世界は運でまわってる
馬車の中を見ると、なんと6人とも女の子だった。
しかも5人とも可愛いと思う。
1人は……まぁ幼女だし。
あの奴隷商人この6人を見てニヤニヤしてたかと思うと、死体を蹴り飛ばしたくなる。
……俺って結構最低だな。
「「「……」」」
向こうからは何も言わない。
……そっか、俺今とても不気味なのかな?
黒髪黒目というのは多分珍しいんだろう。(この6人を見てそう思う)
「あ、あのぅ〜」
しばらく自分について考察していると、猫耳の女の子が喋りかけてきた。
「お兄さんは誰かニャ?」
「なっ!!
か…かわいい……」
「ニャッ!?」
「いや、語尾に、にゃって可愛いよなぁ。
とってつけたような感じだけど、やっぱ可愛い」
「何を言ってるか分からないニャ……」
「な、はにゃにならないのか……
語尾にだけにゃがつくんだな」
「お兄さん……こっちの質問にも答えてほしいニャ。
せめて名前とか……」
「俺の名前?
俺は有栖……うん、アリスだ。
俺の名前はアリスだ。」
「女の子みたいな名前だニャ」
「まあ……それは置いといて、
え〜と……何から言えばいいのかな……」
常識を教えてください?
いや、ここは……
解放されたいか?
とかなんとかで好感度あげる。
……解放とか方法知らないや。
う〜ん……
「だったらこっちも自己紹介するニャ。
私の名前はケアリーだニャ」
猫耳改めケアリーが自己紹介をして、次に隣にいるじと目の(恐らく)狐耳の女の子 に促す。
「…………リアン」
……なんだろう、これが普通なのかな?
俺にだけこの態度なのかな(泣)
「私はミリアムといいます」
次にエルフ(多分)の子がそう言った。
「エルフ……だよね?
初めて見たよ」
「……アリスさんは、
良い人ですか?
悪い人ですか?」
ミリアムから変な質問を言われた。
「ん……自分の事を良い人とは思ったことはないけど……これからミリアムが決めればいい」
大体そのどちらかで分けれる人なんてなかなかいないだろう。
ミリアムは俺の言葉を聞き、少し考えてから言った。
「そうですね。
……そうします」
よし、じゃあ次は……
「わ、私は……カ、カナといいます」
「私はナディアよ。
カナに手を出したら絶対に許さないから」
身体的特徴がない(普通に人かな?)1人は気の弱そうな子、1人は逆に気の強そうな子が自己紹介してきた。
「手を出すとか、そんな事しないから安心してよ。
ーーーで、最後は……」
「パ……」
「パ?」
「パ…パ……パパー!」
「ちょっ、ええ!?」
なんかすごいこと言いながら犬耳の女の子が飛びついてきた。
「パパァ」
「パパって……何で?」
よく分からないので聞いてみると、犬耳の女の子が悲しそうに言った。
「パパ……だめ?」
パパ……ねぇ
ここで本当のパパはどうしたんだよ?
って聞くと、
パパ……死んじゃった
ってきそうなんだよなぁ。
ーーー俺は犬耳の女の子を抱き抱えた。
「いいぞ、今日から俺はお前のパパだ。
え〜と……」
「ネルだよ、パパ!」
「そうか、よろしくなネル」
ま、嬉しそうだからいいかな。
「これで自己紹介はすんだニャ。
で、お兄さんは何者なんだニャ?」
きた、この質問……なんて言おうか?
「……ケアリーは俺のこと信用できるか?」
「ん〜ムリかニャ。
お兄さん見たことない服に髪に目、
それにとんでもない強さだニャ」
「強いってどうして?」
「私は耳がいいニャ。
さっきまでたくさんの森ゴブリンの足音があったんだけどニャ、
もうなんの音もしないニャ」
なるほど……耳か。
「得体のしれないお兄さんだニャ。
簡単には信用できないニャ」
「そっか……よし分かった」
「?」
何を言おうか迷ったが、これじゃあこっちも嘘はつけないな。
(ネルは、パパ信用できるー!! って言ってくれてるしな)
「まずどこから来たかなんだが……気付いたらあの森にいたんだよ。
そして今日森を出れて、君達が居たというわけだな」
俺の、森という言葉に全員が驚いた。
「森って……終焉の森かニャ?」
「終焉の森?」
「お兄さんしらないのかニャ?
みんなが知ってる常識だニャ」
「ま、まぁそう言わず教えてくれよ」
「はぁ……いいかニャ?
終焉の森っていうのはだニャーーー」
〜〜〜〜〜
「ーーーつまり、奴隷商人にバカがいて、
近道だ〜〜
って行ったら案の定、終焉の森とかいう恐ろしい森の魔物に襲われたってことか?」
「そうだニャ……って、ここにいるのは危険だニャ!」
「魔物か?
だったら大丈夫だって」
「お兄さんは知らないかもしれないけどニャ、あれは森ゴブリンっていって終焉の森最弱の魔物なんだニャ。
もし……」
「だから大丈夫だって。
あの森にいたって言っただろ?
あそこの強さは俺がよく知っている」
本当は運良く1体も出会わなかったんだけどな。
俺の強さなら大丈夫だろう。
「さっきの話……本当だったのかニャ?」
「本当だって。
それにもし俺より強い魔物が出てきても、お前らだけは逃すから安心しろって」
「……して……」
すると急にリアンが喋った。
「ん?」
「……どうして?
どうしてここまでするの?」
「どうして私達を助けてくれるのかって事か?」
「そう、命を懸けてまで私達を助けて、何かあなたに得でもあるの?」
「まあ、俺には知らないことがいっぱいあるから、色々と常識を教えて欲しいとは思ってるな。
それと、どうして?
なんてあんまり深く考えるなよ。
どうして助かるなんて、そんなもんきっとーーー」
そこで一呼吸おく。
そして俺は言った。
「お前らの運が良かったからじゃねえの?」