11 結晶
11 結晶
結晶はジグソー パズルのようなものである
《 結晶はジグソー パズルのようなものである 》
1) 結晶は、ジグソー パズルのようなものであり、高度な幾何学的秩序である
2) 結晶の形成は、表向き、熱力学第二法則と慣性の法則に違反している
3) 物質的物理的秩序の形成プロセスにての物質の動きの特徴または要件
4) 結晶の幾何学的な形状の特徴
5) 結晶の形成を可能ならしめる要因または枠組
6) 結晶の形成プロセスには無生物の知性が生じている
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1) 結晶は、ジグソー パズルのようなものであり、高度な幾何学的秩序である
結晶学によれば、各種の物質の結晶にての構成要素の原子・分子の組み合わさり方には、230種類ほどがあるそうです。そして、結晶におき、構成要素は、このうちどれかの組み合わさり方により規則的に結合し、見事な結晶を形成します。言わば、結晶は、各ピースがきちんと組み合わせられしジグソー パズルのようなものです。そしてジグソー パズルは幾何学的秩序です。
さらに、結晶の構成要素は多種多様でありて、それが大きくなるにつれ、その分子構造は複雑になります。しかし、それでも、結晶は、そういう複雑な立体構造の構成要素が整然と組み合わせられて形成されます。このため、結晶は、きわめて複雑な三次元のジグソー パズルのようなものにより近いです。
このため、結晶は、静的ではありても、高度かつ幾何学的な物理的秩序です。そして、その結晶の形成プロセスは、高度かつ動的な物理的秩序です。
2) 結晶の形成は、表向き、熱力学第二法則と慣性の法則に違反している
しかし、まず、エントゥロピー(乱雑さ・無秩序)は増大するという熱力学第二法則により、高度な物質的物理的秩序が自発的に形成されることは有りえないです。(これは、物理力が一般に集合的であり、そういう力をうける物質の動きがランダムにならざるを得ないため、と考えられます)。
このため、結晶の形成は、表向き、熱力学第二法則に違反しているよう見えますが、むしろ、なんらかの要因により、その制約を凌駕していると考えるのが、より前向きです。
さらに、一般に、結晶の構成要素の立体構造は複雑ですが、その複雑さが増すにつれ、それは互いに引っかかりやすくなります。そして、結晶がまともに形成されることは覚束なくなります。溶融している物質は、固化しても、無定形の固体の塊になる他はありません。
このため、結晶が形成されるためには、構成要素の適切な空間移動と自転--姿勢制御--が欠かせないことになります。しかし、構成要素の物質にそういう洗練されし動きをもたらすに足るきめ細かな物理力は存在しないです。
(構成要素を結合させる物理力には複数種類があるそうです。しかし、それらは、どれも、物質にランダムにはたらく集合的力です。このため、それらには、構成要素を微細かつ正確に動かすことは決してできません)。
このため、結晶の形成におき、構成要素の物質の動きは、慣性の法則にも違反していると判断されますが、これについても、それは、なんらかの要因により、その制約を凌駕していると、考えるのがより前向きです。
3) 物質的物理的秩序の形成プロセスにての物質の動きの特徴または要件
物質的物理的秩序の形成プロセスにての物質の動きには、以下の特徴または要件があります。
a) 微細さ
b) 正確さ
c) 個別性
d) 差異性
e) 柔軟性
f) 協調性
g) 統合
しかし、これらの特徴をもたらせるきめ細かな物理力は、その形成プロセス内部に存在しないです。
このゆえ、結晶が自発的に形成されることは、ふつうの物理的観点から評価するなら、有りえないです。
4) 結晶の幾何学的な形状の特徴
さらに、結晶の幾何学的な形には以下のような特徴があります
A) 結晶全体の形は広域的幾何学パタァンを形成する。
B) 結晶表面は比較的均一(滑らか)である。
C) 結晶表面の複数箇所に同じような(微細な)幾何学模様の刻まれることがある。
A)に関して。これは、たとえば、雪の結晶で顕著です。雪の結晶は、高度かつ広域的な幾何学的秩序です。しかし、三人称の客体にすぎぬ個この物質が無数の物質にわたる広域的なものを扱うことは不可能です。そういう広域的な幾何学的秩序は、広域にわたる情報収集(測定)と思考(設計)という観念的機能に基づかないかぎり、決して形成されえないです。そして観念的機能を果たしうるのは知性だけです。そういうものは他には存在しないです。これは必然です。(このことからだけでも、結晶の形成プロセスには知性が生じている、と結論できます)。
(これは余談です。単細胞生物の植物である珪藻は、表面が被殻に覆われています。そして、その被殻には、珪藻の種類ごとに、とても多様な形状があります。これは、鉱物の結晶のようなものかも知れません。なぜなら、珪藻の被殻には珪素(Si)が含まれているからです。この無機物である珪素の含まれていることが、被殻の形が結晶のようなものになることの要因かも知れません。(もちろん、珪藻には生きている知性(= 意識)が具わりています。被殻の結晶のような形の設計は、この知性によりて果たされる、と推測されます。
また、植物の葉やその他の部品などの形状も、ある意味、結晶のように見えますが、これらもそれらの意識により設計される、と推測されます)。
B)に関して。エントゥロピーは増大するという熱力学第二法則に照らすなら、結晶の表面が比較的均一であることは不自然です。むしろ表面が凸凹になるのが自然です。このゆえ、もしも結晶表面が均一になるならば、そこには、ふつうの物理力以外、より高い物理的秩序を形成しようとする方向の何らかの要因が作用していると、推測されます。つまり、結晶がふつうの物理力だけで形成されるのは難しいと推測されます。
C)に関して。結晶表面の(微細な)幾何学模様は、たとえ裸眼では識別できずとも、結晶を拡大すると識別されることがあります。そして、それは、結晶全体の幾何学的形状と等しく、高度な幾何学的秩序です。(なぜなら、無数の物質にそういう特殊な模様を形成させうる物理力は根本的に存在しないからです)。このゆえ、結晶表面の幾何学模様も、広域的な観念的機能に基づかないかぎり、決して形成されえないと、判断されます。そして、それを果たしうるのは、知性だけです。これは必然です。(このことからも、結晶の形成プロセスには知性が生じている、と結論されます)。
つまるところ、微細な模様をふくめ--微細な模様も、無数の物質により形成されるものであり、広域的秩序です--、結晶の形状が高度な幾何学的秩序であることを吟味するなら、結晶がふつうの物理力だけで形成されることは有りえないと、結論されます。結晶の広域的な幾何学的秩序は、知性の観念的機能に基づかないかぎり、決して形成されえないです。
これは、ジグソー パズルの完成には広域にわたる観念的機能の関与することが不可欠であることと、同じです。
5) 結晶の形成を可能ならしめる要因または枠組
これについては別記します。
章「10 生物 (3)」の節「生体などの内部での高度な物理的秩序はかならず知性の働き(観念的機能)にもとづき実現される (論理的説明・重要)」を参照してください。
たとえば、発話の筋肉運動は、かならず、意識に形成される思考にもとづき生じます。このことからは、思考(観念)と物質のあいだには接点があり、観念は物理的であり、そして、細胞などの生体内部で物質は観念にもとづき動きうる、と判断されます。
その枠組の解明と説明は物理学の担当になると思われますが、結晶の形成プロセスにても、同様の枠組が働いている、と予想されます。
6) 結晶の形成プロセスには無生物の知性が生じている
観念的機能は、三人称客体である物質には果たせなく、知性によりてのみ果たされます。このゆえ、結晶の形成は、それだけで、その形成プロセスに知性の生じていることを実証していると、評価されます。ただそれは無生物の知性です。そしてそれは無生物の意識とも見なせます。つまり、結晶の形成は、それだけで、その形成プロセスに無生物の知性(無生物の意識)の生じていることを、間接的で遠回しながら、実証しているのです。
意識はかならず物質システム意識ですが、結晶形成プロセスにての意識は無生物の物質システム意識です。
結晶形成プロセスにての知性(意識)の関与の解明も望まれますが、それも物理学の担当になると思われます。さらに、それは、物理学の視野を広げるとも予想されます。