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ブラインドソード(盲目の剣)  作者: 雛月いお
手にしたものは
26/29

昨日の敵は今日の友

会話かなり多めです。

「おおっ、やっと来たねツバキ!」


「ごめんヒイロ、だいぶ遅れちゃった」


「もうどっちのギルドも皆来てるよ。あ、ユキちゃんも一緒なんだね!」


「遅れてごめんなさい、柊さん」


「敬語もいらないし呼び捨てでいいよ、仲良くいこー!」


「テンション高いねヒイロ」


「あったりまえよぅ!親友の目標が達成されたらそりゃ喜ぶでしょーが!」


「バっ、本人の目の前でそういうこと言う!?」


「良かったねユキちゃん!」


「んん??」


話の流れが全く分からないが、照れ隠しをしている春香が可愛いのでそれだけで良しとしよう。

今私は、春香ことツバキの所属ギルド『ソウルプランツ』の拠点に来ている。私だけではなく、ベルセルクのメンバーも、もちろんソウルプランツのメンバーも、その全員がここに集まっている。白を基調とした西洋風の屋敷で、庭には無数の植物が植えられており非常に心安らぐところだ。


「よっし、全員揃ったし、そろそろ打ち上げ始めますかぁ!」


ソウルプランツの体格の良い青年がそう言うと、この場にいる全員が会話を止めて会場は静寂に包まれる。結婚式会場のように模様替えされた会場には既に参加者と数多くの料理が並べられている。柊さんの言った通り、私とツバキはかなりの遅刻だったようだ。料理が冷めるというシステムが無いことがせめてもの救いか。


今青年の言った通り、今から先日行われた対抗戦の最終試合の打ち上げががここで行われようとしている。


当初ベルセルクだけでお疲れ様でした会を開く予定だったはずが、私たちの勝利を称賛してくれたソウルプランツ側から一緒に打ち上げをしないかという誘いがあり、今こうして二つのギルドが集っているのだ。ついこの間目では敵同士だったのだが、互いが互いの強さを称え合うことでもうすっかり笑顔で会話できる間柄になっているメンバーも見受けられる。


私とツバキがテーブルに着くと、皆が一斉に飲み物が入ったコップを持ち始めた。


「そんじゃ、激闘を繰り広げた俺たちにぃ.......乾杯!!!」


そして会場にガラスのぶつかり合う音が何度も響いた。


「冬.......ユキ、乾杯!」


「うん、乾杯!」




ーーーーーーー






ソウルプランツのメンバーは皆、春香は椿、柊さんは柊といったように、植物の名前をプレイヤーネームにしているらしい。それと関係があるのかは知らないが、打ち上げに出せれている料理の、野菜の使用率が中々に高いような気がする。我が家は家族揃って野菜好きなおかげで橋が止まらない。

にしてもこの葉物の野菜を塩だけで和えたサラダが絶妙な塩加減で非常に美味しい。


「その嬢さんはツバキの知り合いかい?よく食べるねぇ」


「姉妹なんだ、双子の。カスミの料理が気に入ったみたいで」


「そりゃあ良かったよ。うまそうに食べてもらえれば野菜たちも幸せだろうさ」


「ゲームなのに野菜想いだねーほんと」






ーーーーーー







会場の一角で、試合の勝敗を決めたカラスをひたすら褒める会が開かれていた。


「だよねぇ。あの爆破スキルって習得条件かなり難しくなかったっけ?そうじゃなきゃあんな威力は出せないはずだし」


「昔と比べたら今は運営が余計に習得しづらくしてるんで難しいっすよ」


「あの爆破が勝敗を決めたっつっても過言じゃねぇな」


「いやいや、あれはメンバー全員の判断っすよ、少なくとも俺の独断じゃねぇっす。全員が状況を理解した上でやるべきことが合致してなければ、ユキは最上階に辿り付く前にやられてたっすよ」


「なるほどなー。俺らは確かに個々の技量は勝ってたかもしれないが、チームワークは劣ってたってことかー」


「ベルセルクは変わった奴等の集まりっすけど、逆に変わりすぎてるからこそそいつが何をしたいのかが分かりやすいんすよね」


「それって私たちのことを褒めてますの?それとも貶してますの?」


「両方」





ーーーーーーー






別の一角では反省会が行われていた。



「チア子どしたん?なんや元気ないように見えたで」


「あ、杏子さん......あのそのー、なんと言うか....」


「自分はこのギルドに必要なのかな、って考えてるでしょ」


「なんやマメ子!チア子がそないなこと考えてるわけ.....」


「.......大体その通りです」


「なっ!?」


「私、お姉さんに誘われてベルセルクに参加しました。回復支援役として皆さん歓迎して下さいましたけど、私の実力が足りないことが対抗戦で身に染みたんです。支援役だから私は戦えない、だから守ってもらう。でも守ってもらえなければすぐゲームオーバーだなんて、なんだか情けないなって」


「チア子.....」


「.....実は僕もちょっと凹んでてさ。この前の試合で、やっぱり僕も実力不足なんだって感じた。.........チアちゃんさ、ギルドって何のためにあると思う?」


「えっ、.....うーん、プレイヤー同士のコミュニケーションのため?」


「それだけかな。僕はね、プレイヤー同士が共に競い合って成長するためにあるんだと思ってるよ。例えば対抗戦だったら、その試合でどれだけ活躍できたかとかさ、そういうことを他のメンバーと競い合っていけるでしょ」


「せやで!最近はユキ子が活躍しとるけど、チア子はユキ子に負けへんでぇ!って気持ちで頑張って、いつかチア子がおれへんかったら勝てへんかったって他のヤツらから言わせればええよ!」


「二人とも....私、お姉さんに負けないくらい頑張ってみようと思います!」


「その意気や!」


「うんうん」






ーーーーーーー






一通り料理も食べ尽し、ツバキや柊さんとの会話が盛り上がってきたところで、興味深い話題が上がった。


「そういえば討伐系の新クエストが実装されるってね、しかも難易度が段違いのやつ」


「なにそれ、初めて聞いた」


「ユキちゃんまだ知らないんだね、まぁ発表されたの昨日だし仕方ないかぁ」


ツバキを含めたソウルプランツのメンバー全員が既にこの情報を知っているらしく、聞き返したのはベルセルクだけだった。


強敵と聞けば燃えるのがベルセルクだ。私も例に漏れず話に食いついて行く。


「なにそれ!絶対楽しいじゃん!」


「おお流石ユキ、話して良かった」


「実は私とツバキで、ベルセルクとソウルプランツの混合チームで挑めないかって考えてるんだ!よかったらどう?」


「是非!人数上限は?強い敵ならもしかして四人以上とか?」


「残念ながらいつも通り四人なんだよねー。まぁそこも含めて高難易度なんじゃないかな」


「むぅそうかぁ」


しかし良い企画だ。私もこの世界で春香がどんな戦い方をしているかとても興味がある。

参加人数は四人だったな。ツバキに柊さん、私と、それからあと一人。


それは既に決まっているではないか。



「チア呼んでくる!!」










「ユキちゃん、即決だったね」


「チアちゃん、だっけ。ユキにとって良い友達だといいな」


「あれぇ?なんか寂しそうじゃーん?むふふふ」


「う、うっさい!」

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