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幼馴染みは爆死するのが定め  作者: 明日今日
第二章 対策
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道具は使いよう

 あたしが校庭に行くと薙澤と田中が空き瓶と消火器を用意して待っていた。勿論、二人だけでなく他にも生徒たちが多数いる。

 手に持った燃料と背中に背負った生理用品と布テープが重い。やりたくないけど仕方ないか。


「いい? あくまで化け物たちに使うのであって生きてる人に使ったら殺すからね」


「使わないわよ。犯罪なんだし」


 お嬢様で育ちが良くてもっとも犯罪と縁遠そうな薙澤が言ってもあんまり説得力がない。人は低きに流れるのだから。

 過程は面倒なので以下省略。

 ギャラリーたちの前で火炎瓶作ってみせる。


「それは役に立つのかしら?」


 薙澤が聞くのであたしはギャラリーを連れて校門の方まで歩いて行く。実際にレウケたちに向けて使ってしまった方が早いだろう。

 誰かが見張り用に持ってきていたのか机と椅子を使って門の外が見える机の上に立つ。


「見える?」


 首を振った田中がワゴン車に乗り込む。そしてエンジンをかけてワゴン車を動かして一時的に校門の外が見えるようにした。レウケさんたちが殺到してるのであんまりいい気分じゃないけどサッサと実験してワゴン車を元の位置に戻そう。

 ギャラリーが次へ行くのを期待してるのでジッポライターを取り出して火炎瓶に火を点ける。そしてそれを門の外のレウケに向けてちょっと遠目に投げた。

 拍子抜けするくらいアッサリとレウケたちに燃え移り、奴らを燃やしていく。人だった存在の焼ける臭いが辺りに充満する。

 うえぇ、臭い最悪。

 あたしは思わず机から飛び降りて鼻を押さえる。

 だがギャラリーたちはその様を歓喜の様子で眺めていた。貴方たちは恐怖のせいで嗅覚が死んでるの?

 レウケ化した人間だった物はこんがりと焦げた塊に変わった。


「ありがとう。大地さん、感謝するわ」


 薙澤はあたしの手を両手で握りしめて感謝の気持ちを表してるのだろうが名前で呼びやがった。逆効果だよ。


「遺体を持ってきて門の外で早く燃やしちゃいましょう」


 あたしに一礼して薙澤はギャラリーたちに指示して自分でも火炎瓶を作り始めた。田中だけが冷静なのか、ワゴン車を門の前に戻してバリケードを直した。

 この場に居た者は相当ビビッてたのか、過剰な本数を作っている。やっぱり余計な事を教えた気がした。口は禍の元である。

 あたしの持ってきていた材料を勝手に使ってるし、全部持ってこなくて良かったよ。


「じゃあ、あたしはもう行くから。間違って自分を燃やしたりしたら駄目だからね」


 もう一度、警告するが礼を言う声しか返ってこない。本当に分かってるのかな。

 頭を抱えたくなったのでこの場を去った。



 校庭から出ようとした時に今度は和泉が現れた。


「酷い臭いですね」


 不快そうな表情で鼻を抑えている。どうやら、あっちが麻痺してる認識で間違いはなかったみたい。


「匂い消しが欲しいよ」


 ありますよと和泉が答える。


「出来れば貸して欲しい」


「代わりにお願いがあるのですが……タンポンを幾つか譲って頂けないでしょうか」


 後半に行くにしたがって声が小さくなっていく。こんな事をでかい声で言う奴が居たら見てみたいけど。

 交換ならいいよと返すと和泉は頭を下げて感謝を表す。顔を上げると彼女は涙目だった。予め買っておこうよ。さすがに口にはしないけどこの子は変な所でルーズなんだろうか。どうして人気者なのかよく分からん。


「とりあえず、後でアーチェリー部に来てくれる?」


 その返事を聞いてからあたしはアーチェリー部へと向かった。

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