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勇者de焼き肉パーティ  作者: 吾妻ゆきと
19/27

第18話 牙狼国

ご覧いただきありがとうございます。

作品中に残酷な描写が出てきます。苦手な方はご遠慮ください。

*********************

気づいたときに、誤字脱字の修正、言い回しの修正、言葉足らずな部分の加筆などを行っています。

基本的なストーリーの変更はありません。

第18話 牙狼国


フドウはグウィンの命により牙狼国の総統シャラクへ協力を要請に行った。総統シャラクから『歓迎する』という返事をもらったフドウは、グウィンに報告するため炭鉱へ戻る途中、牙狼国へ向かっているグウィンたちと出会い合流した。


グウィン達は牙狼国最大の拠点である牙牢城へ到着した。


牙牢城はすべて城壁でかこまれており、城壁は、東西約4km、南北約3km、高さは約4mあった。城内への入り口は、東、西、南にそれぞれあったが、グウィンたちはフドウの指示どおりに東の門から入城した。そこには、牙狼国総統の補佐であるウタマロが待っていた。

「ほっほっほっほっほっ、ようこそいらっしゃいました。私は総統の補佐であるウタマロと申す者。この度、皆様方のお世話をさせていただくことになりました。魔王様と親衛隊の皆さんは私とご一緒に来てください。総統のもとへご案内いたします。ドワーフの皆さんは係の者が野営のできる場所へご案内しますので、そちらへ移動してください。では、参りましょう。ほっほっほっほっほっほっ!」

そう言うと、ウタマロはグウィンとサヤカを馬車に乗せた。馬車は東の門から西へ進み、南門から北へ走っている大道と交差したところを北へ進んだ。牙牢城の一番北側の中央に総統がいる宮殿があった。

宮殿の大広間へ行くと総統のシャラクと牙狼国の文官、武官が大勢並んでおり、グウィンたちを待っていた。

グウィンはサヤカと一緒にシャラクの前へ歩を進めた。

「魔王グウィン様とサヤカ様、ようこそおいでくださいました。長旅でお疲れのことと思いますので、今日は、ささやかですが歓迎の宴をご用意させていただきました。どうぞこちらへおいで下さい。」

シャラクはそう言ってグウィンとサヤカをテーブルへ案内して自分も同じテーブルへ座った。親衛隊員たちは他のテーブルへ案内され、それぞれ文官や武官の歓待を受けていた。

「盛大に歓迎していただき感謝する。この度は突然の来訪で迷惑とは思うが、いろいろ力を貸していただきたい。俺一人なら自力で何とでもなるが、4000人のドワーフに飯を食わせるとなるとなかなか骨が折れる。よろしく頼む。」

グウィンは、軽く頭を下げた。

「いえいえ、迷惑などととんでもありません。それより先ずお礼を申し上げなければなりません。砦が人間に襲われたときは大変お世話になりました。遅くなってしまいましたが牙狼族を代表してお礼を申し上げます。」

シャラクはグウィンに深くお辞儀をした。

「うむ。牙狼族の兵士もよく戦った。勇敢だった。」

グウィンがそう言うとシャラクは嬉しそうな表情を浮かべた。

「ありがとうございます。兵たちが聞けば喜ぶと思います。ところで、フドウの方からいろいろ話は聞いております。ドワーフの土地にグウィン王国を建国するという構想はとても良いことです。一刻も早く実現してください。我々が入手した情報によれば、ドワーフの土地では人間に素直に従わないドワーフが次から次へと磔にされて処刑されております。女・子供も情け容赦なく処刑されているとの話です。早く勇者を倒し安心して暮らせる世界を実現してください。我が牙狼族もできる限り協力は惜しみません。先の砦を見ても明らかなように人間どもは必ずまた襲ってきます。我々はこれまで領土の半分近くを人間に奪われてしまいました。次にまた勇者が攻めてくれば我々だけではひとたまりもありません。魔王様だけが頼りです。どうかよろしくお願いします。」

シャラクは深々とグウィンに頭を下げた。

「分かった。任せておけ!」

「ありがとうございます。そう言えば、サヤカ様は身重だとか。お体を大切にしてください。お二人にはこの宮殿内に部屋をご用意させていただきましたので、滞在中は、ご遠慮なくお使いください。」

シャラクは微笑みながらグウィンに酒をついでいた。


グウィンとサヤカはベッドの上で横になっていた。

「なんなのだ、あの酒と言う液体は?初めて飲んだぞ!頭がくらくらする。」

グウィンは気分悪そうにサヤカに言った。

「グウィン様わぁ、お酒が初めてだったからびっくりしますよね。」

「サヤカは飲んだことがあるのか?」

「私も飲んだことないですぅ。でも話には聞いていましたので、ちょっとだけ飲んでみたかったんですけどぉ、お腹に赤ちゃんがいる間はお酒を飲んじゃいけないって、ミサトさんから言われていましたのでぇ飲みませんでした。」

「酒を飲んだら頭はくらくらするし、体はふらつくし、てっきりシャラクが俺を毒殺しようとしているのかと思って、危うく殺すところだった。アイリスが酒について教えてくれたから思いとどまったが・・・」

グウィンは膨らみ始めたサヤカのお腹を撫でながらつぶやいた。

「ふふふ、アブナイ♪アブナイ♪、アイリスちゃん、教えてくれてありがとう。」

サヤカは姿の見えないアイリスに礼を言った。

「ところでグウィンさまぁ、毎日お腹に精気を送っていただくと、お腹の中がとても温かくなって気持ちがいいんですよぉ、お腹の赤ちゃんも喜んでいるみたい。私、必ず元気な赤ちゃんを・・・・グウィンさまぁ?」

グウィンはサヤカのお腹に手を乗せたまま寝てしまった。サヤカはグウィンの手を握り静かに目を閉じた。



一方、ヘリオス王国の王都では、アイエス王にエルフ族から特使が来ていた。エルフの特使は細身で長身であったが、表情は険しく、全身からは怒りがこみ上げているようだった。

「私はエルフ族の長老ルゴルスより特命を受けてまいりましたプレイスと言います。この度はアイエス王の真意を伺いにまいりました。事と次第によっては全面戦争も辞さぬ覚悟ですぞ!心して答えられよ!」

プレイスは厳しい表情でアイエス王に言い寄った。同席していたバルカ将軍が慌てて間に入った。

「特使殿、落ち着いてください。いったい何があったのか、ご説明していただけませんか。」

「とぼけるのもいい加減にしなさい!ユリン村がザラ・ザブン伯爵に襲われ、200人以上の村人が虐殺されたのです。全員が非戦闘員の民間人です。しかも、高齢者や女性、子供まで手当たり次第に殺され、家に火をつけられたとのことです。このことは生き残った村人やザラの手下の証言に基づき現地を調査しましたが、事実に間違いはありません。このような非道な行為は断じて許すことはできません。現在、エルフ族では兵を集結させて王国軍の襲撃に備えています。一触即発という状況ですぞ!」

プレイスは激しい剣幕でバルカ将軍を睨みつけた。

「プレイス殿、お怒りはごもっともですが、我が国にはエルフ族を攻撃する意思は全くありません。いったいなぜそのようなことが起こったのか、そもそも本当にそのようなことが起こったのか、にわかには信じがたいところです。」

「私が嘘を言っていると言うのですか!証拠はいくらでもあるのですぞ!」

「嘘だとは申しておりません。ただ、王国としては相互不可侵の約束を尊重しております。それゆえザラ伯爵の行動には何か意味があるのではないかと考えております。ところが肝心のザラ伯爵は行方不明なのです。おそらくは、何か只ならぬことが起こったように思います。」

と、バルカ将軍が説明をすると続いてアイエス王が口を開いた。

「特使殿、事はエルフの村だけではなく、我が国所有の炭鉱や銅鉱山でも不穏な事態が発生しているのだ。それゆえ現在兵を派遣して調査をしている。結果が分かり次第、改めて話すとしよう。ではこれにて失礼する。」

アイエス王はそう言って退席した。

「アイエス王、お待ちください!アイエス王!」

「特使殿、落ち着いてください。なにぶん調査中ですので今は何もお答えできないのです。こちらで宿をご用意しますのでしばらくお待ちいただけませんか。調査結果がまとまり次第お知らせします。」

バルカ将軍はいきり立っているプレイスをなだめるように話しをした。

「至急ですぞ!大至急知らせて下さい!」

そう言うと、プレイスは興奮して手を震わせながら宿へ向かっていった。



グウィンたちが牙牢城へ来てから一週間が過ぎていた。グウィンは宮殿の一室にサヤカと一緒に宿泊していたが、毎日、親衛隊と一緒にドワーフの野営地に来て、打ち合わせをしながら進捗状況を確認していた。今日はドワーフの土地に行くまでの行程について、ウタマロから話を聞く予定であった。

「先日ご依頼のあったドワーフの土地に行くまでの行程ですが、ある程度目星がつきましたのでご説明いたします。」

ウタマロはその場に集まったグウィンをはじめ親衛隊やドワーフの代表の顔を見回しながら話を続けた。

「ドワーフの土地は大陸の東側の海岸沿いです。ここからですと南東方向ですが、人間の王国を横切っていかなければならないので、そのルートは無理だと思います。安全に行くためには王国を迂回して進むルートが良いと思います。具体的には、先ず南下して猛虎国まで行き、そこから猪豚国へ行き、最後にドワーフの土地と言うことになります。日数としましては、順調に行って、70日程度かかると思います。途中、人間との戦闘があれば、もっとかかることになるでしょう。皆さんは荷馬車をある程度はお持ちのようですが、馬やロバをもっとたくさん手に入れることができればもう少し早く到着できると思います。ただ、残念ながら我が国には皆さんに提供できる頭数があまりおりません。そこのところはご容赦願います。水や食糧につきましては、こちらからも十分提供いたしますが、持っていける量にも自ずと限界もありますので、先ずは猛虎国を目標にしてそこへ到着できる準備をされてはいかがでしょうか。そこから先は猛虎国で準備するのが良いと思います。猛虎国の統領へは私どもの総統の方から親書を送っておきますので、ご協力いただけるものと思っています。ちなみに猛虎国の大河城までは3週間程度かかります。」

ウタマロが一気にここまで説明すると、グウィンはドワーフの代表を見て尋ねた。

「今の説明にもあったとおり、猛虎国へ行くための準備をしてもらいたい。準備は大丈夫か?」

「私どもの方は問題ありませんが、カルレヴォさんの方は人数が多いから大変でしょう。」

と、ミョイネンが言うと

「そうですな。1週間から10日いただければ十分準備ができます。」

と、カルレヴォが答えた。

「奴隷の時と比べれば、気楽なもんですよ。焦らず行きましょうぜ!大将!」

ワイネンはそう言って笑った。


グウィンは打ち合わせが終わったのでウタマロの案内で牙牢城の中を見学することにした。

「グウィンさまぁ、先ほど見たことがない大きな動物がいたんですけどぉ、見に行きませんかぁ?」

サヤカが言うと

「それは面白そうだ。ウタマロ殿、ご存知ですか?」

と、グウィンはウタマロに尋ねた。

「ほっほっほっほっ、それは象でしょう。猪豚族のキャラバン隊が来ていますから。それでは行ってみましょう。ご案内いたします。」

ウタマロはそう言ってグウィンと親衛隊を猪豚族がいる場所まで案内した。


親衛隊は、フドウ、オイチ、スパーナがグウィンとサヤカの護衛に当たり、アオイ隊(アオイとサロン仲間4人)が雑用係兼連絡係をしていた。また、ワイナはグウィンのバックパックを持ちながら6人の回復術士と一緒に同行し、ミサトはルルナ、リアンと一緒に4人の子供たちの面倒を見ながらついてきた。イチタはハクに乗ってガルダ族のニアール、ライアンと共に上空から周辺の監視を怠らなかった。


ウタマロの案内で広場に着くと、そこには男性4人、女性3人、計7人の猪豚族いた。猪豚族の顔立ちは人間とあまり変わりなかったが、男性は大きな体をしており耳と尻尾は猪のようであった。また、肌の色は褐色で、全身茶色の太くてかたい剛毛に覆われていた。女性は、男性ほど大柄ではなかったが、豊満な肉体をしており、耳と尻尾は豚のようであった。また、肌の色は淡いピンク色で、首から下は柔らかく細いピンクの毛でうっすらと覆われていた。

象は全部で5頭いたが、そのうちの1頭はまだ子供で白い肌をしていた。


「うわー!かわいい!」

サヤカは興奮して子供の像の側へ行き、世話をしていた若い女性と話を始めた。


「マリリンさん、ご紹介します。こちらは9代目魔王様と親衛隊の皆さんです。」

ウタマロはグウィンを紹介すると、マリリンと呼ばれた女性がグウィンに挨拶をした。

「あら~初めまして~私はこのキャラバン隊の隊長のマリリンですのよ~。魔王様にお目にかかれて光栄ですのよ~。」

マリリンはそう言うとグウィンと握手をした。

「うむ、俺はグウィンだ。珍しい動物がいると聞いたので見学に来た。邪魔でなければ見せてもらえるか?」

「もちろん大歓迎ですのよ~。あ、そうそう、お近づきの印にこれを差し上げますのよ~。」

マリリンはグウィンに赤い液体が入った小瓶5個と青い液体が入った小瓶5個を籠に入れて差し出した。

「ほほう?この瓶は何なのだ?」

グウィンの問いにマリリンが待ってましたとばかりに説明を始めた。

「これは~猪豚族秘伝の~トン薬と言うもので~即効性のある回復薬ですのよ~。トン薬は2種類ありまして~『赤のトン薬』は~肉体的な回復をしますのよ~そして~『青のトン薬』は~魔力の回復をしますのよ~。魔法が使えない人でも~誰でも使えますのよ~。そのまま飲んでも良いし~飲めない時は体にかけても良いし~とっても便利ですのよ~トン薬のおかげで~九死に一生を得た人は~たくさんいますのよ~今ならお買い得ですのよ~それぞれ100個くらいはお持ちになっていると~いざという時とっても助かりますのよ~ご注文を~お願いしますのよ~」

「ふむ、どう思う?」

グウィンは周りにいた者に誰とはなく尋ねた。

「そのようなものがあれば、確かに便利だと思います。」

と、フドウが言うと

「そうですね。一瓶でどの程度回復するのか、事前に確認しておいた方が良いと思いますがいかがでしょうか。」

と、オイチも答えた。

「ところで支払はどうすればいいんだ?」

スパーナが尋ねると

「お支払いは~金か銀で~お願いしますのよ~」

と、マリリンは答えた。

「ほっほっほっほっ、それではマリリンさん、赤のトン薬を200個、青のトン薬を200個注文してもよろしいですか。」

ウタマロが注文をした。

「まいど~ありがとうございますなのよ~ご注文を承りましたなのよ~納品まで1週間かかりますので~それまでお待ちくださいなのよ~」

マリリンが嬉しそうに応じた。


「ほっほっほっほっ、グウィン様には、赤のトン薬100個、青のトン薬100個をお渡しします。お受け取り下さい。もちろん支払いは我々にお任せください。我々もトン薬を欲しいと思っていたところです。ほっほっほっほっ。」

「ウタマロ殿、かたじけない。感謝する。」

グウィンとウタマロが話していると、マリリンがキャラバン隊の隊員を呼び集めた。

「みなさ~ん、集まってくださいなのよ~たくさんご注文を頂いたのでお礼を申し上げるのなのよ~これから張り切ってトン薬を作るのなのよ~」

マリリンに呼ばれて、6人のキャラバン隊員が集まってきた。

「グウィン様~こちらの二人は私の娘なのよ~長女のトリシアと次女のアンジェなのよ~」

「長女のトリシアと言います。この度はご注文ありがとうございます。今後ともごひいきにお願いします。」

「次女のアンジェです。ええと、よろしく・・・お願い・・・・ママリン、どうしよう、グウィン様はとってもいい匂いがするの。」

アンジェは鼻をぴくぴくさせながらマリリンに言った。

「あら~どうしましょうなのよ~今まで男に興味がなかったアンジェが~よりによって魔王様にね~困ったなのよ~。」

マリリンも困ったような顔をしてアンジェを見つめた。


「何を困っている。俺が何か変な臭いでもするのか?」

グウィンは自分の腕の臭いを嗅いでみたが特に異臭はしなかった。

「猪豚族の女は~誰の子供を産むか~匂いで決めるのなのよ~猪豚族の男なら~男に拒否権はないって分かっているから~問題ないのなのよ~でも、魔王様には~そんなことは言えないのなのよ~」

マリリンは困ったようにアンジェを見ていた。

「どうも俺には良く分からないのだが・・」

と、グウィンが言うとマリリンはさらに話を続けた。

「猪豚族は~匂いでいろいろなことが分かるのなのよ~自分が~誰の子供を産めば~元気な赤ちゃんが産めるかもわかるのなのよ~それ以外にも~もっといろいろなことが~分かるのなのよ~アンジェ、グウィン様は~どんな匂いがするか~教えてなのよ~。」

「クンクン、グウィン様のママリンは猫又族の匂いがするの。クンクン、パパリンは魔王様だけど猛虎族の匂いもするの。クンクン、クンクン、ママリン・・私・・・もうダメなの、これ以上立っていられないの・・」

アンジェが倒れそうになると、さっきから一緒にいたサヤカが抱きかかえた。

「グウィン様、こうなってしまったら、責任を取っていただかないと困るのなのよ~。」

マリリンは困った表情でグウィンを見つめた。

「責任?い、いったい何の責任だ?」

グウィンは少し動揺した。

「アンジェをグウィン様のお妃の一人に加えていただくしかないのなのよ~」

マリリンがそう言うと、そこへアオイが出てきた。

「マリリンさん、私はグウィン様の身の回りのお世話をしているアオイと言います。少々、お話しを聞いていただけますか。」

「は~い、聞きますなのよ~」

「お妃になるには、先ず魔王の祝福を受けていただかなくてはなりません。魔王の祝福を受けると、様々な能力が大幅に強化されます。これは、元気で優秀なお子を産むために必要なことです。それから、もし魔王様を裏切った場合は、血が固まって即死します。これにより魔王様に害意を抱く者を近づけないようにすることができます。魔王様を一生裏切らないと誓えますか?不安があるのならやめておいた方が良いと思いますよ。」

アオイはマリリンとアンジェの顔を見ながら言った。

アンジェはサヤカに抱きかかえられながらもきっぱりとした口調で答えた。

「私は、愛する男を絶対裏切らないの。誓えるの。大丈夫なの。」

「さすがは~アンジェなのよ~よく言ったわなのよ。グウィン様~1週間後に~トン薬を納品するときに~アンジェも輿入れさせていただきますなのよ~。」

マリリンの言葉に対してグウィンが返答をためらっているとサヤカが口を開いた。

「アンジェちゃん、楽しみに待っているわぁ。」

「ほっほっほっほっ、お妃様のサヤカ様のお許しが出ましたので、さっそくお輿入れの準備をすることにしましょう。宮殿にもアンジェ様のお部屋をご用意させていただきます。いや~めでたいですな。ほっほっほっほっ。」

「サヤカちゃん、ありがとうなの。」

アンジェはそう言ってサヤカの手を握りしめた。

「一緒に元気な赤ちゃんを産もうね。」

サヤカもアンジェの手を握り返した。二人の間にはいつの間にか不思議な友情が生まれていた。

「それではグウィン様~1週間後に~宮殿のほうへお伺いいたしますので~よろしくお願いいたしますなのよ。」

マリリンは深々とお辞儀をするとキャラバン隊全員と一緒に去っていった。


「な~にが愛する男を絶対裏切らないだ、出会ってたった5分か10分でよくそんなことが言えるぜ。」

スパーナが一人でブツブツ言っていると、アオイが側に寄って来て話しかけた。

「あら、ガルダのお姫様、どうかなさいましたか?」

「何でもねえよ。ただ、道端でたまたま偶然出会った男をいきなり愛しているとかよく言えるなと思ってよ。びっくりしたぜ!」

「もしかして、焼きもちですか?」

「違うよ。そんなんじゃねえよ。」

「ふふふ、猪豚族の人が言っていましたけど、匂いでいろんなことが分かる見たいですよ。アンジェちゃんは匂いでグウィン様のことを理解して恋に落ちたというか、身も心も全部奪われちゃったっていう感じね。」

「俺にはさっぱり分かんねえな。」

「スパーナさんはどうなんですか?グウィン様のお妃になりたいというお気持ちはあるんですか?」

「俺は・・・別に・・・グウィンのことは嫌いじゃねえけどよ、こういうことはやっぱり男のほうから言ってもらいたいというか、きちんと気持ちを伝えてもらいたいというか・・いきなり俺のほうからお妃にしてくれとか言えないし・・・」

スパーナは頬を赤らめながら答えた。

「ふふふ、スパーナさんの気持ちは分かったわ。もし、私にお手伝いできることがあったら何なりと言ってくださいね。」

「ああ、ありがとうよ。あんた良い人だな。」

「そんなんじゃないわ。私はただグウィン様に恩返しがしたいだけなのさ。」

「ふーん、なんかあったのか?」

「私の命と私の大切な人の命を助けていただいたわ。」

「そうか、今度時間があるときに、ゆっくり話を聞かせてくれ。」

「そうね。今度お茶しましょうね。あたしもグウィン様とスパーナさんとの間に何があったのか知りたいわ。それじゃ、またね。」

そう言ってアオイは戻っていった。


(グウィンはちょっと見ない間にいろいろな人を助けていたんだな!)

スパーナにはグウィンがまぶしく見えた。

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