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俺たちの慈悲無き漫才ライフ  作者: 宇豪野 衆
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機転が利かせることができるのは本当に良い

 谷原 譲二がこちらに向かっている!? まずい、速くここから逃げ出さないと、とおれがキョロキョロしていると「何を慌てている? 宮城二年」と会長が落ち着いて俺に声を掛けた。

「何って今すぐ逃げないと」

「まあ慌てるな、逃げる必要はどこにもない」と言って会長は出口階段に向かってあるきだした。

 そうか、出口階段から出れば見つからずに済む、と思い会長の後を追い、出口階段を開けると、会長は、盗聴器を壁に引っ付けて、副会長と一緒にそのまましゃがんだ。

「え?」と俺が驚いていると、「宮城二年、お前もこっちに来るんだ」と手招きをする。

「え? 大丈夫ですか?」

「大丈夫だ、見つかることは無い」と会長は易々とそう言う。

 たしかにそうだと思い俺は会長の言葉に従いそのまましゃがんだ。そのまま俺たちは待っていると、ピンポーンとインターホンを鳴らす音がした。しばらくすると「春香! いるんだろ!! 春香!! この野郎、整形までして、偽名まで使いやがって、だましやがったな!? おめえのストレス解消で衝動買いする勢いで大量の借金背負い込みやがって!!」と聞き覚えのある男の声がしたかと思うと、ガチャっとドアが開いて「そんな大きな声でしゃべらないでよ!!」と自分が一番大きな声だしてるだろ、とツッコみたくなるくらいの怒鳴り声を出した春香さんが出てきた。

「やっと、あけやがったか」

「とにかく、中に入って」と会話が終わるとそのまま譲二さんを入れてドアを閉める音がした。

 俺たちは暫くして、静止していたが、不意に、会長と副会長が動き始めた。

 え? と思っていると、何故か副会長が会長を肩車して(ふつうは逆じゃね!?)上に盗聴器を付けた。

「これで、中の会話が聞ける」そう言って会長は副会長から降りる、副会長は涼しい顔してたけど大丈夫なの? と思っていると「大体、お前が全ての原因だろうが!」と中の会話が聞こえてきた。

「怒鳴らないでよ!!!!! 近所迷惑じゃない!!」

「その言葉そっくりそのまま返してやる! 今だけじゃない、昔からそうだった!!」

「な、なによ、何の話してるのよ」

「お前はいらいらするとよく工事に当たっていた、その度によく近所から、あそこの部屋は虐待されているなんて噂されたもんだ!!」

「あなただって、子どもが泣いている時、手を差し伸べた時なんてあった!? 仕事でうまくいかなくてそれで酒ばっかり飲んでいたじゃない!! 子どもの世話で大変なあたしのことなんて見向きもしないで!」

「話をすり替えるな!! 俺の話はどうでも良い、お前は近所づきあいもうまくいっていなかった、それをお前は工事のせいにして挙句の果てには俺の貯金を使い果たして借金まで作りやがった!! お前が浮気して生んだとかどうでも良い!! だが、お前あの子に、工事に悪いと思わないのか!?」

「さっきから、工事ってだれよ!?」少なくとも俺はその言葉に驚いた。まさか、自分の息子の名前を忘れるなんているのか? そんな親、と思うほどだ。

「自分の子どもの名前も忘れたのか!? と言うかそんな話をしている場合じゃない!! 逃げろ!!」

「は!? 何でよ」

「お前の居場所が豪坂ごうざか事務所の奴らにばれたんだよ!!」

 豪坂事務所!? と借金取りの名前を聞いた時に「生徒会長さん、大変です!!」と涼盛のデカい声が鼓膜を揺らした。

「なんだ、どうした? 小山二年」と会長が静かな声で冷静に聞く、

「なんか、黒い服着た奴らがいっぱい、いるなぁと思って見てたら、奴ら、工事のかあちゃんの写真持っていました!! 多分、借金とりの奴らです!!」

「なんだって!?」

「会長!!」今度はいつになく真剣な声の白江さんが連絡する。

「こっちはもうマンションを囲んでいます!!」

「分かった、こっちで対処したいと思う」と会長はそう言って盗聴器を切った。

「さて、どうしようか」と会長は考えていた。

「そうですね、相手は多くの人数がいます、これを全て捌くなど、貞子なら軽くできますが、相手は暴力団の人たちです、あちらの恨みを買っていちいち相手にするのも厄介でしょう」

 え? 貞子さんってそんなに強いの!? と俺は驚いたが、同時にあるものに目を向けた。「会長、副会長」呼ばれた二人は俺の方を向く、何か策があるのか、と言うように。

「ありますよ、ここから抜け出せる最大の方法が」



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