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始まりの決意
引かれたテープの網。
血に塗れた薄暗い室内。
その床に力無く横たわる、痛ましい二つの亡骸。
「まぁた"ハーフ狩り"ですって」
そして間延びした部下の声に、眉が不機嫌に歪む。
ハーフ狩り。そう呼ばれる事件の現場に立つのは、この短期間で何度目か。数えるのも嫌になる。
ただ、今までと違う事が一つ。
「ま、未遂に終わったのはレアっすよねえ」
視線が窓越しの外へと向く。
そこにいたのは、気を失い担架で運ばれた少年である。
「情報聞けますかね?」
「……そうであればいいな」
本当にそう思う。
この血腥い連鎖に終止符を打つ、一つの要因にでもなってくれればいい。
部下の声に答え、身を翻す。
部屋中に散らばる、抵抗の跡を横目に。
二人の決死の思いを無駄にしない、あの命を守ると、亡骸に誓って。