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第4話『魔法少女の神楽』

「うへへ〜、今年は二万円もお年玉ゲットだぜ〜。いつもより一万も多いからラッキーだなぁ〜」

 家に親戚が来る度に、わざわざ顔を出してはさりげなくお年玉をせがみ、それを財布にしまう。これが私の正月。

「これだけあれば色々買えそうだよね‼︎ 古くなってきた上靴もそろそろ買い替えたいし、丁度いいから買いにでも行って来る‼︎」

 お母さんには一言きちんと言ってから、ケールと一緒に八王子の街へと出向いた。今日も変わらない都会っぷりだけど正月セールという普段は見られないバーゲン達に目を通しながら、靴屋さんに向かった。

「えぇ〜っと? 二二センチ、二二センチ……」

 勝った靴をレジ袋に入れて帰る道中は寄り道せず、そのまま家に帰る。まだ冬休みの宿題が残ってるからちゃんと済ませないとね‼︎

「ねぇケール、午後七時になってから魔法少女を捜してたら効率悪いと思うんだよ。だから今回はもっと早めに外出してみようと思うけど、どうかな?」

「それは構わないよ。こうしてる間も魔法少女バトルに関するルールの改善をしてるからね」

「へぇ、たとえばどんなの?」

「そうだね。魔法少女に変身したら[隠蔽魔法]がかかるようになりました‼︎ これで両親の(しがらみ)がある魔法少女も安心して戦えるよ。やったね‼︎」

 確かに門限とかある魔法少女にとって、このルールは有り難いよね。私も夜八時くらいが門限だから、このルールによる恩恵は少なからずあるね。

「だから敵魔法少女に誘拐されても大丈夫だよ、七海ちゃん‼︎」

「誘拐される前提で言わないでよ‼︎」

 ケールの冗談に付き合っていたら、スマホにメールが届く。ケールの頭を人差し指でグリグリしながら画面を付けると、朝日からのとても平和な自慢話だった。

《あけましておめでとう七海‼︎ 見てみてコレ、さっき神社でおみくじ引いたら吉引いたんだよ‼︎》

 自撮りでおみくじとのツーショット写真が添えられていて、満面の笑顔でいる朝日。

《あとさ、今夜ってあの日でしょ? 今度こそ一緒にバトルしに行こうよ‼︎ 場所はとりあえず電話ボックスにしようよ、霊園のすぐ近くにあるアレに集合って事で‼︎》

「うわー、よりによって八王子霊園で集合すんのかぁ…… 気が進まないなぁ……」

「ねぇ、そんなにソコって危ない所なの? お墓参りする場所なんでしょ?」

「そうだけど、夜にあそこ行くと悪霊が出るって噂だからあんまり行きたくないんだよ。でもあそこには私の祖父が眠ってるから、毎年の命日には行かなきゃいけないんだけどさ……」

「悪霊とかいるって信じてるんだね。まぁボクもその一人なんだけど……」

「ほら、よく悪霊って人を襲ってるでしょ? 最悪は墓場でご臨終になっちゃうから、たとえ肝試し以外の目的でも行きたくないんだよ……」

「じゃあ、朝日に頼んで場所を変えてもらえば良いじゃん」

「ん〜……」

 一応、早めに聞いてみる。

《あのさ、悪いけど朝日が行った八王子神社に変えてくれるかな? 夜に墓場は危ないと思うんだよ》

 しばらくして、朝日から返事が来る。

《あっ、ゴメン…… じゃあ夜七時前に八王子神社の鳥居で集合って事で‼︎》

 まぁこれで何とかなるかな。それに神社なら幽霊も近寄って来れないでしょ。多分。


 午後七時前に私と朝日が八王子神社の鳥居で待ち合わせして、一緒に魔法少女に変身する。そしてお互いにコンパクトでポイントと持ってる魔法を確認する。

「あっ、七海ちゃん新しい魔法手に入れたんだね‼︎ しかも高火力魔法じゃん、羨まし〜」

「朝日も高火力魔法手に入れたんだね。なんかカタカナがすごく似合うよね、朝日って」

 スピード向上や耐衝撃などのスキルの影にこっそりと、高火力魔法[シエル・アーク]の記載があった。技名だけじゃどんなのか想像付かないけど、持ち主が朝日だからきっと脚技だよね。もう朝日は将来アクションスターになれるって。

「さてと、それじゃあ早速魔法少女探しとしますか‼︎」

 その時だった。神社の方から笛の音がしてきたのは。

「え、何? どういう状況なの⁉︎」

「七海ちゃん、朝日ちゃん‼︎ 神社の方から魔法少女の気配がするよ、気を付けて‼︎」

 私達の背後からケールが慌てながら飛んで来た。なんか最近私が向かう場所に魔法少女がいない? これって気のせいかな?

「七海ちゃん、神社にいるって事はさ…… 多分相手は巫女だと思うんだよ」

「そうっぽいね。でも私達はどんな魔法少女が相手でも負けないけどね‼︎ 行こう朝日っ、堂々と真正面からね‼︎」

「よしきたっ‼︎」

 鳥居をくぐって音のする方向へ向かう。すると目の前にいたのは魔法少女というよりかは巫女の格好をした少女が舞を踊っていた。すぐそばにはお面を被った人が大太鼓を叩いて魔法少女がそのリズムに合わせて踊っている感じかな。

「あの魔法少女は大野日菜。巫女の力を駆使して戦う、少し厄介な相手だよ」

「厄介なの? あんまりガチめな戦闘とかしないイメージなんだけど」

「そんな事ないよ。最近は巫女でも戦闘能力を持つキャラが増えてるんだよ? もちろんそこに魔法少女の力が上乗せされたら、相手にしたくないでしょ?」

 ケールと話していると、とても大きな大太鼓の音に合わせて巫女が舞を止めてコッチを見ていた。

「え〜と、もう作戦会議は終わったかな? コッチはもう準備が終わったんだけど……」

 何だかかなり控えめなトーンでオドオドしながら話しかけてきた。それが素なのかどうかは分からないけど、一応警戒はしておこっかな。

「朝日、行ける?」

「オッケー、行けるよ」

 相手の魔法少女を見つめ、私達も戦闘態勢に入る。

「うん、じゃあ始めてみようかな」

 日菜は軽く両頬を叩き、懐に手を入れて大量の御札を取り出した。そしてそれを私達目掛けて投げて……

「って、早⁉︎ 何あの速度、銃弾みたいなんだけど⁉︎」

「でも直線しか飛ばないっぽいし、案外慣れれば見極め出来たりして…… ね‼︎」

 朝日が前線に出て数々の御札を見極めて掻い潜り、そして得意の蹴りで日菜を軽く吹き飛ばしていった。

「ふぅ〜、まずは一発……」

 ケールからはダメージを教えてくれないから、これで油断しない。日菜はのそのそと起き上がって朝日と目を合わせる。

「あはは、結構痛いね〜君の蹴りは。身体がバラバラになるかと思ったよ……」

「この程度でバラバラになったら負けだよ? それにあたしは一発KO、そんなに好きじゃないんだよね‼︎」

 話の途中で豪快な回し蹴りをかましたけど、それは流石に避けられてしまった。

「ちょっと怖いんだけど、君の蹴り‼︎ 何でそんなに本気出すの⁉︎」

「それはあたしが魔法少女だから、かな‼︎」

 とうとう私を置き去りにして、朝日と日菜の一騎打ちが始まってしまった。これ私の影が薄いとかないよね?

「じゃあ私ももっと御札を投げなきゃ、負けちゃいそうだね‼︎ 全部避けられるかな⁉︎」

 そう言いながらとてつもない数の御札を取り出して、それを時間差でバンバン投げていく。それを朝日はノンストップで目にも留まらない離れ業で回避していく。

「ちょっと、あなた本当に人間なの? ストリートダンサーみたいな動きしてたんだけど⁉︎」

「人間だけどストリートダンサーじゃないよ‼︎ 魔法少女だって、さっき言ったでしょ‼︎」

 日菜が御札をいくら投げても、朝日にはちっとも当たらない。日菜のエイムが悪いのか朝日の動体視力が良いのか、はたまた両方なのか。どれが正解なのか全く分からない領域の戦闘を傍観してる私は今、なかなかあの二人の間に割り込めないまま立ち尽くしている。

「やばい、完全に入るタイミング逃しちゃったかも」

「もうこればっかりは素人が入る隙がないよ。この場合は割り込まない方が得策かもね」

「なんかフォローありがとう、ケール。でも流石に一人で戦わせるのは私的には嫌だな…… 何か決定打を与える方法とか無いかなぁ?」

 少しずつ暗くなっていく神社の境内で、二人の魔法少女が暴れている。そんな二人を私はただ眺めているだけ。日菜は朝日の蹴りを全部避けてる訳じゃないけど、ギリギリ避けてる所為で致命傷を受けていない。朝日はずっと蹴り続けてきた所為で段々と追いつ付けなくなっている。

(どうしたら良いの……? 私に出来る事って一体……?)

 だいぶ暗くなって二人の姿が見づらくなってきた。まだ戦いは続いてるし割り込めない。未だに置いてけぼりな状況に悩んでいると、境内に生えてる木から人がスルスル降りてきてバテ気味な朝日に近寄る人影が。

(あっ、アレって仲間⁉︎)

 よく見るとその正体は日菜で、両手を広げて拘束しようと迫っていた。

(ヤバイッ、朝日が捕まっちゃう…… 狙い澄ましてファイヤーを撃つか⁉︎ いや、外すと一人ずつ相手するハメになるからやめとこう…… なら蹂躙の炎? でもアレって撃つまでが隙だらけだしなぁ、もし外したらMP0になるから大博打になる。ならアフターファイヤーだ‼︎)

 朝日の背後に立つ日菜に向けて飛び立つ準備。そして足腰を沈めて、飛び立つ‼︎

「アフター…… ファイヤー‼︎」

 唱えた瞬間にとてつもない爆炎を放ち、その勢いに負けて吹き飛びそうになるが堪えて、そのまま怪しい動きをする日菜に思いっ切り激突した。

「朝日ッ、今だよ‼︎」

 激突した瞬間に紙の様な感触を受けたまま地面に直撃するけど、そんなのお構いなし。土汚れなんか気にせず朝日に合図を送る。

「いよーっし、そんじゃあたしのとっておきな必殺技…… いっちょやるか‼︎」

 本気で蹴る姿勢をとると右足から眩い虹色の光が溢れ、朝日が日菜へ目掛けてその輝く脚でヒーローの如く右脚を空高く振り上げる‼︎

「これがあたしの、最強の脚‼︎ シエル・アーク‼︎‼︎」

 右脚が動いた場所に虹色の残光が煌めき、そして蹴りつけた場所からも虹色の光が物凄い速さで溢れ出てくる。蹴られた日菜は朝日に蹴られた勢いそのまま吹き飛び、後ろにあった大木に背中から激突して気絶した。

『戦闘終了、勝利‼︎ 持ち点移動+35pt 現在持ち点225pt (内訳○勝利:25pt 勝利アシスト:10pt)』

 ありゃ、今回は処女ボーナスなしかぁ。まぁそこは気にせずいこうかな。あとは朝日が心配だから急がなきゃ。

「朝日、大丈夫?」

「あはは…… 結構脚がガクガクだよ……」

「もう、おんぶしてあげるから遠慮なく乗って良いよ」

「そうか、ならお言葉に甘えて……‼︎」

「うぉっ⁉︎ いきなり飛び乗らないでよ、万が一腰やったらどうすんのさ⁉︎」

「ごめんごめんっ、おんぶされるのが久しぶり過ぎて興奮しちゃってさぁ〜‼︎」

 魔法少女バトルを制した私達は、こうして朝日と一緒に家へ帰る事にした。これでまた一つ朝日との思い出が増えたね‼︎



「さ〜てと、七海ちゃんが熟睡した頃だしそろそろ新しい魔法少女探しでも再開しよ〜っと」

 ボクは今夜、二週間ぶりに魔法少女を増やす為に窓から飛び出して夜景の中を飛ぶ。八王子は何故か魔法少女が多そうな気がしたから拠点にしてみたけど、本当にここって魔法少女が多いよ。

 どうしてかは全く知らないけど、きっと人が多いからだよね。もしかして他の皆もいたりするのかな?

「さ〜てと、良い感じの女の子はいないかな〜……」

 少し高度を落として団地の外を見渡していると、夜遅くに一人でいる女の子発見‼︎ 早速話しかけてみよう‼︎

「お姉ちゃ〜ん、こんな夜遅くに何してるのかな?」

「……………………」

 うっ、ボクの事を無視してるや。ブランコを限界まで高く漕いで遊んでて、あんまり近付けないかな。

「あのさ、ボクの事見えてるよね? ならボクと契約して、魔法少女になってみないかな?」

「契約ならしてるわ。とっくの昔にね」

 へぇ〜、ならボクより前に来てる先輩と契約したって事だね。それにしてもこの子、見た感じ中学生なのに無駄口叩かないのって性格なのかな? それとも場数を踏んだ歴戦の魔法少女ならではの振る舞いなのかな?

 ……ボクには分からないかな。

「お姉ちゃん、名前は? ボクはケールだよ‼︎」

「あなたに教える名前なんてないわ。教える意味が無いから」

 あっ、冷たいな。ひどいな。

「つまんない、じゃあね」

 悪いけど冷たい人は苦手なの。冷酷な人も苦手。結局あの人は誰と契約したかまで今も興味ないし、さっさと次に行こうかな‼︎


 さぁ〜て、良い感じの子はいないかなぁ〜?

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