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第8話『自己中な魔法少女』

 高校に上がって一ヶ月が経ったけど、特に変わった事もなく授業が終わった。まぁそういう平和なのが一番良いんだけど、今日は魔法少女バトルの日だから気が抜けないんだよね。

「あ、高宮さん。お願いがあるけど良いかな?」

 クラスの担任から封筒を手渡され、かれこれと事情を聞いて引き受ける事になった。

「それじゃあその溜まったプリントを、小野寺さんにお願いするね」

「小野寺さん、ですか……」

 ちょっと待って、成り行きで決まったんだけど“小野寺”って誰? 名字だけじゃ男子なのか女子なのかすら分かんないんだけど!?

「とりあえず靴箱をしらみつぶしで見ていくしかないか……」

 男子女子それぞれの苗字を注意深く見ていったけど、苗字が“小野寺”の人がすぐに見つかった。その靴箱には外靴も中靴も入ってないし、汚れもそんなに無い様子からして、入学してすぐ不登校になっているんだと思った。

小野寺(おのでら)満里奈(まりな)……」

 女子でこんな名前の人なんていたっけか。入学式にはいたかもしれないけど、全く思い出せない。そもそもクラスの生徒全員を把握出来てないんだから、同学年の人を一人も覚えていないのは特別何もおかしくないよね。うん、そうしとこう。

「道案内、しよっか?」

 いきなりケールが現れてナビ役を買って出た。

「まさかバトルさせようって魂胆?」

「そんな暴力的な事考えてないよ!! その子の家を知ってるから教えようってだけだってぇ~」

「何となく怪しいけど、ケールに頼るとするか……」

 そしてケールの案内で歩くこと一時間弱。やっと家に到着したが、予想以上の距離でバテ気味に。

「さぁ七海ちゃん、ここが満里奈ちゃんのお家だよ!! ちゃんとピンポンしてから入ってね?」

「分かってるってそれくらい」

 インターホンをならしてすぐに母親が出て、封筒を見せると快く玄関を通してくれた。

「満里奈は二階で寝込んでるから、あまり刺激を与えないでね……」

「刺激、ですか……」

 階段を慎重に上がってすぐの部屋に入る。すると右手にあるベットに寝込む満里奈の姿があった。部屋は片付いてると言うよりかは使ってない感じで、ベットに何も置いてないあたり風邪とかでもなさそうだ。

「あ、え、えっとぉ…… 私は高宮七海って、言うんだけど……」

 唐突で不自然な自己紹介。自分でも何言ってんだと思う。

「学校のプリント、机に置いておくからね?」

 なるべく音を立てない様に封筒を置いて、改めて満里奈の顔を覗き込む。

「……………………」

 寝込んでるからなのか、少し顔色が悪い。それにお風呂にも入ってないのか、ほんの若干におう様なにおわない様な。

「……近い」

「あっ、ごめん!! 起きてたんだね……!!」

 ゆっくり起き上がって、机に置いた封筒を雑に開封して軽く目を通していく。何十枚も入ったプリントを読み終えてすぐに始まったのは、満里奈からの警戒だった。

「んで、アタシに何か用なわけ?」

「いや、用ってほどじゃないんだけどね。ただ学校のプリントを渡しに来ただけなんだけど……」

「あっそう。じゃあ帰って」

 うぅ、すごくそっけないなぁ。なんか他人に関わりたくないって感じでそっけないなぁ。でもそうやって自分の殻に閉じこもるのはよくないと思う!!

「もしかして、イジメとか……?」

「……だとしたらどうするワケさ。まさかだけど、クラスの先生に訴えるつもりじゃあないよね? はンッ、ムダムダ。どうせ何をやっても上手くいかないって。みんなしてアタシをイジめるんだ、先生も見て見ぬふり、アンタがいる隣のクラスだって黙り込んでる。そんなヤツらに向かってアンタ一人が声をあげたとしよう。果たしてどうなる? んなモン考えなくたって簡単に予想付くだろ?」

「それはそうかも、しれないけど……」

 確かに誰も私一人の声なんか聞いてくれないかもしれない。でもたとえちっとも話を聞いてくれなかったとしても、良心には刺さるんじゃないかな。

「そうやってイジメから逃げても、何も変わらないんじゃないかな……?」

「……そうだな」

 最後まで笑顔は戻らなかったけど、私の声は聞いてくれた。きっと満里奈がイジメに遭ってなければ、もうちょっとだけ人と仲良くなれたんだろうなぁ。


 帰り道で私は満里奈の事を考えながら、ケールと魔法少女のポイントについて話し合う。定められたポイントを稼げば何でも願いが一つだけ叶うルール。それがあれば満里奈が受けてるイジメが終わるんじゃないかな。

「ねぇケール…… 好奇心で聞くんだけど、魔法少女の力でイジメは止められるの?」

「止められるよ。問題なくそのイジメをピタリとね」

「本当にイジメを止められるんなら、満里奈を魔法少女に……」

「う~ん、そういう手も悪くないと思うよ。でも魔法少女になるかどうかは本人が決める事だからね」

「あぁうん……」

 もし満里奈が魔法少女になれたんだとしたら、今の自分を変えるキッカケになると思うのかな。そもそも魔法少女を“子供っぽい”て断るかもしれないし、魔法少女になるだけで何もしないかもしれない。

「それに魔法少女になったとしても、良い事ばかりじゃないんだよ? 魔法少女になった事で不幸になった子もいるし、悪い魔法少女に目を付けられてとってもヒドイ目に遭った子もいる。それに“類は友を呼ぶ”って言葉もあるよね? その言葉が現実の通りになるんだとしたら、満里奈ちゃんが抱える負のオーラが良い人を突き放してるって事になるかも……」

 “類は友を呼ぶ”かぁ。それは間違ってないんだけど、イジメは流石に黙って見過ごせないよね。しかもクラスぐるみでだなんて人間性を疑うよ……

「明日、満里奈のクラスを調べてみようかな……」

「おぉっ、なんだか探偵っぽい!!」

 満里奈の言ってる事が本当なら、そのクラス全体が腐ってる事になるはず。クラス全員が一人をイジめてるなんて漫画みたいな惨状が頭に浮かぶけど、少しでも関わった以上は少しでも悪い状況を変えたいって思うのが、マトモな人の考え方だよね。


「……という事で昼休みに満里奈のクラスを覗きに来たものの、本人なしでどうやってイジメをするのって話だったなぁ」

「満里奈ちゃん、今日も学校に来なかったからね。それと机に落書きとかされてる感じは無いし、クラスぐるみでイジメをしてるんなら親しい人もいないだろうし……」

 パッと見ただけでもクラス全員がイジメをしてるなんて思えない。最近の漫画みたいに、露骨な程に分かりやすいイジメグループとかも見当たらない。

 ここにいる人が全員イジメをしてると思うと、あまりの異常さに吐き気を催しそうになってくる。

「うーん、今ふと思ったんだけどさ。満里奈がイジメられてるって事実はあるのかな?」

「と、言うと?」

「変に疑ってるわけじゃないんだけどさ、私は満里奈の事なんか知らないから学校での言動を知らないじゃん。例えば友達から話を聞けたり出来ないかなぁ……?」

 でもクラスぐるみでイジめてるって言ってたから、少し言い方悪いけど、あんまり友達いなさそう……

「満里奈ちゃんなら友達、いるよ?」

 そんな考えを遮る様に、ケールから思わぬ情報を貰った。満里奈には友達がいるって正直まだ信じられないけど、ホントかなぁ?

「ほら、七海ちゃんのクラスにいるでしょ。ほっぺにバンソーコーしてるピンク髪の子」

「ピンク髪ってもしかして……」

 ピンク髪なんて、一人しかいないじゃん。まさかあの子が満里奈と友達だったなんて。

 でも、でもその二人がどっかで絡んでるところを見た気も……

「とにかく会いに行って、満里奈ちゃんの事を聞き出してみようよ‼︎ 善は急げ、行動してみよう‼︎」

 ひとまず自分のクラスに戻ると、ピンク髪の子はすぐに見つかった。目立つ頭ではあるが、ケールの言ってた通り頬に絆創膏を貼ってるし、歩き寄っていくと腕にアザまである。

 そんなになっても、この子は何とか耐えて学校に通い続けていた。

「えっと…… 由紀?」

 彼女の名前は蜜谷(みつたに)由紀(ゆき)。たまに声をかけるくらいの関係だったから、入学当時の事はよく分からない。そして今の由紀はあちこちに傷を貰っていて、肉体的に少し痛々しい感じなのに。

「あっ、七海ちゃん‼︎ とっても久しぶりだね、どうしたの?」

 由紀は私に笑顔を見せて、返事してくれた。

「えっと、どう言えば良いのやら……」

 いざ由紀と話すとなると、ほんの少しだけ変な空気になる。そもそも私と由紀とは気兼ねなく何でも話せる様な関係じゃないから、いきなり満里奈の話をしたとして、答えてくれるかどうか……

「もしかして、満里奈ちゃんの事を聞きに来たの?」

「えっ、どうしてそれを……」

 まさか由紀、昨日ずっと私の後を付けてたとか?

「どうしてって…… カステラちゃんが教えてくれたからだよ?」

「カステラちゃん……」

 確かオオスズメバチの事を、由紀は“カステラちゃん”って呼んでたね。しかもそのハチと色んな会話が出来るとか。

 どこか不思議ちゃんな由紀の事だからあんまり変に思ってないし、今更カステラちゃんにストーカーされてたとしても、前々から知ってたから驚かない。

「あのね、気持ちは嬉しいんだよ…… でも七海ちゃんは無理に由紀達に関わらなくて良いんだよ?」

「えっ、どうして? 満里奈や由紀に対するイジメを教室ぐるみでしてるんでしょ? だったらこっちも人を集めて抗議しなきゃ……」

「────いらないから」

 由紀が強い口調で私を突き放す。あまりにも由紀らしくない発言に戸惑っていると、絆創膏が貼られたいつもの笑顔を見せて手を握る。

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから」

 そう言ってから由紀は私の手を放し、バイバイと手を振りながら立ち去った。由紀の言動を不思議に思っているけど、何となく気持ちは分からないでもない。

 人って何かしらの大きなトラブルを抱えてる時、誰にも言えない気持ちになる。例えば詐欺サイトとか異性トラブルとか、そういう心に深い傷を負ったら家族はおろか友達にも相談なんてしづらくなる。

 こうやって私は由紀にイジメの相談に乗ろうとしたけど、由紀は断った。多分“言ったところで変わらない”って気付いてるんだ、由紀も。だから私を頼らず突き放したんだと思う。由紀なりの優しさだと思う。

 でも満里奈はどうなるのか。今現在、満里奈はイジメに屈して不登校になってる。由紀は満里奈の事をずっと待ってる。そうやって待ってる間もクラスは由紀をイジメ続ける。満里奈がクラスからいなくなったから、代わりに由紀をイジメ続ける。

 とっても異常で、最低なクラス。

 これって一体誰がイジメの主犯なんだろう。見つけたら一発本気でブン殴りたい気分なんだけど。

「ちょっと、アナタでしょ? えみるの獲物を逃そうとしてるカスは」

 いきなり後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはちょっと背の低くて童顔寄りに見える女の子が仁王立ちでコッチを見ている。

「あのさぁ、復讐の邪魔をしないでくれる? ハッキリ言って目障りなんだけど」

 復讐。目障り。まさかこの子が満里奈や由紀をイジメてる主犯なんだろうか。

「復讐って、まさかイジメの事……?」

「ううん違う、イジめられてるのはえみるの方。それと質問なんだけどアナタもアレなんでしょ? えみると同じ魔法少女」

 なるほどね、えみるって子も魔法少女か。

「何でもポイントを、たったの625pt集めるだけで何でも願いが叶うって。こんなに美味しい話はないでしょ? それにえみる、弱い者イジメをする人は大っ嫌いなの。だからポイントを集めたら将来、弱い者イジメをする奴を片っ端から片付けるの」

 彼女えみるの目つきは、かなり危ない。本気で人を襲ってもおかしくないくらいに狂ってる。

「だから自分は何をしても良いって、なるわけない。確かにイジメは最低な行為だけど、あなたがしてる事はさっき言ってた“弱い者イジメ”と変わらないじゃない‼︎」

「うるさい黙れ‼︎ 弱い者イジメをする奴はね、誰であろうとゴミなんだ‼︎ いくら人に相談した所でどう事態が変わると? まさか、みんなイジメをしてる人に直接抗議とかしてくれるとでも? ありえないよそんなの。みんなが誰かのイジメを知ってても、みんな見て見ぬふり。先生だって見て見ぬふり。教頭も校長も、誰一人として手を差し伸べない‼︎ イジメってのはね、そうやって“無視”するのも含まれるの‼︎ ねぇ、えみるの言ってる事アナタわかる⁉︎」

「た、確かに無視はいけない事だけど……」

 でもやっぱり、イジめられたから仕返しするのは良くないよ。だってそんな事しちゃったら、いくら弁明したとしても、誰も信じなくなるんだもん。

「だからね、えみる決めたの。魔法少女の力を使ってクラスを滅茶苦茶にするんだ」

 そう言いながら変身したえみるの姿は、いかにもな魔法少女姿。だけど違和感があるとすれば、武器が巨大な鎌であるところ。どこか魔法少女らしくない武器のインパクトに少し押されていると、えみるは不敵な笑みを浮かべている。

「さぁ、それじゃあ行くよ…… テンタクルバインド」

 えみるの掛け声と同時に背中から現れたのは、おびただしい数の触手。しかも一本とかじゃなくて何本、数十本もの気持ち悪い触手がグロテスクに唸り、えみるの周りで構える。

「ほんとに魔法少女、だよね……? なんていうか魔物使いに見えるんだけど……?」

「へぇ〜、アナタにはこの子が魔物に見えるんだ…… でも残念、この子はえみるの触手なんだ。それに魔法少女といったらさ、どうしても触手は欠かせないでしょ?」

 そう言いながらえみるが触手に頬ずりすると、触手は猫みたいに甘えながらえみるに寄り添う。その様子があまりにも気持ち悪過ぎて思わず吐きそうになる。

「逃げても無駄だよ。この子はとっても強いから扉くらい簡単に壊しちゃうんだから……」

 そう言ってすぐそばの扉に触手を思いっ切りぶつけると、轟音と共に扉の破片が飛び散ってクラスの悲鳴がその先から響き渡る。

(な、なんてヒドい……)

 教室から逃げ惑う人々を捕まえては力を込めて締め上げ、その辺へ適当に投げ飛ばす。そして投げ飛ばされた人々は無造作に投げ飛ばされたままピクリとも動かなくなる。

「…………ッ‼︎」

 ヒドい。ヒド過ぎる。周りからイジメを受けた人って、こんなにも心が歪んじゃうものなの?

「くっ……‼︎」

「なぁに? 皆えみるをイジめてたんだから、仕返しされても文句なんて一つも言えないんじゃないかなぁ? よく親から聞かされてた“自分が嫌な事は人にするな”だっけ。言っても分かんない人達は痛い目見ないと分かんないからねぇ……」

 触手の騒動で周りの人達が逃げてくれたおかげで、今は何とか怒らずにいられる。でもえみるのやってる事は、いくらポイントの為とはいえ度が過ぎてるのは事実。

 だったらここは、私の蹂躙の炎で一気に片を付けるか……

「あら、いったい何をしに来たのかな……?」

 えみるが突然、私の後ろに視線を向けながら誰かと話し出した。気になって振り向くと、そこに満里奈がオドオドしながら立っていた。パッと見た感じヒーロー気取りでやって来た訳でもなく、ただこの状況を知らずに勇気を出して登校しただけの様に見えなくもない。

「え、何コレ…… どうなってんの……?」

 学校にいる事自体が不自然な触手や、魔法少女衣装を纏ったえみるの姿。そしてその周りで全く動かない十数人ものクラスメイト。

「弱い者イジメを止めただけだよ、満里奈ちゃん。それにこれから魔法少女の力でこのクラスから根絶やしにするから、えみると同じ立場にいる満里奈ちゃんも手伝ってくれるよね?」

「アタシが、手伝う…………」

 心が弱ってる人を利用するなんて、このえみるって子はあまりにも人としてどうかしている。きっと満里奈に対してただ交渉を持ち掛けただけじゃなく、遠回しな脅迫をしているに違いない。

「おっと、もちろん断っても良いんだよ? えみるはイジめられてる人の気持ちが分かるからねぇ〜」

 えみるは嘘を吐いてない。事実を言っているまでだ。

「満里奈、嫌なら嫌って言わなきゃ。どうせえみるは…………」

「──決まってるさ。お前なんかとは絶対手を組まないね」

 しかし満里奈は強かった。何処かやせ我慢にも似た顔つきでえみるの誘いをハッキリ断ったから。

「あら、残念」

 それは一瞬の出来事だった。満里奈をえみるの触手が掴む瞬間を脳が理解してる間に、とてつもない轟音と共に満里奈を天井に打ち付ける。もちろんクロマキーとかの合成なんか一切ない、本物の瞬間だった。

「満里奈……‼︎」

 意識が無いのを確認してその辺に投げ捨てられた満里奈を前に、私は思わず魔法少女に変身して炎を繰り出す。

「ずいぶんと甘いねぇ〜。そんな炎でえみるを倒せるとでも?」

 えみるは悪い笑い声をあげながら、触手を盾に余裕ぶっている。

「本当に人を傷付けるなんて…… 絶対に許さない‼︎」

「許さなくて結構‼︎ その程度の恨み、えみるの苦しみなんかと比べたら……」

 その時、えみるが体勢を大きく崩して前に倒れる。あまりにも突然過ぎる出来事に反応出来ずそのまま顔から倒れては悶える。

「テメェ…… さっきはよくもやってくれたなぁ……」

 えみるの足元から声がすると思いきや、さっき触手でケガしたはずの満里奈が両足を掴んでホールドして動けなくしていた。あれだけの事をされたはずなのに制服がボロボロになっただけで体はとても綺麗だし、まるで無傷の様にも見える。

「な、なんで!? 頭からやったはずなのにどうして……!?」

「簡単な事さ…… アタシが魔法少女だからだッ!!」

 暴れるえみるを必死に抑える満里奈が、魔法少女……?

 いつ? どこで?

「ま、まさかケール…… 私が家に来た時……」

「誤解だよ七海ちゃん。満里奈ちゃんはもっと前から魔法少女だったんだよ。それと身体に傷が無いのもきっと、魔法少女としての力なんじゃないかな」

 じゃあつまり満里奈は、傷付かない魔法を持ってるって事に?

「オイッ、早くしろ‼︎」

「ふぇぁい⁉︎」

 満里奈から不意に呼ばれて、変な声で返事してしまった。

「何やってるんだ‼︎ 早くトドメを刺せって‼︎」

「あっ、う、うん‼︎ 蹂躙の炎‼︎」

 満里奈に急かされながらも何とか魔法でえみるを退治し、見事勝利を収めた。だけど前回の戦闘で大きくポイントを減らしたから205ptになってしまう。

「へぇ〜、ソレで相手を燃やすワケ?」

「燃やさないよ⁉︎ 私達の魔法は、人を傷付けない魔法だから‼︎」

「へー。へー」

 なんか満里奈がジト目でコッチを見てくるんだけど、何か変だったかなぁ今の発言って。

「……となると、契約した相手によってアタシ達がどういう魔法少女になるかも変わってく感じだな。アタシはソコにいるちっこいヤツじゃない方と契約して魔法少女になったからな」

「ボク知ってる‼︎ 満里奈ちゃんは、魔法少女になった所為で大怪我したりしてるもんね‼︎」

「えっ、大怪我ってどの程度で……?」

「優しく言えば、頭をぶつけるくらいの大怪我ってところかな?」

「優しくし過ぎて、なんかイメージしづらくなった……」

「まぁとにかく、アタシみたいな魔法少女にはなるなよ。コッチはソッチみたいに手加減なんかしてくれないから」

 なんかとっても意味深な発言だね。まさかアニメで有名なマミっちゃう系のヤバイ世界に満里奈はいるの?

「んまぁ何だ、とりあえず……」

 私と満里奈はホッと一息吐いてすぐ、ドンヨリしながら辺りを見回して冷や汗をかく。

「「これ、どうしよう…………」」

 私達の所為で盛大に壊した教室の扉、壁、天井。これも魔法の力で綺麗サッパリ治せたら、何も苦労なんかしなかったのになぁ…………

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