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ユメ紡ぎコーヒ店  作者: 狼 悠里
6/8

奇妙なバイト業務 1

僕、神郷蓮は、バイトを始めて一週間経った。あの時は純粋に”心配かけさせて申し訳ない”とクロさんとコウさんに対し”優しくして貰った”という嬉しさ半分”心配かけてすみません”の謝罪の気持ちがあった。

だがしかし、働き始めてよーく分かった。

なにせクロさんは、休憩中はいつも黒狐に戻りお客さんが居ないと分かるやすぐに椅子の上に飛び乗り丸くなってスヤスヤと寝てしまう…

本来ならコーヒーカップを洗ったり、食材を買いに行ったり、掃除したり色々とする事があるだろうに…何もしない。何なら「あぁ人間さん、皿洗いとかしといてコウが言ってたからさ」だ。僕が何故クロさんの仕事をしなきゃいけないんだ!と言い返したい…ほんとにだらしないただの狐だ。そんなクロさんは休憩があけ仕事モードになると急に黒髪ストレートロングの高身長のお姉さんに変わる。まるでマジックでも見て居るんじゃないかと思うくらいに突然変わる。…意外と切り替えが早いんじゃないんだろうか?とさえ感じる。もう慣れたけど…

しかも、それはクロさんだけではない。

もう一人の店員さん、コウさんも人では無く本来は白狐だ。コウさんは肩口で切り揃えられた白髪の女性だ。…お気付きの方も居るかもしれないが、コウさんは、確かに僕が初めて店に来て初めて目に映った女性だが、あの頃とは容姿が違う。

髪が”黒”ではないんだ。しかも長くない…残念なことにあの時見たのは”クロ”さんに似せて容姿を変えた”コウ”さんだったのだ。


「コウさん。コウさんはなぜあの時白髪じゃなかったんですか?どうせ外すなら初めから付けなければ良かったんじゃ?」

「ん?あぁーあれはクロが私にイタズラをしたからよ。」

「イタズラ?」

「そう。クロが私の地毛白髪の上からウィッグって言うの?それを狐の力を使ってくっ付けたのよ!」

「あー…なるほど」


そう言いコウさんはクロさんの首を脇でロックして思い出した様にやり返した。クロさんは横目で「何聞いてんだ」と憎ましげに見ながら脱出しようともがいていた。

(いい気味です!コウさんを見習ってください)

と僕はクロさんを見返した。

正直クロさんよりバリバリ働けるのはコウさんだ!もはやコウさんの方がクロさんより最高である!

(まぁ、クロさんもコウさんも狐姿は可愛いし、人間姿も綺麗なんだけどね…あっコホンっ…今のはっ無かった事で…)


「さぁ、さぁ、仕事して下さい。クロさんお皿洗って下さい。」

「ちぇーむぅ。人間さんめー」

「あと、その人間さんやめて下さい。僕は、神郷蓮です。」

「はいはい、人間さん。分かりましたよー」

「ったく…」

「まぁまぁ、蓮。仕事しましょうよ。」

コウさんは、ともかくクロさんは、僕を未だに”人間さん”と呼ぶ。正直”人間さん”なんて呼ばれるのは何だか嫌だ。なんか種族呼ばわりされてる感じがして落ち着かない。だから何度か”名前で呼んで下さい”と言うのだがいつも呼んではくれない。

仕事中も”君”や”ちょっといいかい”ってよそよそしい呼び止め方をされる。この事をコウさんに言っても「まぁまぁ、仕方ないよ。大丈夫大丈夫」って受け流されてしまう。

何か理由があるのだろうが、今はまだ分からない。

そんな二人を見て居ると分かる。本当に二人は”通常”は仲が良いのだ。なんならいつもクロさんがコウさんにちょっかいをかけて遊んだりしている。だが、仕事モードになると二人は変化する。急に接触が少なくなる。必要最低限の内容しか話さないのだ。本当に不思議な人(狐)達だ。


まぁ、それは置いておいて、他の店員を紹介しよう。

まずは店長のクウさん。彼は空狐と呼ばれる狐だ。

黄色のもふもふした毛が特に綺麗な彼は、狐姿になるとこの店よりも大きいらしい。だから滅多に狐にはならないらしく、僕も人間姿しか見ては居ない。正直始めは人間かと思ったぐらいだ。

そんなクウさんの人間姿は、とても紳士的な老人だ。こう神々しい感じは、姿からなのか金髪だからなのか、空狐だからなのかよく分からないがすごくかっこいい人なのだ。

「なんだい?神郷くん?」

「あ、いえ、ははっ」


次にキッチン担当のテンさん。彼女は天狐と呼ばれる狐だ。コウさんとは違い銀色の綺麗な髪と毛並みが自慢らしく、毎回のようにコウさんと店長にクウさんに聞きに行っている。一度テンさんに聞いたら「これは私達にとって重要なの!」って言い切られてしまった。あまりの剣幕だったので流石に僕は押されてしまった。

そんなテンさんの人間姿は、とてもお上品な奥様みたいな貫禄がある。ま、本人の前では絶対に言えない。言ったらマズイ、マズすぎる…

…コホン。

まぁ、銀髪をお団子のように丸めて邪魔にならないようにし、仕事はテキパキとこなし、あのクロさんを軽く諭すだけで動かしてしまうのだ。これは貫禄があるに決まっているだろう?と僕は思う。


そして、今日は居ない僕と同じホール担当の二人。

オレンジ色の毛並みの狐姿の”キン”さんと”ギン”さん。なぜ二人を同時に紹介というと、二人は双子らしいのだ。今の所二人を見分けるのは、人間姿の場合しか僕には分からない。狐姿だってクロさん達は見分けれるらしいけど…今度見分け方を教えてもらおう。

とまあ、僕でも見分けれるポイントとしてキンさんとギンさんが敢えて作ってくれた違いがある。人間姿の二人は、オレンジの髪留めをしている方としていない方に分かれるのだ。

髪留めをしている方がキンさん。

髪留めをしていない方がギンさん。

因みにだが、おとなしいのがキンさんであり騒がしいのがギンさんでもある。

「む!ギン、蓮が暴言吐きそうな顔した!」

「キン、そんなわけないでしょ?考えすぎだよ。」


おかしいな、居ない筈なのに声が聞こえてくる…うわー寒気が…


とまぁ、そんな二人は僕よりもとても幼い姿をしている。が…ほんとは僕より数十年も年上なのだ。年齢を聞いたら遠回しに教えてもらえたがキンさんに記憶を”物理的”に消去されそうになった為あえて細かくは言わない。

神様に仕える狐というのは、ほんとよく分からないものだと思う。

以上がこの”カフェ ユメ紡ぎ”に働く人(狐)達だ。

ーもちろん、僕だけが人間である。

そんな話しをしていたら…もう休憩時間終了だ。


カラン、カラン


「いらっしゃいませ、ユメ紡ぎへようこそ。」

ようやくお客さん。笑顔を作り今日も元気に仕事再開である。

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