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勇者de焼き肉パーティ  作者: 吾妻ゆきと
13/27

第12話 銅鉱山解放

残酷な描写が出てきます。苦手な方はご遠慮ください。


気づいたときに、誤字脱字の修正、言い回しの修正、言葉足らずな部分の加筆などを行っています。

基本的なストーリーの変更はありません。


第12話 銅鉱山解放


銅鉱山に向かう途中で、グウィンはアステルが乗っていた白馬とバックパックを見つけて接収した。グインはアステルのバックパックが気に入ったので、今まで使っていたリュックをルルナに返しバックパックを使うことにした。


銅鉱山の施設は塀で囲まれており、出入りのできる門が一か所あったが、外側から大きなカギがかけられていた。グウィンたちは到着するとさっそく解錠し中に入った。中には詰め所と倉庫が並んでおり、さらにその奥にはドワーフが居住している宿舎が4棟あった。いずれも外側からカギがかけられていたが、中からはドワーフの話し声が聞こえた。ドワーフの宿舎の奥には製錬所と大きな倉庫があり、さらにその奥に坑道の入り口が見えた。


グウィンたちは宿舎のカギをすべて開け、ドワーフたちを広場に集め、ザラ伯爵及びその警備兵が全員死んだことを伝えた。

「グウィン様、私はこの銅鉱山でドワーフの責任者をしておりますミョイネンと言います。私どもを助けていただき感謝申し上げます。ですがその、我々は今後どのようにすればよいのでしょうか。」

突然解放されたので、ミョイネンは困惑していた。

「人間はお前たちを近くの炭鉱に連れていき、奴隷として働かせると言っていた。お前たちは今後も奴隷として生きていくのか?それとも自由を手に入れたいのか?どうしたいのか決めてくれ!」

グウィンがそう言うと、ドワーフの間でどよめきが起こった。しばらくすると一人の女性が立ち上がった。

「ええい、情けない男どもだね。すっかり奴隷根性が身に付いちまったのかい。奴隷で一生終わるなんてまっぴらごめんだよ。せっかくのチャンスなんだ。活かさない手はないね。」

女性ドワーフがそう言うと、

「しかし、我々はどこへ行けばいいのだ?」

ミョイネンが不安げに答えた。

「私は人間と戦うよ。奴隷のまま死ぬくらいなら、戦って死んだ方がましさ!」

女性ドワーフはそう言ってグウィンを見た。

「私はワイナと言います。グウィン様のお供をさせてください。どうか魔王様の祝福をお願いします。奴隷になんか二度と戻るものか!」

ワイナがそう言うと、いたるところから賛同の声が上がった。ミョイネンは全体の雰囲気を察し、グウィンに尋ねた。

「グウィン様は今後どのようになさるおつもりですか。」

「先ずは近くの炭鉱のドワーフを解放する。あそこには3000人いると聞いている。その後は獣人族を襲っている王国軍をやっつけて、ドワーフの国まで行く。そこでお前たちの国を取り戻す!」

グウィンが答えると、ドワーフの間でまたどよめきが起こった。

「グウィン様、あの炭鉱には常時600名の兵士がいて、交代の時期になりますと一時的にではありますが、1200人の兵士のいることもあると聞いています。我々は総勢で約250人です。しかも武器も鎧もなく勝ち目があるのでしょうか。」

ミョイネンは慎重にグウィンを値踏みしているようだった。


グウィンは少し考えて、リアンに声をかけた。

「リアン、弓を皆に見せてやれ。」

リアンは言われたとおり、勇者アステルから奪った弓をドワーフたちに見えるように高く掲げた。

「そ、その弓は・・・」

「ミスリルの武器の中でもすごい業物だ!」

ドワーフの間から感嘆の声が聞こえた。

「その武器はどうなされたのですか?」

ミョイネンが尋ねると、グウィンは持っていたバックパックの中からきれいに焼かれた頭蓋骨を出した。

「その弓はこの人間が持っていたものだ。」

グウィンがそう言いながら頭蓋骨を高く掲げた。その時、フドウが立ち上がった。

「この頭蓋骨は、人間の勇者アステルのものだ。グウィン様はここへおいでになる前に勇者アステルを倒されたのだ。勇者といえどもグウィン様の敵ではない。グウィン様こそ憎き勇者を倒す9代目魔王様なのだ!今こそグウィン様と共に立ち上がるのだ!」

フドウの雄叫びにも似た言葉に

「グウィン様と戦うぞ!」

「人間を倒せ!」

「勇者を殺せ!」

ドワーフの間からも大きな声が沸き上がった。

「グウィン様、ここにいるドワーフ一同、グウィン様と共に戦います。どうかよろしくお導きください。」

ミョイネンはそう言って深々と頭を下げた。その場にいたすべてのドワーフもミョイネンと共に頭を下げた。

「よし、分かった。まず・・・お前たちは風呂に入れ!臭くて鼻が曲がりそうだ!」

グウィンがそう言うとドワーフの間に爆笑の渦が巻き起こった。


グウィンは魔王の祝福についてワイナと話をはじめた。

「魔王の祝福を受けなくても、強化の魔法で強くすることができる。俺の祝福を受けると親衛隊として一生忠誠を尽くすことになるぞ。そして裏切ったら血が固まって即死だ。せっかく奴隷から解放されて自由の身になれるのに、それでもいいのか?」

グウィンが訊くと

「王国の奴隷に自由はありません。力ずくで無理やり連れてこられちまったんです。グウィン様の親衛隊は全然違います。自分で考え自分の意思で決めたものです。それに、私はこう見えてドワーフの王家の血筋ってやつを受け継いでいるんです。私が親衛隊にいることで、ドワーフたちも合流しやすくなるし、ドワーフとのパイプ役にもなれます。よろしくお願いいたします。」

ワイナは覚悟の決まった表情でグウィンに答えた。

「分かった。ところでワイナはどんなことが得意なのだ?」

「私は回復魔法が使えます。ドワーフの回復魔法は怪我の治療だけでなく、疲労回復、消耗した魔力の回復もできます。それから、私にグウィン様のカバン持ちをやらせてください。力には自信があります。」

グウィンはワイナに魔王の祝福を与えた。ワイナの体は一段と大きく逞しくなり、魔力も大幅に向上した。

「ほほう、こりゃいいや!今まで以上に腹いっぱい飯が食べられそうですね。」

ワイナは自分の変化に喜んでいた。

「ところでこの鉱山ではミスリルの防具は改造できるのか?」

グウィンはワイナに尋ねた。

「この鉱山の炉は火力が低いので無理ですが、炭鉱に行けば何とかなるかもしれません。あちらに着いたら確認してみましょう。」

ワイナはそう言いながらグウィンの荷物を預かった。


それから5日間、銅鉱山は活気にあふれていた。全員風呂に入り身支度を整え、各々出発の準備を始めた。

銅鉱山から炭鉱まではドワーフの足で5日程度かかるため、先ずは、水、食糧、炊事道具を揃えた。

次に、武器や防具は、倉庫にあったものだけではなく、死んだ兵士からも使えそうな物を回収して確保していった。

また、ドワーフはグウィンや親衛隊の武器や防具も新調し、あるいは修理補強するなどして、装備の増強に余念がなかった。


そんなある日の出来事

グウィンは銅鉱山の近くで川辺に腰を下ろしていた。

「川の水も綺麗になってきたものだ。」

そう呟きながら川の流れを眺めていると、眉間の宝珠が光り出した。

「グウィンちゃん、今日は二つお話があるの。」

グウィンの前に虹の女神アイリスが現れた。アイリスはグウィンにしか見えなかったが、宝珠が光っている時はアイリスと話をしているということを親衛隊員は知っていたので、グウィンが一人でブツブツ言っていても怪しまれずにすんでいた。

「なんの話だ?」

「先ずはパンパカパーン!9代目魔王様誕生おめでとう!イエーイ!イエーイ!ヒュー!ヒュー!」

「最近おかしくないか?大丈夫か?」

「こほん・・・興奮しすぎて取り乱しました。すみません。グウィンちゃんは勇者アステルの心臓を食べて能力が一定の水準を超えましたので、名実ともに魔王を名乗っても大丈夫です。次は『大魔王』さらにその次は『恐怖の大魔王』を目指して頑張りましょう!」

「なんだそれ?そんな称号いらねえよ!」

「またまた~遠慮しなくていいのよ。まあ、それは置いといて、本題はこれからです。」

「まだ本題じゃなかったのかよ!」

「グウィンちゃんの魔王覚醒に伴って、『魔王の祝福』の力もアップしています。ですので、親衛隊の皆さん全員にもう一度祝福を与えちゃってくださーい。親衛隊員の皆さんもさらにパワーアップします。」

「なるほど、それは分かった。」

「もう一つですが、グウィンちゃんは死の呪文が使えるようになりました。ただし、今の魔力の容量から行くと、一回死の呪文を発動すると2,3日寝込んでしまいそうなので、状況をよく考えて使ってね。」

「ああ、そうするよ。」

「それじゃあ、新しい魔法をダウンロードします。『死の呪文』入りまーす。」

グウィンの宝珠は点滅を始めた。


「そういう訳で、もう一度全員に魔王の祝福を与える。」

グウィンは親衛隊員を全員集めて説明した。

「それは素晴らしいことです。楽しみです。」

オイチがそう言うと

「よーし!新しい必殺技でも考えるとするか!ははは!」

フドウも嬉しそうだった。

グウィンは全員に魔王の祝福を授けたが、最後にイチタがサヤカを連れてグウィンのところへやって来た。

「グウィン様、サヤカがグウィン様の祝福を受けたいと申しておりますので、なにとぞお願いします。」

イチタがそう言うと

「私は、皆さんの、ううん、グウィン様の足手まといになるのは嫌なの。グウィン様の祝福を受けて~今よりも何倍も何十倍も強くなって~きっとお役に立ってみせます。」

と、サヤカも自分の気持ちを述べた。

「サヤカは動物を操ること以外にどんなことができるのだ?」

と、グウィンが尋ねると

「私もお兄ちゃんと同じように幻術を使えます。」

サヤカは得意げに答えた。

「そうか。期待している。」

グウィンはそう言って、サヤカに祝福を授けた。サヤカはグウィンの血を飲んでも外見的に変化は見られなかった。

「サヤカちゃんの外見は全然変わらないね?」

ワイナがぼそっと言うと

「妖狐族は本当の姿を家族以外には見せないからね。」

ミサトがワイナにささやいた。


再度祝福を受けた後、ルルナとリアンは2人で山の中に入っていった。

「お姉ちゃん!私はどんな精霊と契約したらいいと思う?」

「リアンは何がしたいの?」

「たくさんの人間を苦しませて、殺したいの!」

「そう、それならそのことを強く、強く、つよーく念じてみなさい。」

「うん、分かった。」

リアンが跪いて念じしていると、リアンの周りに濃く暗い紫色の光の渦が漂い始めた。

(我を呼ぶのは誰か?)

リアンの頭の中に声が響いた。

「私はリアン、あなたは?」

(我は闇の精霊、暗黒ミズチなり。何用か?)

「私と契約をしてほしい。」

(お前は何がしたいのか?)

「人間をたくさん苦しめて、たくさん殺す!」

リアンの目は暗く光った。

(なぜ人間を殺す?)

「人間はパパ、ママ、お姉ちゃんの仇、そして、たくさんの村の人の命を奪った。絶対に許さない!」

(よかろう、我が力を与えよう。)

紫の光はリアンの中に吸い込まれていった。


グウィンたちは準備が整い、銅鉱山から南にあるドリア・ズーファ公爵領の炭鉱を目指して出発した。

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