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第2話

 静けさを増す森。サラ率いるエプリフト民兵部隊は迫り来るカンドルド兵部隊と戦う準備をしていた。


「こっちは9人。向こうは50人……。創造主。頼む……」剣を持ったクラーが静かに言った。


「書いたわ。創造主に。起き上がったみたい」サラが言った。


 その時、夜空が急に険しくなった。雷の音が各所から聞こえた。そして、大きな轟音と共に、光った。


 遠くから、男の叫び声が聞こえる。そして、戻るぞと言う叫び声も。


「ローサ。見てきて」

 ローサは駆け足で光ったところまで行った。そして、辺りは木々が焦げていて、多くのカンドルドの兵士が体から煙を出して死んでいた。


「落雷……?」


 サラたちのところに戻り、状況を伝えた。サラは天を仰ぎ「創造主に感謝ね」と言った。



「ピピピピー、ピピピピー」

 起きた。スマホのアラームが鳴った。

「はぁ!?午前3時!?」

 

 誤作動にも程がある。スマホが壊れたか?


 また寝ようと試みるが、サイドテーブルに置かれたメモ書きが目に入った。

 『創造主よ 緊急事態です。今我々は、森の中で50人ほどの敵に襲われようとしています。サラ』


 あー、あの妄想か。寝ぼけて書いたのかな。しかし達筆だ。まあもう二度寝出来なさそうだし、書いてみるか。

 文章が書いてあるメモの裏に『何をして欲しい?』と書いた。その後、ノートを取り出した。


 ノートの左端に『私、エプリフト民兵隊がいる森。ファサ地帯侵攻中のカンドルド兵部隊殲滅または、撤収を望みます』と書いてある。


 寝ぼけながら、汚い字で『自然現象』えー何がいいかな。

『自然現象。落雷によりカンドルド兵部隊に直撃。カンドルド兵部隊』なんて森だったかな。

『ファサ地帯の森から撤退。これでいいのか?』


 ノートを閉じる。そして開くと再び達筆でこう書いてあった。


『感謝しかありません。我々にもしてほしい事があれば書いて頂きたいです』

 ちょっとまて……。してほしい事?ていうことは、向こうもこっちを操作できる事か……ーー



ーーサラたち一行はカンドルド兵が追いかけてくるのを恐れて、移動をしていた。


 木々を抜け、川にかかる今にも壊れそうな吊り橋を渡った。クラーは最後に渡ると言って譲らなかった。


「創造主さんよ。もっとマシな橋作ってくれ!」


「これは彼の考えじゃないと思う。なんでも彼のせいにしたらダメよ」


 全員が渡りきると、1番の力持ちであるマットにサラは、武器の斧で吊り橋を壊すよう命じた。


「これで一時的に安全なはず」



 しばらく、一行は歩くと無人の小屋を見つけた。

 

 小屋に入り、サラと老人ガノは机に書物を広げた。


「ガノさん、創造主はなんとおっしゃってます?」


「うーん、サラお嬢様。これは言えません……。下品極まりないことを彼は望んでます」


「ちょっと見せて。えーと……。『女に翌日声かけられて、宿に……行く……そして、やる』ちょっと、お馬鹿のようね……」


「俺たちは死ぬ気で戦っているのに、創造主は……、クソっ」

 横で聞いていたクラーは言った。


「けど、雷の件は感謝しないと」


「サラさん、俺ならこう書きますよ。真面目に考えろ。と」





 起きた。午前11時半だった。


 サイドテーブルのメモ書きを見た。『翌日、女に逆ナンされ、ホテルに直行。そんでヤル』

 我ながら笑ってしまった。

 

 まあないだろうなと思いながらも、街に出ることにした。


 ギャルが目に留まる。今にも話かけてきそうなギャルはいない。


 街角で白髪の婆さんがキョロキョロしていた。目があった。

「お兄さん、ごめんなさいね。ここの旅館はどこかしら」話しかけられた。


 俺の家の近所だった。


「あー、えーっと」急いでるのでと言いかけたが、ここに10分ほど突っ立てるのでバレるだろう。


「近くですよ」


「案内してくれるかしら」


「はぁ、はい」


 声をかけて来た婆さんを案内している途中嫌な予感がした。まさか、この婆さんと……。


 旅館に着いた。そそくさとその場を立ち去ろうとしたが、婆さんに呼び止められた。


「ありがとうね。あなたは独身かしら」


「はい?」


「あら、失礼なこと聞いてごめんなさいね。ちょっとこの旅館の玄関だけでも寄ってみない?」


「いえいえいえ、急いでるので」

 心の中でこう叫んだ、くそフィクション連中め。


 背後から若い女性の声が聞こえた。


「あらー。おばあちゃん。よく場所わかったね」


「うんうん、この親切なお兄さんが案内してくれたのよ」


 振り向くと、とてつもない美人が和服を着て、俺に向かって「ありがとうございます」と言って、お辞儀した。


「孫なのよ。私に似て美人でしょ」


「おばあちゃん!」


 二人は笑っていた。


「どちらにお住まいなんですか?」


「この近くです」

 俺はとびっきりのキメ顔をして答えた。


「そうなんですね。近場では宿泊はなさそうですが、料理だけでも召し上がることは可能ですから。ぜひ一度」


「はい。では」


 その後、名前を聞かれ、名乗った。

 

 いい1日だ。健全で、素晴らしい。

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