ボーナスポイントの秘密
◇◇◇◇◇
「ええと……なに? モットモローもしかして毒? 食べちゃいけない?」
あまりの皆の驚きように、俺は自分の体が不安になってくるが、それはエルフの子、ミリアムが解決してくれた……
「モットモローというのは、終焉の森にし生えていない非常に高価な物でして、古い本にしかその存在を明らかにしていないのです。
確か、食べると基礎能力が上がると言われています」
……が、ミリアムの言葉は、俺にさらなる疑問を増やす。
「BPが100増えるんだろ?」
「え、ボーナス……え?」
こっちが、え? だよ。
ミリアムも固まるってどういう事だ?
周りを見渡すと、ミリアムだけじゃない、みんなも知らないようだ。
俺は、このちっぽけな頭じゃ無理だと、スキル【思考加速level10】【思考分割level10】を使う。
様々な予想を考え、その数否定し、また生み出し、否定した。
BPが使えないなら、どうやって能力を上げる? いや、少しは上がるようだが、それじゃ足りないだろう。
それにスキル、これはBPを使わないと取れない。もしかしたら、この動作が自動的に行われるのか?
だったら何故俺はそれに当てはまらない? 異世界人だから? 異世界人特有のスキル? ……それはある。俺に最初からあったスキルは、今考えればステータス操作だった。
「お、お兄さん? 大丈夫かニャ?」
「……………ステータス操作ってスキル知ってるか?」
案の定、みんなは知らなかった。
そこで俺は数ある思考の中に、1つの可能性を考えつく。
ステータス操作って、自分以外にできるんじゃね? と。
「だったらケアリー、ちょっとこっち来てくれ」
「ん? 何するんだニャ?」
「急で悪いがステータスを見るけど、問題ないか?」
「ニャ? ステータスは神殿じゃないと……いや、分かったニャ」
「サンキュ、……【ステータス操作】」
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名前 ケアリー
年齢 本人拒否
性別 女
称号 なかなかの狩人
level 11
HP 400/400
MP 10/10
ATX 200
AGL 400
DEF 200
INT 30
LUK 80
BP 120
スキル 【忍び足level4】【弓術level3】【短刀術level3】【解体level3】
ユニークスキル 【癒し耳】
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おおぅ……なんですのこれ、最初の俺より絶対強い。level差が関係してるのか? 正直分からん。
それにBPも余ってる。意味わからん。予想するなら気まぐれってことか?
だけど、これでケアリーのスキルを……オーケー取れる。
ーーーしかし、どこにもステータス操作が無い。
一応は予想していた。でも代わりにこんなのがある。
【呪いにも似た何か】生まれつき、BPが自動振り分けされない。
……名前を考えれよ。
いや、それよりこれで俺の予想は当たっていた。BPは自動振り分けが普通。
つまりこれを取れば、ケアリーはlevelアップしても、ちょびっとの恩恵しか得られない。
だが、それでいい。
今ここには俺がいる。ステータス操作を出来る俺がいる。
「お、お兄さ〜ん? さっきからブツブツ言って、このままじゃ変人を否定出来ないニャ」
「あ、悪い悪い」
「気をつけてニャ、仮にもお兄さんを『いえ……他人です』呼ばわりしたくないからニャ。
……それで、一体何してるんだニャ?」
どうやら、ケアリーには俺が見えているステータスが見えないらしい。
「ま、色々だよ」
「?」
これで検証成功。
早速皆さんにも【呪いにも似た何か】を取らせた。BPが100ポイント、みんなギリギリあったので良かった。
そして、最後に狐耳のリアンの番となった。
「…………」
や、やりづらい。
「あ、あの、ステータス見ることになるけどいいかな? 」
「……問題ない。私は本来奴隷。聞く必要性すらない」
「さ、さいですか……」
やっぱりやりづらいと思いながら、俺はリアンにも【呪いにも似た何か】を取る。
そして、リアンから離れようとした時、声をかけられた。
「何も言わないの?」
「え?」
「私の称号を見て、何も思わなかったの?」
称号……確か忌み子ってのがあったような……もしかしてそれを聞いてるのか?
「別に称号くらいなんでもいいだろ」
「……そう」
リアンはそれから何も言わずに、じっと下を見ていた。
やっぱりこの子やりづらいと思いながら、次の課題を解決するべく、ミリアムの所に戻った。
◆◆後書き◆◆
これから、詳しいステータスを見ることはほとんどないと思います。
もしかしたら、どこかおかしい所があるかもしれないので、そこは遠慮なく言ってください。