表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

籠の鳥

どうやらぼくは疲れて寝てしまったようだ。白い部屋なんて夢だといいな。そんなことを思いながら目を開ける。真っ白だった。まあ、そうだよね。


辺りを見回してみると部屋の端に何かあるのを見つけた。


やった!何かある!


急いで近づいてみる。そこには、白く細長いものが壁から伸びていた。それと、近くには白い便器があった。


いつの間にこんなものが。それにどうやって。というかこれ、トイレなのかな。でも仕切りはないんだ。まあ、誰もいないからいいんだけど。細長いのは何かな。


白く細長いものに手を近づけてみる。すると先から水が出てきた。落ちた水は、床の隙間に吸い込まれていく。


水だ。丁度喉が渇いてたんだよね。でも、その前にトイレ我慢してたから済ませてしまおう。


トイレを済ませると水は自動的に流れた。


次に細長い管に口を近づけて水を飲んだ。


冷たくておいしい。


ぼくはしばらくの間、水を飲んでいた。


生き返ったー。


水を飲むことができて、一息つくことができた。

後から考えれば少しは警戒するべきだったんだろうけど、その時のぼくはそんなこと考えもしなかった。


さて、水が飲めるようになったので一安心。トイレもあるし、これでしばらくは大丈夫かな。あとは食べ物。


そう思っていると、少し離れたところから音がした。何か上から落ちてきたみたいだ。


音のした方に近寄ってみる。けれど、何も見当たらない。


もしかして、落ちてきたものも白いのでは。そう思ってしばらく床を探してみる。


10分ほど探すと、白い固形のものを4つ見つける。近くで見るとどうやらキットカットのような感じのものみたいだ。


もしかして、これが食べ物?


匂いを嗅いでみるが、匂いはない。舐めてみる。味はない。


・・・これは食べ物なのか?


よくわからなかったので、ぼくは白いそれを服のポケットに入れておくことにした。


ぼくは嬉しくなった。色んなものが手に入ったから。

ありがとう。これをくれた人。


ぼくは感謝していた。




何もすることがなさすぎて、暇を持て余していた。誰もこない。でも、ぼくを生かすつもりはあるみたい。今頃、お母さんとお父さんは心配してるだろうな。ほんと、なんで誘拐されたのかよくわからない。


そんな風にしばらくは家族のことを考えていた。その後は、なんで誘拐されたのかをひたすらに考えていた。


なんでぼくだったんだろう。子供が好きな変態の大人だったから?でもそれにしては、1度も姿を見てない。そもそもここはどこなんだろう。それにこの白い部屋はなんなんだろう。ぼくを誘拐するためにこんな手の込んだ部屋を作ったのかな。


考えても仕方のない考えが頭を駆け巡る。しばらくすると、さっきまでの嬉しかった気分が嘘のようにまた不安になってきた。


「あー」


大声で叫んでみる。返事などない。


「あー。あー。あー」


叫び続ける。返事はないのに。


そうして時間は経った。


お腹すいた。さっきの白いやつ食べてみようかな。


ポケットから白い固形のものを取り出して、食べてみる。


味はない。けど、食感はカロリーメイトのような感じだ。一応食べ物なのだろう。・・・たぶん。


4本食べ終えると、お腹が膨れたからか眠くなってきた。眩しいのでうつ伏せになって腕を組んで寝ることにした。


そうして、その日は終わった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ