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ユメ紡ぎコーヒ店  作者: 狼 悠里
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青年と奇妙なバイトの始まり

入学式を終えようやく大学に慣れて来ただろうと思われる時期。土曜日、日曜日に限り僕”神郷蓮”は、朝から大学では無くカフェ”ユメ紡ぎ”に居る。

遊びでも通いでも無い。ようは、バイトみたいな感じだ。

あぁ、ちゃんと働いてますよ?

一応これでもこの店の店員さんですからね。ははは…

それでは僕がこの店の店員になるまでの話を致しましょう。


あの日、初めは犬。ごほんっ…もとい、狐を追って行った場所にあった、このカフェに現在僕は雇われて居る訳です。

あの日まさかの狐が人の姿になった事を、事実として受け入れられなかった僕は店の前で意識を失った。

その僕を運び込み介抱したのが、女性店員のクロさん。口は悪いし適当な人みたいな者。みたいなというのは間違いじゃない。何しろこの人、本来の姿は小さな黒狐なのだ。正直可愛い黒い犬と思って居ましたとも…中身はさて置き外見は間違い無いんだけどね。

見た現象は夢かと夢であってくれと思い、休憩室の硬いベッドで二度寝しても覚めたら目の前には椅子の上で丸くなる小さな黒狐が居た。そして僕が目を覚ました事を確認するや、いきなり人の姿になって詰め寄ってきた。

”夢ではなかった”

夢であったなら普通に”ごめんなさい!では”って逃げれましたとも…でもきっと逃げられ無いだろうなぁ…だって起きたばかりの僕に


『どうだ?変化に困らん日々を約束してやろう?ここで働くといい』


とまたもや、狐のクロさんが逃さないように膝にちょこんと乗って僕の膝の上から見上げ言って来たのだから…

見た目の可愛さにさすがに

「へ?な、なっ…」

って前と同じ反応しか出来ず、しどろもどろになる僕。ほんと、情けないよ…この時すぐに断れば良かった…

そして続けてクロさんは言った。


『ここはカフェ”ユメ紡ぎ”。この店で起きる事は”ユメ”そのもの。だから刺激溢れる人生を送ることが出来るんじゃよ?人間さん!』

「ユメ、そのもの?」

『そう。ここはユメの中。だから迷いや不安を持ち込む人間さんが来店される。その都度私達が”癒す”。それぞれのやり方で」


そう膝の上で、もふもふの尻尾を左右に振り耳をピクピクとさせながら言うクロさん。正直、クロさんの姿を見るだけで癒されるけれど…

ーー狐カフェなのかな?なんかそれなら癒しだな、完全に…

と言うかそれより謎がまだあるだろうがっ、僕よ…しっかりしろ?騙されちゃダメだ!それに

(ユメそのもの?癒し?なんのこっちゃ?)

うーんと、唸り状況を整理しようと黙考する僕。

返事はまだかと言いたげな興味津々のクロさんを必死に無視しながら考えをまとめようとする。


「クロさん?彼は起きました?」

『ん?コウか。うん、起きたよ、今説明中。」

ノックもなしに突如聞こえた聞き覚えのある声、すると今度は扉から真っ白な短髪の20代くらいの美女がやって来た。スーツ姿の彼女は清廉さを思わせる印象だった。しかし…どこかであったような?ん、なんか印象が…??あぁ…思い出せない…無念。


『あっコウ、ウィッグとっちゃったのかー…』

「当たり前じゃない、あれ重いし、やっぱり地毛で行くよ。こっちでも大丈夫よきっと。」


今度は膝の上で尻尾も耳もダル〜んと垂れ下がりしょげるクロさんを横目にコウさんが挨拶をしてくれた。

「人間さん。さっきぶりだね。ユメ紡ぎ店員の一人でコウだよ。よろしく」

「あ、はい。僕は神郷蓮です。…よろしくお願いします…?」


僕は挨拶の間にもコウさんの髪色に何故か違和感を感じじっと見つめる。

「あぁ、この髪かい?さっきはクロに黒髪がいいって押しきられてウィッグ付けてたんだよ。地毛は真っ白。…ついでに言うと私は白狐だよ。だから本来の姿は真っ白な狐」

「あ…はぁ…」

僕はまだ夢か?と勘違いをしたいくらいに混乱していた。

「それで?クロのお眼鏡に叶った彼は”うん”って言ってくれた?」

『はぁーそれがまだ、これからなんだ。コウ』

「なんの事…」


ふんっともふもふの胸を反らせてクロさんは”もう一度”聞いて来た。

『どうだ?変化に困らん日々を約束してやろう?ここで働くといい。まさか、断るわけないよな?人間さん』

諦めた、もしくは話がそれたと思ったのに…まだ言うか…

「あ、いや…急に働けと言われても…それになんで僕を?」

『なんで?あぁ、それは人間さん。君が私を追いかけて来たからだ。それに、私達を見ても聞いても普通に接してくれているからだよ』

「そう。私達を変な人、ましてや”神”関係の扱いしてこないからだよ。珍しいんだよ、狐を追いかける君も私達を普通に見てくれるのも」

「は、はぁ…なら僕を雇わない場合何かあるんですか?」

「それはクロや私達がこの店で働いている事に直結するんだけど青年は聞いても後悔しない?」

「え…後悔」


するような事なんですかっ!?

と大声を出しかけた僕を弾き飛ばす勢いでクロさんが口を挟んだ。

『彼は絶対に雇う!雇わない選択肢は無い!!』

「何を勝手に…僕の意見は?」

『無い!聞かん!もう充分に時間は与えたし』

「充分って彼は起きたばかりじゃない?」

『ふんっ』

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