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勇者de焼き肉パーティ  作者: 吾妻ゆきと
10/27

第9話 ユリン村の攻防

残酷な描写が出てきます。苦手な方はご遠慮ください。


気づいたときに、誤字脱字の修正、言い回しの修正、言葉足らずな部分の加筆などを行っています。

基本的なストーリーの変更はありません。



第9話 ユリン村の攻防


赤の勇者と呼ばれた聖弓士アステルは、8代目魔王討伐を完了した後、王国軍から離脱した。10代のころから勇者として魔王軍と戦い始め、以後25年以上戦いに明け暮れていたが、魔王との戦いが終わった今、エルフの国へ出かけることにした。

アステルは両親の顔も名前も知らなかった。幼いころ拾われて施設で育ったが、ハーフエルフだということは分かっていた。エルフの国へ行けばもしかしたら父母の手掛かりがあるかもしれないという淡い期待もあった。そして生涯の伴侶との出会いも夢見ていた。


「大変だったけど、ようやく整理がついて良かった。訓練期間を含めると30年か~長かったな~今から30年分の青春を取り戻さくちゃ!」

アステルは旅立つ前、30年間住んだ王都を引き払う作業に忙殺されていた。荷物の整理や挨拶回りなどやることがいっぱいあった。だが、その作業もようやく終わり、旅立ちの日を迎えることができた。

アステルはミスリル製の弓を肩にかけ、ミスリル製のダガーを腰に佩き、大きなバックパックを白馬に積んだ。

「さらば、愛しの我が家!また会う日まで!なんてね。はははは!」

アステルはご機嫌な表情で白馬にまたがり、これまで住んでいた家に別れを告げるとエルフの森を目指して出発した。

アステルに貸与されていた赤の宝珠とミスリル製の防具は全て王宮へ返還したが、ミスリル製の弓とダガーそして白馬はこれまでの功績に対する報奨として授与されたものだった。


アステルは、エルフの長老が住むというカナトの森へ行く予定であった。しかし、エルフの森へ行くのは初めてだったので、一番近いユリン村へ行って情報を収集することにした。


アステルが王都を出発して3日目、ユリン村の近くまで来ていた。

バサッ!バサッ!バサッ!

羽音がしたので空を見上げるとガルダ族の一団がユリン村のほうへ飛んでいった。

「何事だろう。」

アステルは不審に感じ、ユリン村へ急いだ。


「ははは、いつもかたじけないですな。」

「こちらも助かっています。」

アステルがユリン村へ到着すると、ユリン村の村長とガルダ族の一人が談笑していた。足元には交換したと思われる品々が置かれていた。


村長はアステルに気づき声をかけた。

「何か御用ですかな?」

「あ、いえ、私は王国から来た者です。カナトの森へ行きたいと思っていますが、こちらで道を教えていただきたいと思ってきました。」

アステルは何事もなかったことにほっとし、自分が来た本来の目的を告げた。

「それでは我々は失礼します。またよろしくお願いします。」

ガルダ族の一団は交換した品物をもって飛び去って行った。


村長はガルダ族と交換した品々を村人に指示して村の倉庫に収めさせ、アステルを自宅へ連れて行ってお茶を出した。

「さて、カナトの森へ行きたいとのことですが、どういうご用件ですか?」

との長老の問いに、アステルは自分が人間とエルフのハーフでありカナトの森へ行けば両親のことが何かわかるかもしれないからと説明した。

「そうでしたか、何かわかると良いですな。しかし、エルフの森はとても広く深い。住んでいる場所もカナトの森だけではなくたくさんあります。焦らないことですな。」

「そうですか・・・そうですよね。それに40年以上も前の話ですから、何も分からなくてもガッカリしたりしません。両親がいたかもしれないエルフの森の空気を吸ってくるだけでも満足します。えへ。」

「ほっほっほっほっそれがよろしいですな。この村にもカナトの森へ仕事に行く予定の者がいますので、良かったら一緒に行ってみてはどうですかな。出発は数日後だと思いますが、それまで私の家に宿泊しても結構ですよ。」

「そうさせてください。とっても助かります。」

アステルは村長の提案に感謝した。


ザラ伯爵が経営する銅鉱山はヘリオス王国の北西部に位置しており、東にはエルフが住む広大な森林地帯が広がっていた。西には標高の高い山々が連なっていてガルダ族の一族が住んでいた。

銅鉱山を含むこの一帯はもともと巨人族が住んでいたが、現在は王国が支配しザラ・ザブン伯爵の領地となっていた。ルルナの出身地であるユリン村は銅鉱山の南東方向にあった。


銅鉱山では255人のドワーフが奴隷として働かされていた。その内訳は男性200人、女性55人であった。女性は食事、掃除、洗濯などの仕事をさせられていたが、それ以上に男性の反乱を抑えるための人質としての役割が強かった。

銅鉱山には警備のため50名の兵が常駐していた。ザラ伯爵は執事と新たに100人の兵を引連れて鉱山の警備兵詰所に来ていた。

「この鉱山の下流にあるエルフの村の奴らを皆殺しにする。殺された娘たちの仇を討つのだ。年寄りと女、子供が多い300人程度小さな村だ。100人も兵を差し向ければ十分だろう。」

ザラ伯爵は鉱山の警備隊長へ言った。

「承知いたしました。我々は何をすればよろしいのでしょうか。」

「ザラ様、私から説明させていただきます。」

警備隊長が困惑していたので、執事が説明を始めた。

「まず、新たに連れてきた100人の兵で村を襲い一人残らず殺害します。そして家々に火を放ってすべて焼き尽くして証拠を消します。警備隊長以下50名は村からエルフが逃げないように、そして周囲に目撃者がいないかどうか見張って下さ。万一村の外に人がいたら絶対に逃がさず始末してください。」

「し、しかし、もし、エルフにばれたら王国とエルフの関係が・・・」

「ですからばれないように皆殺しにするのです。」

執事がイライラした口調で警備隊長へ言った。

「で、ですが、あの村は出稼ぎに行っている男が多く、もし出稼ぎから戻ってきたときに、村人が皆殺しにされていたら大騒ぎになるのではないでしょうか。」

警備隊長は執事の説明に納得いかないようであった。

「それがどうしたというのだ。我々がやったという証拠を残さなければ良いのだ。ガルダ族がやったことにするのだ。」

ザラ伯爵は厳しい口調で警備隊長を睨みつけながら話し始めた。

「そもそも魔王が滅んだ今、王国に敵はいない。勇者たちは無敵だ。今は猪豚討伐に行っているが、近いうちに獣人の国をすべて平らげるだろう。そうなれば次はエルフだ。エルフの地を平定するのだ。我々はその先陣だ。」

ザラ伯爵の有無を言わさぬ迫力に警備隊長は黙ってしまった。

「明日の夜決行します。各自準備をしてください。よろしいですな。」

執事がそう言うと、

「承知いたしました。では隊員たちに説明をしてきます。」

と言って警備隊長は出ていった。


翌日、村長の家に宿泊しているアステルのもとに、会いたいという3人の親子連れがやってきた。

「アステルさんは王都からお見えになったとお聞きしたのですが・・・」

父親が声をかけてきた。

「はい、そうですが何か?」

「実は娘が王都へ出稼ぎに行ったのですが、牙狼族討伐軍に参加するという便りを最後に音信不通になってしまいました。」

父親がそう言うと、

「名前はルルナと言います。年齢は17歳でどちらかというと小柄な女の子なのですが、名前に聞き覚えはないでしょうか。」

母親も口早に説明をした。

「牙狼族討伐軍は志願兵が多かったので、申し訳ありませんが分かりません。ただ、志願兵はいろいろと調練があって忙しいと思いますので、便りも滞っているのではないでしょうか。」

「ああ、調練ですか。元気でやっていればいいのですが。」

父親はいくらかほっとしたようだった。

「いくら何でも討伐軍に志願するなんて、まったくあの娘は何を考えているやら。私たちがどれほど心配しているか分かっているのかしら。戻ってきたらお説教しなくちゃ。」

と、母親は不安そうな表情で言った。

「お姉ちゃんの・・げほっ!げほっ!・・武勇伝聞きたいな。早く・・げほっ!げほっ!・・帰ってこないかな。」

病気のせいなのか、娘はとても苦しそうだった。


親子3人が帰った後、アステルは村の中を散策し始めた。村の様子はといえば、決して豊かとは言えないようで、質素な造りの木造住宅が並んでいた。村人は年寄りや子供、女性が多く、しかも顔色が悪くて具合が悪そうな人が目についた。教会の前を通りかかったので覗いてみると大勢の病人がベッドで臥せっており、さながら病院のようであった。村の近くを流れる川を調べてみると、いたるところに魚の死骸が浮いており、川の水からは何か異様な臭いがした。

「この村はどうなっているのだ。」

夕方、アステルは村長のところへ戻り理由を尋ねた。

「お気づきになりましたか。実は川の上流に銅鉱山がありましてな。王国のザラ伯爵が採掘と精錬を始めたのですが、それからというもの川が汚れ病人が増え、亡くなる者も出てしまいました。ザラ伯爵へは何度かお願いに行ったのですが、病気と銅鉱山は関係ないと言われ、まったく取り合ってもらえませんでした。」

「それはいくら何でも酷すぎる。私も機会があればザラ伯爵に話をしよう。」

アステルは義憤を感じ村長へ約束した。その時、村人が村長のところへ駈け込んできた。


「村長!大変です!兵隊が村の周りを取り囲んでいます。」

「なんじゃと?様子を見に行く。案内してくれ。」

村長は村人と一緒に村の外にいる兵士たちが集まっているところへ行った。アステルも一緒についていった。そこにはザラ伯爵と100人の兵士たちがいた。それ以外にも村の周り遠巻きにしている兵士の姿もあった。


「ザラ伯爵様に合わせてくだされ。」

村長がザラ伯爵のもとへ行こうとしていたが、兵士たちが取り囲んでさえぎっていた。

「ザラ伯爵!私は赤の勇者アステルだ!話がしたい!」

アステルが大きな声で叫んだ。すると、兵士たちをかき分けて執事が現れた。

「おお、これはこれは、本当に赤の勇者殿ではありませんか。お目にかかれて光栄です。」

執事は愛想笑いを浮かべていたが、

「挨拶はいい、ザラ伯爵のもとへ案内してくれ!」

アステルは厳しい顔で言った。


「村の周りにこれだけの兵を集めて何をするつもりですか?村人たちが怯えています。ここにいる村長に説明してください。」

アステルがザラ伯爵を睨みつけて言った。

「まあまあ、アステル殿、こちらへおかけください。」

ザラ伯爵は丁寧にアステルへ椅子を勧め、自分の隣に座らせた。

「これは夜間調練なのです。」

「夜間調練?」

「そうです。魔王が死んだとはいえ、まだまだ油断はできません。そのための調練です。元勇者様なら調練の大切さはご存知のことと思いますが。」

「調練ですか。それにしても村の人へ事前に知らせておくべきでしょう。」

「ははは、おっしゃる通りです。これは私がうかつでした。面目次第もございません。村長、そういう訳だ。心配しないで帰りなさい。」

ザラ伯爵の言葉に村長はしぶしぶ納得したようだったが、この機会を逃さず銅鉱山について話そうと思った。

「伯爵様、村では病人が後を絶ちません。亡くなる人も多くいます。銅鉱山をなんとか・・」

「黙れ!銅鉱山と病気は関係がないと言っただろう。」

村長の言葉をさえぎってザラ伯爵が怒鳴った。

「ザラ伯爵、そういういい方は感心しない。せめて調査をしてはどうなのですか?」

隣にいたアステルがザラ伯爵に抗議をした。

「うーむ。元勇者のアステル殿がそうおっしゃるのでしたら、考えておきましょう。そういうことだ。村長はもう帰るがよい。」

「さすがザラ伯爵です。感謝します。」

アステルはほっとしてザラ伯爵に礼を言った。

「ところでアステル殿、せっかくの機会ですから一緒に食事でもどうですか。珍しい酒が手に入ったのですよ。」

ザラ伯爵はニヤリと笑いながらアステルを食事に誘った。


あたりはすっかり暗くなっていた。いたるところで焚火の炎が燃えていた。ザラ伯爵と一緒に食事をしていたアステルであったが、突然胸をかきむしり苦しみ始めた。

「うううううう、ザラ・・・貴様何を飲ませた!」

アステルは苦しみのあまり椅子から転げ落ちた。

「ははは、赤の勇者と言われても、宝珠がなければただの人だな。毒酒をがぶがぶ飲むとは愚か者め!赤ん坊の手を捻るより簡単だわい。」

ザラ伯爵はアステルを見て嘲笑った。

「貴様・・・何をするつもりだ!」

「村の連中を皆殺しにするのだ!そこで眺めながら死ね!ははは!」

ザラ伯爵が合図をすると、手にたいまつを持った兵士が一斉に村へ向かっていった。

「やめろ!・・・ザラ・・や・め・・」

アステルは地面を這いずりながらザラの足をつかんだ。

「ええい!うるさい!」

ザラ伯爵はアステルの頭を思い切り蹴飛ばした。

「グハッ!」

アステルは朦朧とした意識の中で白鳥の鳴く声を聞いた。

ビュン!ビュン!

ドサッ!ドサッ!

アステルの前に何かが落ちてきた。それはザラ伯爵と執事の首であった。


グウィンは魔白鳥から飛び降り、ザラ伯爵と執事の首を一瞬で切り落とした。

「ハク、降りて来い!」

ハクと呼ばれた魔白鳥は地上に降りると、その背中にはルルナが乗っていた。

アステルは目がかすんで何が起こっているのかよく分からなかったが、

「村・の・・人・・をた・すけ・・て・・・」

と、かすかな声でグウィンに言った。

「ふむ。分かった。ルルナ、こいつを治療してくれ!後で話を聞くことにしよう。」

とグウィンが言うと、ルルナは魔白鳥に乗ったまま木の精霊「ククノチ」を召喚し、アステルに治療の魔法をかけた。ククノチは怪我や病気の治療だけではなく毒の治療もできた。

「よし、行くぞ!ハク!急げ!」

グウィンは再び魔白鳥に飛び乗って、ルルナの家を目指して飛んでいった。


「止めてくだされ!止めて!・・ぎゃああああ!」

異変に気付き飛び出した村長が真っ先に殺された。そして、ユリン村はさながら阿鼻叫喚の地獄絵図といった様相になった。武器を持たない村人たちは突然切りかかってくる兵士に驚き逃げ惑うばかりであった。高齢者、女性、子供が多かったのも悲劇であった。兵士たちは殺した村人を家の中に引きずり込み火をかけた。村のあちらこちらで火の手が上がった。


ルルナの家の床には目立たない扉があり、扉を開けると小さな地下室があった。両親は外の異変に気付きリアンをその地下室へ入れようとしている最中であった。

「リアン、あなたはここに入っているのよ。」

「パパとママは?私たちどうなっちゃうの?」

「リアンのことはパパが絶対守るから早く入って声を出さないように隠れていなさい。」

その時、ドアを蹴破って2人の兵士が入って来た。

「やめろ!」

父親が素手で兵士にとびかかったが、剣で斬り伏せられてしまった。母親はリアンを庇って抱きしめていたが、もう一人の兵士が突進していった。

「やめて!!」

母親の叫びも空しく、兵士は槍で二人を何度も突き刺した。

「よし、他にはいないな!」

「次だ!急げ!一人も逃がすな!」

そう言って兵士たちは家に火を放ち隣の家を襲撃に行った。


「ぐぐぐ、はあはあはあ、リアン大丈夫か!」

父親は床を這いながらリアンのところまで来た。

「パパが絶対助けるから死ぬな!死ぬんじゃないぞ!」

母親はリアンを庇って抱きしめたまま全身が痙攣をしていた。意識はほとんどないようであったが、それでも

「リアン!生きて!生きて!」

とつぶやいていた。

「パパ、ママ、痛いよ!痛いよ!」

リアンも数か所刺され、泣いていた。

父親はリアンの体を引きずって地下室へ入れ扉を閉めた。兵士たちが放った火は天井まで燃え広がり家中が火の海であった。

父親は母親の体を扉の上に置き、自分もその上に横たわった。

(リアン、パパが必ず守ってやるからな。)

(リアン、生きて、生きて、生きて)

炎に包まれた家が崩れ落ちてきた。


「私の家はあそこ・・・・きゃあああああ!」

ルルナは魔白鳥の上で悲鳴を上げた。ルルナの家は炎上していた。

「降りろ!」

グウィンは魔白鳥を着陸させ飛び降りた。

「誰かいるか!」

グウィンは燃え盛る炎に声をかけたが返事はなかった。

ルルナは家の前へフラフラと歩いていったが、力が抜けたように座り込んでしまった。その時上げしく燃えていた家が崩れ落ちた。

「パパ!ママ!リアン!いやああああああああ!死んじゃダメえええええ!」

ルルナは大声で泣き始めた。


「誰かいるぞ!」

そこへ3名の兵士がやってきた。兵士たちは剣で斬りかかってきた。

「これでも食らえ!」

グウィンは全力で兵士に駆け寄ると、相手の攻撃を避けてジャンプした。そして、長く鋭い剣のような爪を相手の眉間に思いっきり突き刺した。

一人の兵士が瞬殺され、残りの二人は用心し身構えた。

「何者だ!」

「素早いぞ!気をつけろ!」

その時、2人の兵士を見つめていたグウィンの目がピンク色に大きく光った。2人の兵士はくるりと方向を変えるとその場から去っていった。その後もグウィンは近づいてくる兵士たちに魅了の魔法をかけ同士討ちをさせていたが、兵士たちが村の中に分散しているので、思うように魅了が進まなかった。

グウィンがルルナの様子を伺うと、ルルナは笑い始めていた。

「うふふふ、そうよ、私だって死んだのよ。でも生きているわ。死んだって関係ないのよ。みんな生きてえええええええ!」

ルルナは黄泉の精霊シコメを召喚し、両手を地面につけて大声で叫ぶと、ルルナの手から青白い光が大地に広がり村全体を包み込んだ。それは一瞬の出来事だったが、それで十分だった。


ガタッ、ゴトッ、ガサッ、ガサッ


村のいたるところで不気味な音が聞こえ始めた。

「あそこにまだ生きている奴がいるぞ!」

「見逃すな、一人残らず殺せ!」

兵士が駆け寄り槍や剣で攻撃してもまったく効果がなくそのエルフは兵士に近づいてきた。

「なんだ?こいつは?!」

「し、死体だ!死体が動いている!!」

村では既に200人を超えるエルフが殺害されていた。その殺されたはずのエルフの死体が動き出し兵士たちに襲いかかってきた。いくら攻撃しても倒せない死体に兵士たちは恐怖した。

「逃げろ!」

兵士たちは村の出口めがけて逃げ始めた。すると出口に二人の牙狼族がいた。フドウとオイチであった。

「くらええええ!とおりゃああああ!」

「風の刃!風の刃!風の刃!風の刃!」

フドウとオイチの猛攻撃が開始された。そこへ200人を超える動く死体が押し寄せ、生き残っていた兵士たちも噛み殺されてしまった。動く死体はそのまま村の外へ出ていった。


村の周囲では警備隊長のもと50名の兵士が警戒をしていた。

「隊長!村から多数逃げ出しています。」

「いったい何をやっているのだ。村から出てきたやつらを一人も漏らすな!」

村の外にいた警備隊長は、村から出てきた多数の村人に攻撃を開始した。


その頃、グウィンは声を聴いた。

(パパ、ママ、痛いよ、痛いよ、助けて、ルルナお姉ちゃん、助けて)

グウィンはぴくぴく耳を動かすと声のする方向へ全力で走っていった。

「家の中に誰かいるぞ!」

ルルナの家はほとんどが焼け落ち、燃えカスがくすぶっていた。グウィンは声のする方へ走っていき扉を見つけた。

「ここだ!」

グウィンが扉を開けるとリアンがいた。

「生きている!生きているぞ!ルルナ!早く治療だ!」

グウィンはリアンを抱き上げ急いでルルナのもとに駆け寄ってきた。ルルナは急いで木の精霊「ククノチ」を召喚し、リアンに治療の魔法をかけ始めた。

「ルルナ!大丈夫か?その子は助かりそうか?」

グウィンは心配そうにリアンの顔を覗き込んでいた。

しばらくして、リアンがうっすらと目を開けた。

「リアン、リアン、大丈夫?」

「お、お、お姉ちゃん?お姉ちゃーん」

ルルナとリアンは抱き合って泣いた。


その時、グウィンの背後から声が聞こえた。

「あなた達は何者なの?」

グウィンが声のする方を見ると、アステルが弓を構えてグウィンたちを狙っていた。

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