今現在
そして、幾年の時が過ぎて言った。
俺は、八南海高校の生徒になっていた。
俺はあの時と変わったかって?
「おおい、洋一ー」
「おう、どうした?」おお、相変わらず親しみやすい俺のクラスメイトだぜ。するとそのクラスメイトはがばっと俺に抱きついてきた。
おいおい、いくら俺のことを気に入っているからっていきなり抱きしめられちゃあ
「必殺、俺・ホールド!!」
「いてててててててててててててて!!!!ギブギブギブギブ!!!!!」そのクラスメイトは俺に技をかけてきた。
「お、俺にもやらせてくれよ!!」「おれもおれも!!」あれよと言う間に俺はクラスの人気者に、人気者に、なるわけねぇわ!! なんだこいつら!! 俺を技かけの実験台にしてやがる!! 今時の中学生はこんなコミュニケーションを取っているのか!? いや俺も今時の中学生だけど!? ある程度の時間が過ぎるとやがてクラスメイトたちは俺から離れて「おう洋一、ありがとな、また頼むわ」と言って去っていく、その時に「いや、助かるわあいつ、何にもしてこねえもん」「だよなー、これ以上かけやすい奴いないわ」「あいつ、何やっても怒らねんじゃね?」と言う声が聞こえているが気のせい気のせい、俺はうまくやれている、大丈夫、いつも通りへらへら笑っていればいいんだから。俺は大丈夫、うまくやれてる、だから、変じゃない、きもくない。
そんな時、「おい、あいつが帰って来たらしいぜ」「まじで!?」と、何やら噂が広まっている、『あいつ』って誰のことだ? 俺はほのかな疑問を持ち始めたが、やがて俺には関係のないことだと割り切った。
だれが転校してこようと関係がない、俺のこの状況を変えることは出来ないのだから。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った、俺は急いで朝の朝礼の為自分の教室、ニ年C組に入って行った。
いつものように、俺は窓際の席に着く。小学校の時はやれ、机をくっつけろだの、机を話すなだのそんな不毛なことが起こっていたが中学校からはは違う、男女の机と机のスペースが開いている。これは、何より都合が良かった。更に、俺の座っている席は後ろの一番窓際の席で右隣には誰も座っていない。安息の日々を味わえる。今日は夏が終わり、秋の真っただ中、風が少し肌寒いものになって来たな。そんな風にくつろいでいた時だ。
「今日は、転校生を紹介したいと思います」と先生が適当な台詞で転校生を紹介しようとしていた。ふーん、転校生ねぇ、ま、俺の人生には関係が無い、と思った時だ。
「うーっす」とその転校生は軽薄、なのに厚みのある声で教室に入って来た。
その転校生は、、髪を上げてモヒカンのような髪型をしていた。
身長は百八十は超しているように見える。
「はい、では自己紹介を」と先生が言うと、その男は乱暴な字で自分の文字を書き始めた。
「どうも~、俺の名前は『小山 涼盛』で~す、名前は小さいのに、体は大きい、涼しくなくて暑苦しい、わお!!」と自己紹介をした。
はい、アウトー!!!! この自己紹介でみんなドン引きだからー!! お前、もう人生おわったー!!! 俺だったら死んでる。
すると、小山涼盛は、「だめかー、絶対うけると思ったんだけどな~、何がダメなんやろ?」と関西弁を喋り出した。
うわー、関西弁とか、喋り出したよー、ここ東北、仙台、関西と違うから、それ分かってないとクラスでも周りの奴でも、ドン引きされるから。
すると、「あ!!」と涼盛はなんか俺のほうを見てくる。
え? 何? 何? なんでこっち見てるの? と思っていると、「お前、洋一か!? 久しぶりやな、ほんまに、どうだ? 元気にしとったか!?」と声を掛けてきた。
その時、俺は何を考えたのか分からなかった、だが自然と声は出てきた。
「いや、お前は俺のおかんか!?」
あ、言ってしまった。教室はシーンとなる。すると、周りから小さな妖精が話をするようにクスクスクスと笑っている。俺は茫然と立ち尽くしていた。
一方、涼盛は、「おもろいやん」と言いながらこちらを指さしている。
そのまま一時間目が終わると、早速、転校してきた涼盛にみんな話しかけていた。
「どこから来たの?」
「仙台に元はいたの?」
「何で関西弁なの?」とかどうでも良い質問をしており、質問された涼盛はつまらなさそうに返事をしていた。俺はその間ずっと机に突っ伏していた。涼盛から声をかけられないように。
ずっと、どうか話しかけてきませんように、と願っていたがその願いは突然、打ち消される。
「おお、洋一、久しぶりやな」そいつは突然俺の目の前で話しかけてきた。
俺は、もちろん無視して突っ伏している。
「なんや、寝てんのか?」とここで、うん、ねてるよ、なんていうほど俺はバカではない。
だが、こいつは予想外の行動をしてくる。寝ている俺の背中を一定のリズムで叩き始めた。
もちろん、心の中で、は!? と思ったが、まだだ、まだ耐えられると思っていた。
すると、そいつは「デッデッデッデデデッデッデッデデデーデデ、デッデデーデデ、デッデデーデデー!」俺は「いやなんでドラゴンボールなんだよ」と起きてツッコンでしまった。
一見、俺が何の考えも無しにツッコんでしまったと思ったか? 違う、あのまま叩かれ続けていたら、俺に変な注目がクラス中、みんなにされる、それを見越しておれはツッコんだのだ。
だが、どちらにしろそれは良くなかった。クラス中でまたもクスクスと囁き笑いが聞こえた。
涼盛は「おお良いツッコミやん、やっぱ才能あるわ、洋一は」と喜んでいた。
俺は、その場から立ち上がって廊下にでる。
「おおい、まってーな」と涼盛は俺の後について行き教室から出る。
廊下に出ると、「おおい、洋一、洋一? 洋一」と何回も声を掛けてくる。ある程度、人がいなくなったところで俺は「しつこい、お前、俺になんなんだ、さっきから」と悪態ついた。
しかし、そんな態度に臆することなく涼盛は「ほー、さっきからねー」と飄々とした態度を取っている。
「とにかく、俺に関わらないでくれ、お前に俺の平穏を崩されたくないんだよ」と俺が言うと涼盛はきょとんとした顔になり言った「平穏って、あのプロレス掛けられているのが平穏と言うのか?」と質問をした。
見られてたのか、あの場面を「あれ、お前、どう考えても楽しそうやなかったやん」
「うるさい」
「あいつら、洋一を技かけ機かなんかだと勘違いしてるで」
「黙れ」
「お前、本当に幸せ何か?」
「口を閉じろ!!」俺は思わず声を強めて叫んでしまった。一体なにをやっているんだ俺は、相手を言いくるめるつもりが、出てきたのはただの暴言、だが、これであいつも俺に近づかなくなるだろう、と俺が思っているとそいつは「うーん、やっぱええな」と謎の反応をした。
「は?」思わず呆けた声がでる。
「いや、やっぱツッコミの才能あるで、さっきも『うるさい』次は『黙れ』そして、『口を閉じろ』めっちゃ自分ボキャブラリーあるやん、うん、やっぱ向いてるで」
ああだめだ、こいつとは会話にすらならない、いつまでたっても平行線だ。なんで漫才の話に全部結び付けようとするんだよ。
「よし、決めたわ」涼盛は何か決意したように拳と拳を合わせた。
「え? 何を?」
「決まっとるやろ、漫才や、洋一、俺と組め」涼盛はそう言って手を差し伸べてきた。