4 物理的秩序
4 物理的秩序
エントゥロピとは何ですか?
熱力学第二法則のおおよその意味
熱力学第二法則に違反するよう見える物質的秩序の形成
高度な物質的秩序の自発的形成はかならず観念的機能に基づく (論理的必然)
高度な物質的秩序の自発的形成のための条件
《 エントゥロピとは何ですか? 》
熱力学第二法則は、大まかには、「エントゥロピは増大する」ということを表明しています。
そして、この法則ゆえに、物理的な秩序は自然には失われてゆきます。物事は、自然には、時間の経過とともに、バラバラに分解してゆくのです。物事は、自然には、拡散し、均質化して、混沌の状態になります。情報――身体感覚や思考などの観念――もそうです。情報も失われます。(ちなみに、事物が無秩序になる方向が、時間の流れる方向です)。
ここで、エントゥロピは、エナァジ、つまり、熱や物質の、乱雑さを表わします。より分かりやすく言えば、乱雑さの強さではなく、乱雑さの量を表わします。
簡単に言えば、エントゥロピは乱雑さ(無秩序)の量であり指標です。
たとえば、Aの箱にリンゴが3個はいりていて、Bの箱にリンゴが5個はいりているとします。すると合計では8個になります。
ここで、リンゴが乱雑さを表わしているとすれば、Aの箱の乱雑さの量は3で、Bの箱は5です。そして、AとBを合わせし全体の乱雑さの量は、足して8になります。
こういう風に、エントゥロピつまり乱雑さの量は、リンゴの個数のように加算ができる、と定義されています。
ちなみに、加算ができる物理量は、一般に、示量性の物理量と呼ばれます。体積・質量・長さ・時間などが該当します。エントゥロピもそうです。
他方、示量性の物理量とは別に、強さを表わす物理量があり、これは示強性の物理量と呼ばれます。温度や圧力などが該当します。
さらに、長さ・時間・質量・温度などは具体的な物理量ですが、エントゥロピは計算により求められる物理量です。
そして、物品の温度が上昇すると、その物品のエントゥロピは増加しますが、それは何故かと言えば、その物品を構成する無数の物質群の運動エナァジが増加して、それらの物質の状態の不確定さが増えるためである、と言われます。
つまり、乱雑さという言葉は、不確定さ・不確実性・不規則性などとも言い換えることができます。さらに、秩序の減少・情報の喪失などとも言えます。
そして、この宇宙のほとんどの物理過程では、乱雑さが増えて、物理的秩序や情報が減りてゆきます。それで、一般に、エントゥロピは増大する、と言われます。これが、熱力学第二法則の大意です。
こういう次第で、この宇宙では、物理的な秩序は自然には失われてゆくのです。そして、高度な物理的秩序が自然に形成されることはありません。もしも熱力学第二法則が適用されるなら、物理的秩序は、時間の経過とともにバラバラに分解してゆくのが、自然です。
ところが、生物にては、エナァジは消費はしても、熱が外部に排出されるので、その分、エントゥロピの生成は低減します。エントゥロは、増えるばかりの量で、減ることはありませんが、生物にては、増える速度が低下するのです。そして、そのエントゥロピ生成速度の低減に起因する何らかの効果によりて、部分的には秩序が生産される、らしいです。(しかし、ここの部分は、エナァジの消費(熱の発生)と細胞の動きのあいだのミシン リンクでありて、今はまだこの世の七不思議の一つです)。
《 熱力学第二法則のおおよその意味 》
1) エントゥロピーは自然には増大する
2) 物質的秩序は限定的システム内部では自然に形成されうる
3) 人間や生物の活動での物質的秩序の形成は過剰なのではないか?
................
1) エントゥロピーは自然には増大する
熱力学第二法則は、エントゥロピーは自然には増大する、と述べている、と普通には理解されます。
ここでエントゥロピーは大まかには乱雑さや無秩序を表わします。このため、熱力学第二法則は、乱雑さや無秩序は自然には増大する、と大まかに述べている、と理解されます。逆に言えば、秩序は、なんらかの原因や根拠のないかぎり、自然には生じないです。
ただ、熱力学第二法則の厳密な意味はとても難しいようです。
それでも、その意味をもう少し詳しく表現するなら、それは次のようなものと言われます。
あるシステムの合計エントゥロピーとその外部環境の合計エントゥロピーを加算ししものは、増加するか、変わらない必要がある。
つまり、全体的に評価するなら、あるシステムとその外部環境の合計エントゥロピーはほぼ必ず増加するのです。この宇宙のエントゥロピーは増加しつづけており、秩序も失われつづけているのです。
2) 物質的秩序は限定的システム内部では自然に形成されうる
それでも、限られし領域だけに限定するなら、熱力学第二法則の規定の範囲内で、秩序は形成されうると、推測されます。たとえば、物質的な秩序と観念的な秩序の別を問わなく、人間のほぼ全ての活動は秩序の形成に該当します。そして人間社会は秩序に満ちています。
もちろん、秩序の形成に相当する以上に熱(エントゥロピー・乱雑さ・無秩序)が生成されて外部環境に排出されるので、エントゥロピーは全体としては増加します。
それでも、1つのシステム内に限定するなら、秩序は自然に形成されうるのです。
3) 人間や生物の活動での物質的秩序の形成は過剰なのではないか?
ただ、人間や生物の活動--物質的秩序の形成--が熱力学第二法則に違反することなしに果たされているか否かは、実ははっきりしないです。なぜなら、それは、まず、あまりに複雑であり、エントゥロピーの変化を計算することはほぼ不可能と推測されるからです。
むしろ人間や生物の活動はできすぎのように見えます。なぜなら、それは、生きている人間にとりてはごく当たりまえのことですが、それを原子や分子のレヴェルで冷静に評価するなら、とても高度で洗練されていて且つ厳密だからです。
人間や生物の活動は無数の細胞により構成されます。そして、細胞の活動は、細胞内の多様な物理事象によりもたらされます。しかし、それらの物理事象に関与する物質の動きは極めて洗練されていて且つ厳密です。そして、それにも拘わらず、構成要素の物質にそういう動きをもたらせるきめ細かな物理力は細胞内に存在しないです。
このゆえ、人間や生物により様ざまな活動が果たされることには、厳密な意味で、物理的原因がないよう思われます。さらに、乱雑さや無秩序は自然には増大するという熱力学第二法則からも、人間や生物の活動は不可能なように見えます。
このゆえ、人間や生物の活動にては、消費されるエナァジ--外部環境に排出される熱・エントゥロピー--以上に、過剰な物質的秩序が形成されていることが疑われます。それらの活動が熱力学第二法則などの物理法則に違反している可能性があります。そういう疑いは否定はできないです。
《 熱力学第二法則に違反するよう見える物質的秩序の形成 》
1) 人間や生物による身体的活動が合法的なのか否かはまだ明確には判断できない
2) 熱力学第二法則に違反するよう見える物質的秩序の形成
3) 過剰な物質的秩序の形成が物理法則に違反しない枠組 (予想)
................
1) 人間や生物による身体的活動が合法的なのか否かはまだ明確には判断できない
人間や生物による身体的活動は、高度で動的な物質的秩序の形成に該当します。それでも、その活動が熱力学第二法則の規定の範囲内で合法的に果たされるか否かは、必ずしも明確ではありません。
そもそも、人間や生物による身体的活動は、根底の物質の動きの面で評価するなら、あまりに複雑です。このゆえ、その活動におけるエントゥロピーの変化を計算することはほぼ不可能と推測されます。合法性は必ずしも判断できないのです。
その上、人間のほぼ全ての身体的活動は必ず意識に形成される思考にもとづき生じます。
(このことは、発話の筋肉運動が必ず意識に形成される思考にもとづき生じることから明らかに判断されます。思考(観念)と物質のあいだには接点があり、思考・観念・そして意識は物理的であり、そして、少なくとも細胞などの生体内におき、物質は観念にもとづき動きうるのです。そして、こういう枠組は、人間や生物のほぼ全ての身体的活動--高度で動的な物質的秩序の形成--に生じている、と推測されます)。
つまり、人間や生物の身体的活動には意識が関与しているのです。このため、その活動が熱力学第二法則に違反せずに生じているか否かを判断することは、いよいよ難しいです。
2) 熱力学第二法則に違反するよう見える物質的秩序の形成
人間や生物による秩序形成のほかに、過剰な物質的秩序が形成されて、見掛けじょう熱力学第二法則などの物理法則に違反するよう見える物理現象がある、と推測されます。次の2つです。(他にもあるかも知れません)。
A) 各種の物質の結晶の形成プロセス
B) 細胞などの生体内での多様な物理事象の実現過程
まず、これらの物理事象における物質の動きには、微細さ・正確さ・個別性・差異性・柔軟性・協調性・そして統合性などの特徴ないし要件があります。
しかし、個この物質の動きにこういう特徴をもたらせるきめ細かな物理力は存在しないです。
このゆえ、それらの物理事象では、普通には有りえない物質の動きが生じ、過剰な物質的秩序が形成されるよう見えるです。それらの過剰な秩序の形成は、まず、熱力学第二法則に違反するよう見えます。さらに、それらは、慣性の法則とエナァジ保存の法則にも違反する、と推測されます。
3) 過剰な物質的秩序の形成が物理法則に違反しない枠組 (予想)
しかし前記の物理事象は現実に生じます。このゆえ、それらでの物質の動きは前記の物理法則に違反しているのではなく、むしろ、それらの動きが物理法則の制約に拘束されない形で生じうる何らかの未知の物理的枠組がそれらの事象に生じているかも知れないと、予想されます。
それは次のようなものと推測されます。
まず、高度で動的な物質的秩序の形成に該当する物理事象が果たされるためには、測定機能と演算機能という観念的機能が、システム全体に広域的に関与することが不可欠です。(前記の特徴ないし要件の実現は、これらの広域的な観念的機能に基づくことで初めて可能になります。高度で動的な物質的秩序が形成されるためには、それが、広域的な観念的機能によるフィードゥバク制御に基づくことが欠かせないです)。そして広域的な観念的機能を果たせるものは知性(意識)だけです。
このゆえ、前記の物理事象には、それが無生物か生きているかを問わず、大きなものである意識が生じている、と予想されます。(ちなみに、意識は、(システムの構成要素の物質の構成要素である)エナァジに具わる物理的作用のうちの測定作用と演算作用という観念的作用から形成されます。このゆえ、意識・思考・そして観念は、観念的ではありても、物理的秩序です)。
そして、あるシステム内部で生成されて外部に排出される熱(エントゥロピー・乱雑さ・無秩序)の量に相当する物質的秩序として、そこに意識が形成されます。
この点で、あるシステム内での意識の形成は熱力学第二法則に違反はしない、と推測されます。
加えて、意識が形成されしシステムは、巨大な量子のようなものに昇格する、と予想されます。なぜなら意識は統合的な物理的秩序だからです。ただ、システムを構成するそれぞれの物質は個別的な物質に留まります。意識が形成されしシステムは、こういう特異な物理的存在に変貌するのです。この点で、意識が形成されしシステムは、ふつうの量子とは大きく異なります。
そして、そのシステムの構成要素である個この物質は、システム全体にわたる大きな意識で果たされる演算機能の結果にもとづき動くです。意識が形成されしシステムの全体は1個の特異な量子のようなものであり、その内部の構成要素の物質は、こういうふうに動くです。
それでも、それらの物質の動きは、熱力学第二法則・慣性の法則・そしてエナァジ保存の法則の規定に拘束されないと、予想されます。なぜなら、これらの法則は、量子外部での巨視的な物理法則だからです。
こういう枠組が生じていれば、前記の物理事象は物理法則に違反することなしに実現されうると、予想されます。
つまるところ、まず、人間や生物の意識という観念的秩序が熱力学第二法則の制限内で形成されるにしても、さらに、その意識の機能にもとづき生じる物質の動き--物質的な活動・動的な物質的秩序--は、過剰なものかも知れません。この過剰な秩序が見掛けじょう熱力学第二法則への違反に見えるです。
《 高度な物質的秩序の自発的形成はかならず観念的機能に基づく (論理的必然) 》
1) 高度な物質的秩序の自発的形成はかならず観念的機能に基づく
2) 比喩的な例
3) 現実的な例
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1) 高度な物質的秩序の自発的形成はかならず観念的機能に基づく
物質的な秩序は、一般に、複数または無数の物質から、時間の経過のなかで形成されます。そして、物質的秩序の形成には、次のような特徴があります。
A) 物質的秩序は複数または無数の物質から形成される。
B) 物質的秩序は大きい。それが形成されるその全体は大きなシステムである。
C) 大きなものである物質的秩序の形成には時間がかかる。
D) 物質的秩序を形成するシステムは動的なプロセスである。
そして、物質的秩序はたくさんの物質から時間をかけて形成されるゆえ、その形成過程では、現在の状態についての全体的情報が欠かせないです。つまり、全体状態についての情報収集が不可欠です。
さらに、形成されるものが秩序であるためには、それが秩序たりうる何らかの論理的整合性がそれに具わることが欠かせないです。そして、論理的整合性は、思考つまり演算によりてのみ生みだせえます。
つまり、大きなものである物質的秩序が形成されるためには、その形成プロセスに情報収集機能と演算機能が生じていることが不可欠です。そして、これらの2つの機能は観念的機能です。
しかし物質は三人称の客体にすぎません。このゆえ、そういう物質がどれだけたくさん集合しようとも、それらが全体にわたる観念的機能を果たすことは不可能です。観念的機能を果たせるものは知性だけです。そして、それが無生物であるか生きているかを問わなく、知性はつまり意識です。
つまり、物質的な秩序の自発的な形成はかならず情報収集機能と演算機能という観念的機能に基づいており、かつ、その観念的機能はかならず知性(意識)によりて果たされるです。これは論理的必然です。
(ちなみに、物質的な秩序の形成プロセスに生じる情報収集機能・演算機能・知性・そして意識がどういうものであるか、それはここではまだ分かりません。それは別の課題です)。
2) 比喩的な例
完成ししあとのジグソーパズルは静的な秩序ですが、その完成が人間により取り組まれている過程は動的な秩序です。そして、その完成は人間による情報収集と思考という観念的な働きなしには絶対に達成されえないです。
また、現在の状態に呼応して微妙な応答の求められる自動製造装置やロウボトゥなどの正常な運転も、測定(情報収集)と演算という観念的機能にもとづくフィードゥバク制御により果たされることなしには達成できないです。
つまり、それが外因的な秩序形成であろうとも、秩序の形成は観念的な働きに基づくことが不可欠です。
3) 現実的な例
各種の物質の結晶は完成ししあとのジグソーパズルに酷似しています。しかし、結晶の形成プロセスにおける構成要素の物質の動きには、微細さ・正確さ・個別性・差異性・柔軟性・協調性・統合性などの特徴が具わりています。しかし、それぞれの物質にそういう動きをもたらせるきめ細かな物理力は存在しないです。それにも拘わらず、見事な結晶は現実に形成されます。そして、こういう状況で結晶形成の根拠となりうるのは知性(意識)による観念的機能だけです。つまり、ジグソーパズルと同様、結晶も、観念的機能に基づくことなしには形成されえないです。
また、細胞などの生体内部では極めて高度で動的な物理事象が果たされています。しかし、そこにも、関与する物質に洗練されし動きをもたらせるきめ細かな物理力は存在しないです。つまり、生体内の多様な物理事象でも、知性による観念的機能は動作しているのです。
(物質が観念的機能にもとづき動くことは、問題ではありません。なぜなら、物質が場合によりては思考(観念)にもとづき動きうることは、発話の筋肉運動がかならず意識に形成される思考にもとづき生じることにより、紛れもなく実証されているからです。少なくとも生体などの特定のシステム内部では、物質は観念にもとづき動きうるのです。その特定のシステムとは、熱が外部環境に排出されて、エントゥロピー生成速度が減少していると推測されるシステムです。(こういうことは意識から物理学への贈り物のようなものと言えます))。
つまり、結晶の形成プロセスや細胞などの生体の内部には必ず知性(意識)が形成されており、それがそこでの物質的秩序の形成を司りているのです。
《 高度な物質的秩序の自発的形成のための条件 》
1) 高度な物質的秩序の自発的形成のための条件
2) (余談) 知性の形成はありふれているのかも知れぬ
3) ムペンバ効果
4) (余談) コムピュータァやAIなどに文字どおりの知性(意識)が生じると期待することは難しい
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1) 高度な物質的秩序の自発的形成のための条件
物質的秩序は一般にたくさんの物質で形成されます。そして、その形成には、多かれ少なかれ、時間がかかります。このゆえ、自発的な物質的秩序の形成は、大きく動的なプロセス--大きく動的な物質システム--により果たされます。
以下のことが、高度な物質的秩序の自発的形成のための条件と考えられます。
i) 無生物であると生きているとを問わず、観念的機能を果たす大きな知性がシステム全体にわたり必ず生じている。
観念的機能とは、システム全体の現在の物質的状態を測定する機能--情報収集機能--と、測定されし状態にもとづき次の瞬間の状態を演算する機能--思考機能--の、2つです。
高度な物質的秩序の自発的形成は必ずこれらの観念的機能に基づくのでありて、システム内にこれらの機能が形成されることは欠かせないです。
そして、観念的機能を果たす知性は、無生物であると生きているとを問わず、意識です。つまり、高度な物質的秩序が自発的な形成されるシステムには、かならず意識が形成されているのです。
ii) 形成される知性は、可変的で動的で柔軟であり、秩序形成のあいだ、形成(更新)されつづける。
これは、形成される知性が時間のかかる物質的秩序の形成のあいだ動作しつづけなくてはならないからです。
iii) 高度な物質的秩序が形成されるシステムは、関与する物質が空間を移動できて、かつ、化学合成が果たされうる柔らかな環境、つまり液状である。
これは、高度な物質的秩序が形成されるためには、関与する物質が、一部であろうと全体であろうと、空間を移動して融合する必要があるからです。
iv) システム内の物質は互いに接触している。
これは、大きな知性が形成されるためであり、かつ、物質が融合する必要があるためです。
v) システム内のエントゥロピー生成速度は減少している。(エントゥロピーは、乱雑さや無秩序のようなもの)。
システム内のエントゥロピー生成速度が減少すると、エナァジや物質にそなわる自己創発作用(自己融合作用)が活性化されます。そして、その働きにより、物質にそなわる観念的作用が融合し、知性(意識)が形成されます。
vi) システム内に存在するか発生する熱がシステム外に排出される。
このことにより、システム内のエントゥロピー生成速度は減少します。
ちなみに、上記の条件は、システム内に知性(= 意識)が形成されるための条件でもあります。なぜなら、高度な物質的秩序の自発的形成は、そもそも、かならず、知性による観念的機能に基づくからです。
以下の物理事象は、高度な物質的秩序の自発的形成に該当しますが、上記の条件を満たしている、と考えられます。
A) 各種の物質の結晶の形成プロセス
B) 細胞などの生体内での多様な物理事象の実現過程
2) (余談) 知性の形成はありふれているのかも知れぬ
知性(= 意識)が形成されるためには、熱がシステム外に排出されて、エントゥロピー生成速度が減少していることが、不可欠です。
しかし、この宇宙という物質世界や私たちの身のまわりに、エントゥロピー生成速度の減少する物理現象はありふれている、と思われます。なぜなら、熱が外部に排出されるなら、それでいいからです。たとえば、湯を沸かししヤカンや料理を調理しし鍋などが、それに該当します。さらに、恒星内部や惑星内部もそのように考えられます。しかも、これらのシステムの内部は柔らかいです。
このゆえ、それらのシステム内部では、とても信じられませんが、なんらかの知性が形成されているのかも知れません。そして、形成される知性によりて何らかの働き--なんらかの物質的秩序の自発的形成--が果たされているのかも、知れません。普通、私たちは、そういうことには気づきませんが。
3) ムペンバ効果
ところで、水を氷らせるとき、熱水のほうが冷たい水より早く氷るそうです。これはムペンバ効果と呼ばれています。1963年に、タンザニア人の学生エラスト ムペンバにより発見されました。ただ、その原因はまだまだきちんと説明されてはいないそうです。
しかし、その原因として、熱水の冷却過程に無生物の意識が形成されていることが考ええます。
ただ、冷たい水の冷却過程でも意識は形成されると推測されますが、その活性は低いと思われます。
ひるがえり、熱水の冷却過程でのエントゥロピー生成速度の減少は高い、と考えられます。このゆえ、熱水の冷却過程に形成される意識の活性も高い、と推測されます。
そして、その意識の高い活性が、熱水の氷結の迅速さに反映される、と推測されます。
なぜなら、意識は、より高度な物理的秩序を形成し、かつ、維持しようとするものだからです。それは、エネルギーや物質に具わりている自己創発作用(自己融合作用)の現われです。
このため、ムペンバ効果は、エントゥロピー生成速度の減少するシステムでの意識の形成を示唆している可能性があります。間接的ながら、客観的に観察できる形で意識の自然な形成を示唆しているかも知れないという点で、ムペンバ効果の発見は意義ぶかいです。
(このような物理現象は、精査するなら、ほかにも色いろあるかも知れません。なぜなら熱が系外に排出されるなら、それでいいからです。ただ、その系は、物質の融合や化学反応などにより物質が結合しうる液状の柔らかい系である必要があります)。
4) (余談) コムピュータァやAIなどに文字どおりの知性(意識)が生じると期待することは難しい
エントゥロピー生成速度が減少しているシステムとして、コムピュータァ・CPU・DSP・LSI・AIなども、それに該当する、と思われます。このゆえ、それらにも、なんらかの知性(意識)が形成されている可能性は、考ええます。
しかし、これらのハードゥウェアァは堅固でありて、それらの内部で化学反応が生じることは有りえないです。
このゆえ、それらに形成されるかも知れぬ知性は、動的な可変性に欠けており、ごく静的で固定的と予想されます。
そして、その知性に検出されることと言えば、電子がどんどん流れていることくらい、と推測されます。さらに、それに生じる演算としては、電子をなるべく円滑に流すことくらい、と考えられます。これらのハードゥウェアァを冷却するとデイタのエラァが減少することが、その現われかも知れません。
つまり、人間のような思考(知的機能)を果たす文字どおりの知性がコムピュータァやAIなどに生じると期待することは、とても難しい、と考えられます。
(コムピュータァやAIなどは基本的に電子的な機械です。機械は、エナァジを原動力として、人間により使用されるものであり、人間の(意識の)ような一人称の主体ではなくて、完全に受動的です。しかし、人間のような文字どおりの知性はそれらには形成されないにしても、改良を続けることで、それらに、人間の知性に見まがうばかりの見掛けじょうの知性は実現されうると、考えられます)。