白の箱
ここはどこだろう。目を開けると白い光が飛び込んできた。辺りを見回す。周り一面が真っ白だった。音は一切ない。ぼくは学校から家に帰る途中だったはず。何でこんなところにいるんだろ。
立ち上がって歩き回ってみる。少し歩くと壁にぶつかった。そのまま壁伝いに歩いてみる。そして分かったのは、ここは部屋だということ。ドアらしきものはなく、この部屋には物が一切ない。
「誰かいませんかー」
叫んでみた。特に反応はない。
うん。どうやら閉じ込められたみたいだ。
さて、どうしようか。
ぼくは少し動揺していたけれど、意外と落ち着いていた。
とりあえず壁沿いに歩いて、壁を叩いていく。案外壁に薄くなってるところがあるかもしれない。閉じ込められたということは、入り口があるはずなのだから。
結果から言うとそんな所はなかった。どこを叩いても鈍い音が帰ってくるだけ。
ずっと叩いていたせいで、手が痛い。
これはもうどうしようもないかな。
不貞腐れて、床に仰向けに寝っ転がった。
これは本格的にまずいかもしれない。食べ物も飲み物もないし。というか、なんでこんな場所に閉じ込められたんだろう。誘拐?それならなんでこんな部屋に閉じ込めてるんだろ。
今更ながら、自分の持ち物を見てみる。帰りに背負っていたランドセルはなくなっている。今着ているものは、白いワンピースみたいなものと白いパンツ。それだけ。
うん。脱出に使えそうなものは一切ないね。
脱出の方法について考えてみるが、出口がない時点で出ようがないので、早々に諦めた。
暇だ。
何もない真っ白な部屋に閉じ込められてからしばらく経った、気がする。時計がないのでどれだけ経ったのか全くわからないのだ。
あまりにも暇すぎるので、辺りを歩き回ってみる。
見事に何もない。とにかく白い。というか眩しい。どうやら上に照明があるようだが、天井が高くてよくわからない。
「誰かー。誰かいませんかー」
叫んでみる。
「誰か。助けて」
返事はない。
心細くなってきた。不安になってきた。
「誰か、返事してよ・・・」
その叫びは誰にも届かない。
こうして少年の日々は始まった。