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テンプレはテンプレ

朝が明けた。

……よし、森を出よう。

持っていくものはあの果物だけでいい。

あの後気になって【鑑定】で調べてみたらかなりいいものかもしれないと思ったからだ。


ーーーーー

モットモロー: BPを100増やす

ーーーーー


略してモモだな。

俺にはもういらないが、美味しかったし後々役に立つかもと思い、

このモモをありったけ【アイテムボックス】に入れて、自分が破壊した森とは反対方向に突き進み森から出ることにした。

〜〜〜〜〜


歩く……歩く……歩く……

きりがない……

走る……走る……走る……

きりがない……


「……終わりが見えない」


一時的にAGLを、10倍の50万にして走るが終わりが見えない。

どれだけ広いんだよこの森……

〜〜〜〜〜

「結局どこまでも続いているなぁ。

魔法使ってみたいけど、やり方分からないし。」


……はぁ、俺が異世界に来てやってみたいランキングがまだ1つも達成されてない。


まずは冒険者ギルドには入りたい……あるのかな?

次に魔法を使ってみたい……誰に教わろう?

ハーレムはランキングの下の方だな……正直どうでもいい。

まぁ、男ばかりっていうのも嫌だけどな。

むさ苦しそうだ。

〜〜〜〜〜

【空歩】で空中を走っていると、木々がなくなり土が見えた。


「ーーーおっ!

……終わりか? ついに終わりか?」


良かった!

もしかしたらこの世界は、森だけかもしれないと少し思っていたところだ。

異世界だから、何が起こっても不思議ではない。


「いやぁー良かった。

……ん? ……早速人の気配が?」


俺はAGLを5万に戻して、念の為【隠密】を使って気配のする方向に近づいた。

〜〜〜〜〜

ーーー状況判断って大事だよね。

【遠視】を使って【鑑定】を使う。

まずは馬車と、その周りにいる奴らが魔物に襲われている。(これって貴族助けるパターンじゃね?)

その魔物の名前は森ゴブリン、

レベルは100程度、

能力は平均2000程度、

数は5体。

襲われている奴らは、

鎧を身にまとった3人……2人はもう殺られている…… あ、もう1人殺られた。

そして大人2人と、

馬車の中に子供6人の気配(あれ? 貴族じゃないのか?)

【鑑定】で調べると大人2人は奴隷商人だった。


「……ふ〜ん、そっちのテンプレだったか。さて、奴隷商人が死んだら子供達を助けてやるかな」


別に正義感に溢れてるわけじゃないしな。

わざわざ奴隷商人まで助けることはない。

個人的に奴隷商人に好印象は抱けない……ごめんな奴隷商人、俺の偏見で。

……子供達を見捨てるのは……少し心苦しいかな。

〜〜〜〜〜

【隠密】を使って出来るだけ近くに行く。


『くっくそ!!』

グシャッ


『やっ、やめ……』

ドチャ


「グッギャギャギャ!」

「グギャアアァァ!!」


奴隷商人2人が殺られた……行くか。

ーーーまず、1番近くにいるゴブリンのところに行く。


「グギャギャ…ギャ……」

プシューー


ゴブリンが持っていたボロボロの刀を奪い、そのまま首を切る。

【剣術】のせいか面白いほど体が動く。

意識さなくても体か覚えている感じだ。

俺は1体を切った後、2体・3体と続けざまに切っていく。

4体目と5体目のゴブリンが馬車を壊して中に入ろうとしていたので、一直線上に並ぶよう移動して【投擲】を使い、手元の剣を投げてゴブリンの首をはねた。

……殲滅終了。


「……ふぅ、別になんとも思わなかったな。」

同じ人間の、そしてゴブリンの死体を見てもなんとも思わない。

嫌な気分にはなるが、それだけだった。


「精神的に強い方だったのかな?

ーーーさて、ご対面といこうかね。」


絶対奴隷だろうし、この世界の常識とか教えてもらおう。

◇◇◇◇◇ーアリシアsideー

「や、やべーぞ!

森ゴブリンが、で…でやがった……」

「くそっ、だから俺は言ったんだ!!

ここに近づかないほうがいいって!!」

「もうダメだ…逃げられやしねぇよ」


外で、奴隷商人と護衛が言い争っている。

どうやら終焉の森から、森ゴブリンが出たらしい。

こんな近くを通るからだと思う。

近道だとか、そんな事がどうでもいいほど終焉の森は危険だと知らなかったようだ。


『くっくそ!!』

『やっ、やめ……』


ああ、死んだみたいだ。

次は私たちの番なんだろうか?

ーーー嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。

死ぬだけならまだいい。

でもゴブリンという生き物は、人型で女性の生き物を、きっとある目的に使う。

そんなの耐えられない。

絶対に嫌だ。


「うっ…うっ……いや…」

「大丈夫、大丈夫よカナ」

人族の1人が、泣きじゃくるもう1人の友達らしい人族をなだめる。


……人族は不思議だ。

こんな風に助け合ったりすれば、さっきの奴隷商人みたいに人族同士で争ったり……

母が言っていた。


『人族には良い人と、悪い人がいる。

私たちもそうだけど、人族はもっと極端なのよ。』


という事は、どうやら私は悪い人族と出会ってしまったらしい。

無理矢理奴隷にされてしまったのだから。


バキバキッ


「ひいぃっ!?」

「カ…カナ……」


馬車の中に入ろうとしてきたのか、森ゴブリンが馬車を壊してきた。

一気に壊さず、まるで私たちの反応を楽しむように……


「う……うぅ……」


犬人族の小さい女の子がさっきから泣いていたが、今はただ怯えるだけ。

私が魔法を使える状況だったら、まだこの子1人助けれたかもしれない……でもこのまま何もできない。

どうする事も出来ない。


「……」


いつも無表情だった狐人族のラティーシャも、今は少し怯えているような気がする。


「っ……」


いつもみんなに喋りかけていた明るい性格の猫人族のリリーは、悔しそうに森ゴブリンを見ている。

それを感じたのか、さらに森ゴブリンの顔がニターっとなる。

しかし、その顔がすぐに崩れ去ることとなった。


「ギャャァァーーッ!?」

「ギュッ!?」


何かが森ゴブリンを通り過ぎたと思ったら、森ゴブリンの首がポロリと落ちたのだ。


「「「……」」」


みんなが唖然としていると、しばらくして見慣れない服装と、見慣れない黒色の髪と目をした男がやってきて言った。


「ーーーおっ、こいつは運がいい。

むさ苦しい展開は避けられたみたいだ。」


……この人は良い人なのだろうか?

悪い人なのだろうか?

それはまだ、私には分からない……

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