異世界と言ったらやっぱり森!?
「ん……んん?
ーーーあれ、俺は……」
確か……家に帰ってて、
それで……なんかグニャッってなって……うん、自分でも何言ってるか分からない。
でも……ゆがんだ……確かにゆがんだ。
そして今のこの状況、まさか……
「……異世界?」
いやいや待て待て、俺が今こんなこと言って
テッテレーードッキリでした!!
なんてなったら最悪だ。
間違いなく俺に明るい生活は望めない。
次の日から痛い子任命だ。
「……でもなぁ、これは流石に……
ちょっとなぁ……」
周りは見渡す限り木ばっか……
いやぁ緑豊かでいいことだよ、温暖化対策かな?
……はぁ、現実逃避はやめにしよう。
俺いつも思ってたじゃん。
ファンタジー物の主人公に、
『そこは異世界なんだからあたふたすんなよ。
早く現実を見ろよ、魔物来るぞ。』
的なこと。
だったら、俺がぐちぐち言ってどうするんだよ!
ーーーよし! 今からここは異世界と判断する!
そして、もし本当にここがそうだとすれば、色々と動かなきゃすぐに死んでしまうだろう。
まず食料面、そして外敵。
餓死してゲームオーバー。
魔物とかに殺されてゲームオーバー。
ああ、奴隷になってゲームオーバーという可能性もあるし、問題は山積みだ。
それにしても……
「ここが異世界…だとすると、2度と家族に会えない。
気楽に喋っていた友達と会えない。
そう思った方がいいだろうな……」
それはつまり……
「俺、運が良かったんだなあ。」
家族に会えないっていうのは、少し悲しいかな?
友達に会えないのは、そこまで悲しくないかな?
親友なんていなかったし、恋人なんてのも欲しいと思ったことはないしなぁ。
気になるあの子なんて1度も出来たことがない。
地球にいても、そこまで面白いものはなかった。
毎日が平凡な日常……きっとそれはいい事なのだろう。
でも俺はやっぱりつまらなかった。
心のどこかで非日常を求めていたんだ……いや、結構毎日が非日常だったけ俺は?
100万円の入ったアタッシュケースを交番に届けたり……結局持ち主が見つからなかったから俺が儲けた。
テスト中にテロリスト入ってきたり……勉強してなかったから助かった。
飛行機事故……
「……っと、そんな事より確かめないといけないことがあるな。
ーーーふぅ、落ち着けよ俺。
これからする事は誰にも秘密だぞ。」
俺は誰にもいないというのに、
小さく、そして小さく小さく、さらに小さく小さく、
ステータス
と呟いた。
「……何もでねぇじゃねえか!?」
い、いや待て俺。
希望を捨てたらダメだ。
このままじゃ俺、本当にただの恥ずかしい人だ。
ーーーステータス出ろーーーステータス出ろ
と念じ続けたら、目の前に何かが出た。
「よかった、出てくれた。
……じゃあ念じるだけで良かったのか?
やば、滅茶苦茶恥ずかしい。」
赤面しながら俺は、目の前にあるステータス(?)を見る。
ーーーーー
名前 有栖川聖夜
年齢 17
性別 男
称号 世界一運のいい男 異世界人
Level 1
能力
HP 200/200
MP 320/320
ATX 130
AGL 210
DEF 120
INT 200
LUK Unknown
BP 0
スキル ステータス操作
ユニークスキル なし
ーーーーー
「……分かりそうで分からねえ。
数字が平均より高いのか低いのかすら分からねえ。
いや、Level 1から考えてみるに、
100が基本値として俺は魔法向きなのかな?
MPがあるから魔法もあるだろう。
んー…BPってなんだ? 0ってなんだよ?
……それに、LUK……運がUnknownってなんだよ!?
称号から見るに、高すぎて分からないって所か?
このステータスはどこまでの値を確かめられるんだろうなぁ。」
うーん、とりあえず考えても分からないものは分からない。
ステータス操作っていうのは、俺が念じただけでステータスが見れたことに関係しているのだろうか?
「誰かに聞きたいなぁ〜、
でもそうなると俺の説明はどうする?
記憶喪失?
ど田舎にいました?
開き直って異世界から来ました?
……あっ、そもそも言葉が通じるのか?
やべぇ、それすらも分からない。
言葉が通じなかったら、
魔物が化けてるぞ!
的なことでも起きるのかな?
異世界厳しいな……」
……でもまぁなんとかなるか?
「……運が良かったらな。」