出ないため涎などでも大丈夫ですので、後ほど個人登録の方もよろしくお願いします。こちら、個人登録しなかった場合、他人にも勝手に利用できるようになってしまうため、悪用される場合がありますのでご注意ください」


 忘れずに個人登録しようと心に決め、次の説明を促す。

 ユイからも訊いた話を再び訊いてき、細かいところまで知ることができた。


「では、これで説明は終わりとなります。今後のあなた方の活躍をお祈りいたします」


 全ての説明を訊き終え、ようやく俺とユイは冒険者となったのだった。






※追記

おっさんはこの間ずっとギルド長に怒られていたことをここへ記す。


「第26話:会員登録」をご覧いただき有難うございました

次話の投稿は未定ですが明日の同じ時間に投稿する予定です


続きが気になる、など思っていただけたら

ブクマ登録いいねや☆の方をつけてくださると励みになりますのでよろしくお願いします


では、また次話でお会いしましょう

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