前門の虎後門の竜(中)
皆さんお元気ですか。
俺は元気です。
今は里嶺財閥でお世話になっています。
なぜそうなったかと言うと
「返事を聞かせてもらえますか?」
「(そんな事言われても俺には無理だ!)」
あの時の俺は必死に頭を動かしていた。
「(ここで了承したら褥に駆られ、断ったらあのメイドに冥土送りさせられる!)」
「返事はどうしました?」
「(何か打開策を・・・・・・そうだ!!)」
俺は考えた末ある事を思いついた。
それは一か八かの賭けだった。
「お断りします」
俺はそう言った。
「・・・・・・」
エリスが俺に威嚇の目を向けナイフを静かに取り出す。
「・・・理由は?」
麗香は冷たい眼差しで見つめる。
「俺はまだ麗香さんのことを良く知らない。知らない人に告白されて心動く俺ではない」
「・・・・・・」
「(頼む!これでどうにか!!)」
額から汗が出る。
麗香が俺を見つめる。
俺も視線をそらさないよう見つめ返す。
お互いが見つめあい五分くらい経ち。
「わかりましたわ。私の事知っていただくまで返事は待ちましょう」
麗香は髪をかきあげ席を立った。
「・・・お嬢様」
「いいのよエリス。ただし一週間。それまでは待てません」
「・・・わかったよ」
俺はどうにか死なずにすみ安堵した。
「それとこの一週間はこの屋敷に住んでもらいます」
と思ったが安堵出来なかった。
「なぜですか?」
「私の事を知ってもらうんでしたら一緒に住むのが手っ取り早いでしょ」
不敵な笑みで微笑む麗香の表情が美しかった。
「お前一体どうするのだ・・・」
「どうするもこうするも、どうしようもねえよ」
ベットで仰向けになっている俺の目の前で褥は顔を近づけて見つめていた。
やっぱ美人だよな褥。
そう思っていると
「ハッ!!?」
俺はとっさに体を横にそらした。
俺が避けたその先には褥が持ち歩いている鎌が刺さっていた。
「あ・・・あぶねえな!何考えている!?もう少しで死ぬところだったぞ!!?」
「お前が余に向かって変なこと言うからだ」
「あ・・・声に出てた?その・・・悪か・・・」
「いや、心の声を聞き取った」
「った。・・・って、聞き取るなよ!俺にプライバシーの権利はないのか!?」
「?」
「何だよその顔は。まるで俺にはそんなものは元からないよって見たいな表情をして!中々かわいいじゃないかって!?ごめんなさいもう言いませんからその鎌をしまって下さいお願いします!!」
「・・・仕方がない」
今後は心の声にも気をつけよう。
「それでどうする?」
「とりあえずこの一週間この屋敷で過ごしてその後適当に振る」
「それでいいのか?」
「褥はどうなんだ?俺のやり方に反対しないのか?」
褥が賛成してくれなければ俺は行動に移せない。
「お前にはまだ生きてもらわんと困るからそれでも構わんが・・・あの時に刈り取っとけばよかったな」
何か恐ろしい事を耳にしたが俺は聞こえない振りをした。
「よし、ならそれでいこう」
俺は一週間この屋敷で有意義に過ごすことにした。
「車にお乗り下さい」
伊藤が玄関の前で車を止めて待っていた。
その隣にはエリスがいた。
「亮冶。行きましょ」
麗香に手を握られてそのまま車に乗った。
「慣れましたか?」
麗香が話しかけてきた。
「そうだね。快適に過ごさせてもらってるよ」
「それはよかったわ」
「麗香さんはどうなんですか?」
「何がですか?」
「俺の事好きになりましたか?」
「何を当たり前のことを言ってるんですの。私は亮冶を好きですよ」
「そうですか」
「「・・・・・」」
しばらく沈黙が続いた。
「(・・・おかしい)」
俺は何か引っかかりを感じた。
「どうした?何がおかしい?」
俺の心の声を聞いて頭に直接語りかけるのはやめてほしいな褥・・・。
俺は気にせずに褥に語りかけた。
「俺に惚れてる感じがしないんだ」
「ほぅ」
興味深い返事で褥が返した。
「今までの経験上俺に惚れた女は何らかの仕草・動きが変わるんだが、麗香さんにはそれを感じないんだ」
「こやつはお前に惚れてないということか」
「そう言うこと。なぁ褥、本当に今回のターゲットは麗香さんなのか?閻魔が間違えてるんじゃないのか?」
「それはない。閻魔様は嘘をつかん」
「そうだよな。嘘つきが閻魔やれるはずないもんな」
「その通りだ」
「まあまだ日付もあるし焦らずに待つか」
考えてるうちに学校の正門到着した。
「岸辺様到着しました」
伊藤がドアを開けお見送りをしてくれた。
「ありがとう」
「下校時間になりましたら迎えにまえりますので」
「亮治。いってらっしゃい」
「ああ。いってくるよ」
俺はそう言い正門をくぐった。
教室に着くまでの間
「伴崎の奴リムジンで登校かよ」
「それに今度は名門で金持ちの高校のお嬢様だぜ」
「畜生羨ましい・・・」
「何であいつだけ・・・」
「世の中理不尽だ!!」
などと弱者が俺に恨めしい目と罵声を浴びせてきた。
なんて気持ちのいいことだ。
この罵声と視線で俺はまた一段とイケメンになれる。
「・・・お前気持ち悪いぞ」
褥にそう言われたが、今の俺はそんなことなど気にしなかった。
そして、優越感に浸りながら俺は教室に入った。
「おはよー伴君」
「ああ、おはよう」
「亮ちゃん。今日一緒に昼食食べようね~♪」
「うん。一緒に食べよう。」
「亮治ー。今日の美術一緒に描かない?」
「喜んで」
「あっ!ずるい私も~」
「ちょっと抜け駆けはなしよ!?」
と、教室に入った瞬間、女子たちの熱い歓迎がきた。
まったく罪な男だな俺って・・・。
授業が始まる5分前。
俺はお手洗いに行っていた。
用を足していると後ろから
「・・・伴崎様」
後ろから声が聞こえた。
「エ・・・エリス・・さん?」
「・・・はい」
俺の後ろにいつの間にかエリスがいた。
しかも、今俺は用を足している最中だ。
俺は今猛烈に辱めを受けている。
何だこれ?拷問か?
「用件だけ伝えます」
そんなこと一切気にもせずエリスは淡々とした口調で言った。
「お嬢様の目が届かない所で不埒なことをしたら・・・」
そういって胸の谷間からナイフを取り出し首元に当てられた。
あれ?でもこのナイフ生暖かいな。
チク
はい何でもありません。
「不埒なことってちなみにどんなことかな・・・」
「・・・女性と一緒にいたらです」
「ちょっ!?それはひどすぎるんじゃ・・・」
チク
「はいわかりました」
「理解していただけて光栄です」
俺はエリスからのお願い(脅迫)を聞き入れた。
「それでは健全とした学生生活を」
そう言い残しエリスは姿を消した。
「残念だったな」
「黙れ。嬉しそうに言うな」
「まぁ、あやつの言ったとおりにしばらくは大人しくするしかないな」
「俺のハーレムタイムが・・・」
「これも前世の罪滅ぼしと思え。・・・それにしても」
「?何だよ」
「お前。中々立派なものもっておるな」
「え・・・・・・」
俺は褥にそう言われ今の状況を確認した。
用を足す→エリス登場→エリスからの脅迫→褥登場→場所トイレ→用を足している最中→結論
「いやああああぁぁぁー!!」
「そんなに落ち込むことなかろう」
「うるせぇ。俺の大事な息子を見やがって・・・」
「別に減るもんでもなかろうに」
「俺のSAN値が減ったわ!」
「褒めてやったんだぞ?」
「嬉しくねぇよ!!」
休み時間になっても俺のメンタルは戻らなかった。
おまけに女子と一緒にいたらエリスに何をされるかわからないから女子にも近づけない。
俺は女子達のお誘いを丁寧に断り一人でいる。
「早く何とかしないとな・・・」
「そうだな」
「じゃないと俺のハーレムが終わってしまう」
「お前は本当にゲスの極みだな」
「何とでも言え。俺は俺のためにやる」
そうはいってもまだ解決策が思いつかない。
今は学校で麗香さんとは離れているから情報を聞けない。
一体どうすれば・・・。
「そうか!」
俺は閃いた。
「どうした?何かいい案が浮かんだのか?」
褥が尋ねてきた。
「ああ浮かんだよ。昼休みそれを実行してみる」
「そうか。まぁ頑張れ」
昼休み
俺は一人で屋上で昼食をとっていた。
「エリスさん」
俺は不意に麗香さんのメイドのエリスの名前を呼んだ。
「・・・何でしょうか」
名前を呼ばれエリスがどこからもなく現れた。
やっぱりこの人忍者じゃないのかな。まあ、今はそんなことどうでもいい。
「よかったら一緒にご飯食べない?」
俺は彼女を昼食に誘った。
「遠慮しときます」
あっさりと断られた。
だがこれも計算の内だ。
「どうして?」
「監視をするのが私の任務です。それ以外の事は任務の支障になります」
淡々と応える。
さすが戦場育ちのメイド、任務に忠実だ。
「真面目なんですね」
「それほどでもありません」
「でも、俺一人で昼食しても楽しくないんですよ」
「そうですか」
「食事は皆で楽しくするものですよ」
「私にはわかりかねます」
「そっか。戦場育ちでしたよね」
「はい。戦場では生きるか死ぬかの二者択一です。仲間と食事をしていても実は仲間ではなく敵のスパイかもしれない。そんな中で食事など取れません」
「でも、ここは日本だよ」
「私には関係ありません」
淡々と無表情で応える。
外見はとても美人で魅力的な女性なのにこうも硬くては中々苦労するな。
「エリスさんはいつも一人で食事を取ってるんですか?」
「その通りです」
「何を食べてるんですか?」
「カロリーメイドです」
「それで足りるんですか?」
「栄養バランスがいいので」
「なるほど」
だからいい体をしているんだな。
「今何か不埒なことを考えましたね」
「いや、考えてないよ」
何事もないように嘘を言った。
「・・・・・・」
冷たい目で見つめるその目は生きてる心地がしなかった。
「ごめんなさい」
素直に謝った。
「では、私はこれで」
そう言って立ち去ろうとする彼女に
「どうしてもダメですか?」
もう一度尋ねてみた。
「ダメです」
そう言って姿を消した。
「全然ダメではないか」
褥が現れて声をかけてきた。
「ダメではない」
俺はそう言った。
「あれでいいんだよ」
「なぜだ」
「それは内緒・・・って冗談だから鎌をしまって下さい!?」
「ならさっさ言え」
「わかったよ。俺が呼んだときエリスさんは来てくれただろう。それは俺に何かあった時すぐにでも駆けつけれる距離にいることだ。そして会話も一応してくれる。今回はその会話が重要だったんだよ」
「なるほ。、・・・それで?」
「それだけだ」
「それで解決口はできるのか?」
「十分だ。今日はその下準備をしたまでだ。明日から本気でやる」
本番は明日だ。明日で俺は・・・エリスさんを攻略してやる!
あ、でも攻略したら俺死ぬんだった・・・。なら、仲良くなってやる!
次の日の昼休み
俺は昨日と同じ屋上で昼食の準備をし
「エリスさんいますか?」
「何でしょうか」
音もなく現れるエリス。
「一緒に食事しませんか」
「お断りします」
「今日はエリスさんのためにカロリーメイド買ってきたんですよ」
そう言って俺は売店で買ったカロリーメイド(全種類)を見せた。
「これはお手を煩わせてすみません」
「いや、迷惑だったかな?」
「いえ、ありがたく戴きます。後で召し上がらせていただきます」
一緒に食べる選択肢はなしか。
「どうしてもだめかな?」
「ダメです」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
しばしの沈黙
「では用がないのでしたら私はこれで失礼します」
背を向けて歩き出すエリス。
俺はその姿を見つめながらボソリと言った。
「麗香さんにいいつけます」
エリスの動きが止まった。
「一緒に食事をしてくれなかったら麗香さん言いつけます。エリスさんが任務を全うしてないって」
「・・・・・・どうぞご自由に」
「動揺しないんですね」
「当たり前です。私はメイドです。それくらいの事で動揺してはお嬢様の使用人は勤まりません」
真っ直ぐな瞳で俺を見つめたエリス。
俺は彼女の熱意を感じた。
この人は本当に彼女のことを信頼してるんだと。
彼女に何かがあれば自分の命を犠牲にしてまで守ると。
「・・・麗香さんのこと好きなんですね」
「はい。お嬢様のおかげで今の私があるのですから」
「そうですか・・・」
「では、私はこれで」
軽くお辞儀をして立ち去ろうとした時
「エリスさんもう一ついいですか?」
「何でしょうか」
「もし俺の身に何かあったらどうなるんですか?」
「安心して下さい。私が護衛しているので伴崎様には傷一つつけさせません」
「もし傷ついたら」
「その時は私の失態です。伴崎様の言うことを何でも聞きましょう」
「本当に」
「メイドに嘘はございません」
「わかった。ありがとう」
「いえ、それでは」
再び軽くお辞儀をして立ち去るエリス。
俺はその背を見ながら
「(やれやれこれだけはしたくなかったんだけどな)」
制服のポケットからあるものを取り出した。
―――カチカチカチ―――
何かが出てくる音がする。
「お前何をするつもりだ?」
褥が俺の行動見ていた。
「俺が生き残るための手段だよ」
そう言って俺は自身の手首に刃を当てた。
「お前死ぬきか?何なら手伝うが」
「馬鹿。そんなことしたら罪滅ぼしできないだろ。まぁ最悪死ぬかもしれないが・・・」
手首に向けた刃に力を込める。
「何をしてるんですか!?」
不意に声が聞こえた。
どうやら先ほどの音がエリスに聞こえたらしい。
エリスが走って俺の今からやる行動を止めようとしてくる。
時間がない。
俺は一呼吸だけして
―――ザシュ!!―――
手首が熱くなった。
その後に生暖かいものが感じた。
「やべぇ。深くやりすぎたかな」
「安心しろその程度では死なん」
褥がそう言い俺は一安心した。
「あなたという人は一体何をしてるんですか!?」
エリスが俺を抱き寄せてカッターで切った手首を止血した。
「・・・どうしてもエリスさんと一緒に食事がしたくてね。強行手段を取ってしまいました」
「・・・・・・その程度のことで・・・・・・」
「俺にとってはとても重要なことですよ」
「・・・・・・」
彼女の太ももで膝頭をのされている俺はなんて幸せものなんだろう。
そう思いながら彼女の顔を見ると
「エリスさん・・・もしかして心配しました?」
いつも無表情で淡々と話す顔とは違い、今彼女の顔は心配した顔でそして、今にも泣きそうな顔をしていた。
やりすぎたかなと罪悪感に包まれた。
「当たり前です。二度とこんな事しないで下さい」
感情が篭った言葉をはじめて聞いた。
「うん。もうしないよ。ただし約束してくれるかな。明日一緒に食事をしてくれるって。俺エリスさんの事もっと知りたいし仲良くしたいから」
本心で言った。
「・・・わかりました。約束します」
「ありがとう」
俺は傷ついてない手で彼女の顔を触った。
彼女も抵抗せず受け入れてくれた。
彼女に手当てをしてもらい、カッターで切った手首には包帯が巻かれた。
「幸い深くなかったので縫わなくても大丈夫ですが気をつけて下さい」
「わかったよ。ありがとう」
俺はお礼を言った。
自分でも思うがよくこんな事できたな、今後はこういうのはしないようにしよう。
あ、ちなみにまだ膝枕してもらってます。
「それにしても」
「何でしょうか」
「エリスさんって美人ですよね」
不意に言葉が出てしまった。
「(しまった!!)」
自分の失態に気づいた俺は
「あっ!いやその・・・これは!!(やばい殺される!!)」
誰に殺されるかって?
もちろん両方さ。
死を覚悟した俺だが一向にそのようなことが起きなかった。
褥は現れてはいるが鎌は出していない。
彼女の方を見ると
「・・・え?」
なぜか顔を赤らめて俯いていた。
「あ・・・あの~エリス・・・さん?」
「は、はい何でしょうか」
初めて口篭る彼女
「怒らないんですか?」
「怒るって何をですか?」
今までの彼女だったらそんな事を思ったら胸の中にしまっているナイフを取り出して脅していたのに、それなのに言葉に出していったんだ。死を覚悟していたのにそれがない。
「い、いや何でもないよ」
「そうですか」
何とも言えない空間が俺と彼女を包み込む。
不意に目が合う。
逸らそうにも目が言うことが聞かない。
瞳の青くて綺麗だな。
その瞳に吸い込まれるように彼女との距離が縮まる。
彼女も俺に引き込まれるかのように徐々に距離が縮まる。
キーンコーンカカーンコーン
「「!?」」
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
「昼休みが終わりましたね」
エリスは無表情の顔に戻っていた。
「そ、そうだね」
俺は立ち上がった。
危なかった。もしチャイムが鳴らなければこのまま流されていた。この俺としたことが。
「では、勉学を頑張って下さい」
「ああ、頑張るよ。手当てしてくれてありがとう」
「いえ、私の不注意意で招いたことですからお気になさらず。・・・それと」
「ん?何かな?」
「・・・明日屋上で待っていますので」
そう言いエリスは姿を消した。
「・・・・・・」
「何を惚けておる」
「おわぁ!?」
褥が話しかけてきた。
そういえば先ほどからいたんだよな。やべぇ、これは殺されるな。
俺は死を覚悟した。
「まぁお前が無事でよかった」
「・・・え?」
聞きなれない言葉を聞いて間の抜けた声が出た。
あんなに俺の命を狙っていたの一体どうしたんだ?
「褥。熱でもあるのか?」
俺は褥の額に手を伸ばして熱を測った。
褥の額は冷たく気持ちがよかった。
「何をしておる」
褥に頬を殴られた(拳)
「いって!!何するんだよ!?親父にもぶたれたことないこの美形の顔を!傷がついたらどうするんだよ!?」
「お前が勝手に余に触れるのが悪い」
「何だよ折角人が心配してやったのにその仕打ちはないだろ」
「何か言ったか?」
「いえ、何も言っていません。無断で褥様の額を触った僕が悪かったです。許してください」
土下座をして命乞いをした。
「まぁ良い。それより亮治」
鎌を治めた褥が俺に近づき
「あんなことは二度とするな」
褥はそう言った。
「・・・・・・理由は」
「・・・自分で自分の命を蔑ろにする奴は地獄にも天国にいけぬ。ただ何もない無の世界を漂い続けるだけだ」
「・・・それだけか?」
「・・・あやつのような奴になってほしくないだけだ」
「あやつって誰だよ」
「それは言えぬ。だが、二度とするな。今回は多目に見たが次そのようなことをすることがあれば有無をいわずにその魂・・・刈り取るからな」
いつもは薄気味悪い笑みや、冗談半分な感じで言っているその言葉だが、今回は真剣な顔で言われた。
「ああ。もう二度としない約束する」
俺は褥に約束をした。
「ならば良し。さぁ、授業が始まるぞ」
「そうだな。次の授業は世界史か」
「世界史とは世界の歴史か、中々興味深いな。どんな処刑道具が出るか楽しみだな」
「・・・そんなものがでまくる授業じゃないからな」
皆様お久しぶりです。作者の春と申します。
この度は私の小説を読んでくれましてありがとうございます。
前の話とだいぶ間がいたこと申し訳ありません。
今後は執筆する時間が出来ましたので、更新ペースが上がると思います。
それではまた次の時に・・・。